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BE KIND REWIND
Michel Gondry 101min(1:2.35) (桜坂劇場 ホールBにて) (つづき) まあそんな内容で、最後は観る人をほろりとさせる映画なのだけれど、ボクにとっては、何と言うか、あまりに拡散的な作りで求心力を欠く感じだった。映画の中で二人が作るリメイクがあまりに稚拙でいい加減、ドタバタなのは笑えるとしても、この辺を描くこの映画自体の作りも同様な感じなのだ。作中のドタバタリメイクとこの映画自体を明確に区分し、巧みに作られたこの映画の枠組みの中に、ドタバタやジャック・ブラックの怪演を統合して欲しかった。 最初はリメイク作品に役者として使おうとしたアルマ(メロニー・ディアス)が、やがて積極的に二人をリードして話を進めていくことになるのだけれど、なかなかの好演。こういう部分をもっとしっかり映画的に描いて欲しかった。他に悪役のシガニー・ウィーバーも良かった。どうせなら『ゴーストバスターズ』の元作での彼女を何処かでチラッと見せてくれたら面白かったかも。そしてミア・ファローも素敵でした。本人にとっては演技のうちなのかも知れないけれど、『ローズマリーの赤ちゃん』など、彼女のキャラクターっていうのは、演技なのか、本人そのものなのかの区別がつきにくい感があって、そこが彼女の大きな魅力です。 くだらないリメイクばかり作り、あるいはCGとか膨大なお金をかけるだけの昨今のハリウッド映画に対する、監督のアンチテーゼなのでしょう。素直に楽しく、お金をかけずとも良い映画は出来るってこと、もっと映画の原点に戻ろうよ、そういうことでしょう。 それは理解出来るけれど、ドタバタの合間にふとその映画の時間というか、枠組みにたち帰るっていう、映画を見ていての醍醐味のような瞬間が不在でした。なかなか上手く表現できないのだけれど、例えばフェリーニの映画を見ていると、やはりとりとめのないようなシーンが拡散的に連続するのだけれど、あるとき静寂が訪れて、その映画自体の「地」にたち帰る瞬間があって、それが映画全体を統合している。そういうものがボクとしては欲しかった感じです。この作品ではそれに似たような瞬間はあっても、十分には機能していないように思いました。 ちなみに原題は「ビデオは巻き戻して返却して下さい」という意味で、邦題はかなり意味不明の迷訳。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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