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ラッコの映画生活

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2007.02.08
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カテゴリ:フランス映画
EN FACE
Mathias Ledoux

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寸評:クロチルド・クローのファンなので見た。良く出来た土曜サスペンスドラマか。映画としては・・・(?)。

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物語の基本構成はよく出来ているんですが、詰めが足りないというか、このままでは良く出来たテレビドラマ程度でしょうか。この監督さん、テレビでたくさん仕事をしていて、これが劇場用映画初監督作品らしいんですが、もう少し頑張って欲しかった。作品がサスペンスものなので、ネタバレ・タネ明かしは最後の方に書こうと思います。

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なんとか小説第一作の出版はでき、評判も悪くはなかったが、次作がなかなか書けないでいるジャン・ドルセ(ジャン=ユーグ・アングラード)は、妻ミッシェル(クロチルド・クロー)とパリ・モンマルトルの安アパルトマンに、結婚(あるいはつき合って)7年ながらまだまだラブラブの生活を送っている。ミッシェルは花屋で働き、ジャンは何かのバイトを夜しているらしいけれど、家賃も滞納といった状況。そんなある日某公証人から出頭の知らせを受け、二人が行ってみると見ず知らずのジャン=ユーグ・ギメ氏からの遺贈の話。彼らの住む向かいの大豪邸の持ち主で死んだ富豪ギメ氏が「若さと愛への贈り物として」家・家財をドルセ夫妻に贈るという遺言の執行というわけだ。条件は2つ。一つは書斎の書類等の保管と10年間は売却できないという条件、二番目は15年間ギメ氏の世話をしてきた女性クレマンスを使い続けるという条件。

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パリのほとんどの地区は高さが決められた5階程度のアパルトマンで、高級であっても集合住宅だ。一軒家の屋敷は数も限られ、多くはモンマルトルにある。でも価格は5億円とかする。そんな法外な遺贈の申し出なわけだけれど、妻ミッシェルは乗り気ではない。躊躇を示す。だが夫ジャンが喜んで乗り気、これでゆっくり小説の執筆もできると言う。そんな彼の言葉にミッシェルもこの話を受けることにする。彼女の夫への最大の愛は、夫に作品を書いてもらい、それが成功することなのだ。

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二人は移り住むが、クレマンスに世話される生活、部屋が20室もある古くさい家での生活に最初な馴染めない。しかもこのクレマンス嬢(クリスティーヌ・ボワッソン)の行動・態度が気味悪い。クレマンスは一体何者なのか、何故見ず知らずのギメ氏が自分たちに財産を遺贈したのか、本当にミッシェルはギメ氏を知らないのか。そんな疑惑を感じながら、ジャンはギメ氏の書斎の書類・手紙・写真などを探り、この老人の物語を小説のテーマにし、ギメ氏のかつての愛人に話をきいたりしながら、秘密を追求していく。そしてそれと平行して思わぬ事態が彼らの身に起こっていく。

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この映画、ヒッチコックへのオマージュで、各所に『裏窓』や『レベッカ』などからの引用が見られる。それはそれとして、物語の主人公はジャンとミッシェルで、重要な人物としてクレマンスとギメ氏のかつての愛人「赤いドレスの女」と、死者だから姿は登場しないギメ氏がいる。物語はサスペンスでジャンの疑惑を中心に進んでいくわけだが、その疑惑の中心である妻ミッシェルの思いが十分に描けていない。また物語を進める重要な要素となっているクレマンスの思いもはっきりしない。この物語のお膳立てをしたギメ氏についてもあまり実像が浮かび上がってこない。物語の筋立て自体はよく出来ているだけに残念です。何かすべてが少しずつ描かれているだけと言った感じで、だから土曜サスペンスドラマ程度かな、ってとこなのだ。ネタバレせずに書けるのはこの程度で、以下は完全ネタバレです。

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(以下完全ネタバレ)
この作品の原題は"EN FACE"でまあ「向かい」といった意味でしょう。ビデオ化の際に「裏窓の女」がついたようですが、もともとの邦題は『甘い嘘』。この題名が示すようにミッシェルが嘘をついていたことが最後に向けて明かされていく。この嘘がジャンを愛する故の嘘だということで「甘い」嘘なんでしょう。ただ捉えようによってはこの「甘い」は「浅はかな」とも解釈できます。

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ストーリーは次のようなものだ。ギメ氏の母はロシアの没落貴族で、フランス人男性に恋をして夫を捨ててフランスに男を追いかけてきた。でもやがて男に捨てられ、売春をして生計を維持したが、ギメ氏7才の時に梅毒で死に、彼は孤児となった。しかし時代に上手くのって12年後には金持ちになった。まずエドヴィージュと結婚したが、1年後には捨てる。彼女は自殺。それから次から次へと裕福な女を愛人にしては、女が惚れると捨てるということを、母への恨みからなのか、繰り返す。たぶん愛などというものの存在を信じないことで彼は自我を保ってきたのだろう。そんな彼は15年前半身不随となり、クレマンスに世話をさせながらこの屋敷に住んでいた。そしてクレマンスはたぶん特別な感情をギメ氏に対して持つようになった。3年前に向かいのアパルトマンに死んだ妻エドヴィージュと瓜二つのミッシェルが越してきた。ギメ氏は望遠レンズを付けたカメラでミッシェルの入浴や着替え、愛の行為を盗撮していた。

その頃ジャンは初めての小説『黒い空』を完成しながら出版を受け付けてもらえなかった。そんな彼は車を飛ばして自爆し、自殺を試みた。ジャンが入院した日、ミッシェルは夫の小説の出版とひきかえに、出版社のオーナーのアンリに体を許した。事情を知らずにその様子をギメ氏は写真に撮っていた。彼にとっては妻エドヴィージュと瓜二つで恐らく惹かれてもいた女が、夫への愛を裏切る行為だったのだ。ギメ氏は彼女を屋敷に呼びつけるが、彼女は苦しんでいる夫への愛から出版社オーナーと寝たこと、またそれを後悔していないし、ジャンにも決して言わないと語る。そして最後に「愛は存在するのよ」とも。(この様子はたぶんクレマンスによってビデオに収められていて、消去しそこなった乱れた画像・音声としてテープに記録されていおり、ミッシェルに惹かれてもいるジャンの友人の弁護士ユゴーが特殊な再生法で再生し、映画ラストに向けて事実が観客に明かされる。)

愛は存在すると言ったミッシェル。そんな彼女に接して、半身不随ながら75才にしてまだまだ健康だったギメ氏は生命を賭けての最後の復讐、ないし愛を否定した自分の人生の正しさを証明するために、その相手はかつての愛人だった赤いドレスの女だが、一計を案じる。まずジャンとミッシェルのカップルに家を遺贈し、必要な書類や写真やビデオ等が二人(特にジャン)の目に触れるようにし、ジャンがミッシェルを疑い始めるようなお膳立てを整える。そして自分をミッシェルに同化して実際には得られないギメ氏やジャンの愛を得ようというクレマンスを上手く使って、二人が彼女を殺し、二人の愛も壊れる。そんなストーリーの実現によって愛の不在を証明しようとした。この死人の策略に二人ははまっていく。最後にミッシェルはクレマンスに銃を向けられて格闘の結果彼女を撃ってしまう。外は警官隊に包囲される中でジャンはミッシェルに誰と寝たのかを迫るが、彼女は決して真実を答えない。しかしミッシェルの「愛してる」という言葉に「まさか出版社のアンリ?」と気付き、すべてを理解したジャンは窓から飛び下りようとするが、優しく「ジャン」とミッシェルに声をかけられ、手を後ろに伸ばして彼女を招く。二人は見つめ合い、微笑みあって、屋根の上へと向かう。フラッシュバックで過去の2人の楽しかった愛の思い出が走馬灯のように流れ、音楽は冒頭の愛のシーンと同じ優しい音楽が流される。ビデオの解読を終えて現場に車で駆け付けていた友人ユゴーは、屋根に登った2人を知ってか、車で何処かへ走り去る。事件がどう推移したかは示されず、屋敷で赤いドレスの女が手紙を読んでいる。ことが予想通りに行ったら送られるようになっていた生前のギメ氏の手紙だ。そこには計画の内容が書かれ、自分の死が実は自殺であることも書かれており、最後は「愛は永遠に死んだのだ」と結ばれていた。読み終えた赤いドレスの女は「あなたの負け」ともらし、窓から見える向かいのアパルトマンの窓には愛し合う若い男女が見えるのだった。

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ラストの解釈は観客に委ねられている。二人が心中したと考えることもできるし、二人は愛を確認して合って死ななかったとも解釈は出来ないこともない。どうなったかの結末は描かれないし、友人ユゴーが急いで車をどこかに走らせたことも伏線と捉えられなくもない。赤いマントの女には「あなたの負け」と言わせているし、いちばんハッピーなエンドを期待する観客は、ラストで向かいの部屋で仲睦まじくしているカップルがジャンとミッシェルだと解釈すれば良いわけだ。

以上のネタバレ記述を読んで、なかなか良く出来た映画じゃないか、と思われる方もいるかも知れない。しかしこれは観客であるボクの補足を交えた理解だ。実際には、それぞれの人物は描き切れていない。冒頭からミッシェルはジャンに秘密を持っているわけだが、彼女の愛のための選択、つまりジャンの幸せを、そして二人の幸せを願って出版社オーナーに体を許し、またギメ氏との一件もありながら、その秘密を守っていた彼女は途中十分には描かれていない。クレマンスの思いもそうだ。この物語の仕掛人であるギメ氏の心情すら、最後の手紙をしても浮かび上がってこない。赤いドレスの女が読むギメ氏の手紙はギメ氏の声で朗読されるが、文面自体も単なるタネ明かしをしているだけでわざとらしいし、これだけのことを自分で生命を絶ってまでした人物のものには聞こえない。そして映画は赤いドレスの女がギメ氏の葬儀に向かうシーンで始まり、この手紙のシーンで終わるわけで、途中ビデオに少しだけ後ろ姿が写っている以外は登場しないギメ氏、そして最後にはジャン・ミッシェルのカップルもやはり登場しないわけで、この赤いドレスの存在が映画全体の枠になっているが、その人物の描かれ方がなんとも浅薄過ぎた。

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Last updated  2007.02.11 07:14:38
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