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ラッコの映画生活

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2007.02.20
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カテゴリ:フランス映画
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Leos Carax

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寸評:映像がどうのという意味ではなく、そして心安らぐようなものとは正反対だが、映画として美しい。ある意味で究極的な映画。それゆえ嫌いな人も多いだろう。

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ギョーム・ドパルデュー演じるピエールの父は今は亡き高名な外交官ジョルジュ・ヴァロンブルーズで、今は母マリー(カトリーヌ・ドヌーヴ)とノルマンディーの城に暮らしている。小説『光の中で』を匿名のアラダン(アラジンのこと)というペンネームで発表し、若者層に評価されて20万部も売れた。彼はリュシーというやはり金持ちの娘と婚約していて、結婚も間近。そんなある日従兄ティボーとカフェのテラスで話をしているとき、ティボーに指摘されて、黒髪のジプシー風の娘がピエールを窺っているのを彼は見る。ピエールはバイクで追いかけ、街の中を探しまわるが、バイクを転倒させてケガをしてしまう。そしてある夜結婚の日取が決まったことを知らせにリュシーの住む屋敷に向かう途中、森の中を歩いている黒髪の娘(カテリーナ・ゴルベワ)に出会う。彼は逃げる娘を追って森の中に入っていくが、彼女が東欧訛りのフランス語で語ったのは、自分がピエールの父ジョルジュの娘イザベルで、ピエールの異母姉だということだった。ピエールはリュシーに別れを告げ、姉イザベラと、彼女の連れのペトルーツァとミハエラ母娘と4人パリに出て暮らすことにする。

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(以下ネタバレ)
どこでどうネタバレしてしまうかわからないので、以下全体的にネタバレだと思って下さい。

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リュシーに別れを告げに彼女の屋敷向かおうとしてバイクのエンジンをかけようとするがかからない。これまでリュシーに会いに行くとき、この父の形見のバイクは快調だった。ジプシー女を追いかけると転倒してケガをした。森で女に出会ったときも、バイクは倒れる。そしてやがてマリーが死ぬのはこのバイクに乗ってだ。死んだ父の思いを象徴しているかのようだ。ジプシー女に近付こうとすると転倒し、息子が去ってうちひしがれたマリーを亡き者にするのはこのバイク。

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ピエールは城の上階の壁に塗り込められた扉を破壊して隠された部屋に入る。イザベラは幼いときフランスで父親と暮らしたと言っていた。小さな赤ん坊がいたとも。赤ん坊とは自分であり、ここは彼女のいた部屋だったのか?。そもそも母マリーは知っているはずだ。だから扉を破ることに反対した。しかし中は空。呆然とするピエールだがマリーは何も語らない。

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4人はパリに着くが連れの3人はジプシー風で、タクシーの運転手は子供がシートを汚すんじゃないか、なんて厭味を言って喧嘩になる。ホテルも3人の姿を見ると泊めてはくれない。ピエールはいいがジプシー風の3人には冷たい社会なのだ。ティボーを訪れるとパーティーの真っ最中。仲の良かったはずの従兄ティボーはピエールを知らないと言い、家から追い出される。最初の方のティボーとピエールのカフェのシーン、2人は久しぶりの再会だったが、その様子はただならぬものに描かれていた。同性愛的雰囲気。むかしはリュシーを加えて3人離れがたい特別の関係だったらしい。しかしそのうちのピエールとリュシーが結婚することになり、その彼女を捨ててピエールがイザベラに走ったとき、ティボーは彼を拒否したのだ。

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移民の多い貧民地区。そこの安ホテルにやっと4人は落ち着く。4人はイザベラの希望で動物園に行き、中国人客が中国語でカラオケを歌う庶民的中華レストランで食事をする。庶民的華僑のレストランでは拒否されることもない。さながら仲の良い家族のようだ。しかしホテルの入り口の路上で憶えたてのフランス語「臭い」を通行人に連発していたペトルーツァの幼い娘ミハエラはフランス人男性に殴打されて倒れ、それが原因で夜間に死んでしまう。残った3人は郊外の場末の殺伐とした工事現場の中にあるテロリスト集団のアジトに住むことになる。塀の中には犬が放たれ、武器など(?)を作っている工場でもあり、ボスは訳の分からない前衛的騒音音楽の指揮をとっている。

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隠していた過去、あるいはヴァロンブルーズ家の真実の姿、それがピエールがイザベラと去ったことで重くのしかかり、マリーは打ちひしがれてピエールが乗っていた父の形見のバイクで森を疾走するが、自爆事故で死んでしまう。姿を隠して埋葬の様子を見るピエール。婚約者のリュシーがピエールの住むアジトにやってくる。男1人と女2人の共同生活。

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彼は経済的にも恵まれた環境にあった。なぜこの転落の人生を選択したのか?。彼にとって今まで母マリー、そして婚約者や従兄ティボーとの人生、それはきっと壁に塗り込められた隠し部屋に象徴される、幼い頃から何か隠されたウソの人生だったのだ。そんなウソの明るさで書いた小説が『光の中で』で、世間の若者にも受け入れられた。それはウソに安住しようというマヤカシの世界だからこそ受け入れられた。

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しかし暗さを伴った世界の本当の姿、それを象徴するのが父も隠そうとし、フランス社会で受け入れられなかった異母姉イザベラだった。彼が夢に見る血の激流に溺れるイザベラと自分。彼は異母近親相姦にまで至りこの暗闇の世界にどっぷりはまっていく。この忌むべき関係こそその世界への旅立ちの完成であるかのようだ。前作の延長で書こうとしていた小説第2作にはもう興味もない。もっと世界の本当の真実を書きたい。パタシュウ演じる編集者マルグリット、名前も風貌もマルグリット・デュラスを模している彼女は、ピエールの欲求は理解しつつも「時代に恨みを抱けば必ず時代に罰っせられる」とロベルト・ムージルの言葉を引用して諭そうとするが無駄だ。彼女の計らいで匿名作家アラダンが姿を明かすというテレビ番組に出演するが、今の彼の姿にスタジオの観客は誰もアラダンだとは認めてはくれない。

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リュシーの弟とティボーがリュシーを無理矢理連れ戻しにやってくる。マヤカシの平和な世界のティボーらと、開いてはならない悪意の世界の扉を開けようとするピエールの対決だ。ピエールはティボーを撃ち殺してヴァロンブルーズ家の血を絶やすしかない。そこに駆け付けたリュシーとイザベラ、ピエールは護送され、イザベラは道に飛び出して到着した警察車両に身を投げる。これでヴァロンブルーズ家の血は護送されるピエールだけだ。彼の脳裏に浮かぶのは真実を隠していた森の木々だった。

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Last updated  2007.02.28 05:48:56
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