テーマ:ミステリはお好き?(1430)
カテゴリ:本
女王の百年密室の続編。
サエバ・ミチルとパートナーであるウォーカロン(アンドロイドのようなもの)のロイディの二人が訪れたのは 一夜にして森が消え、周囲が海になってしまったという伝説を持つ島、イル・サン・ジャック。 彼らがこの島を訪れ、宮殿に招かれた夜、僧侶の首なし死体が見つかる。 イル・サン・ジャックのモデルはモン・サン・ミッシェルだろう。 なので、自分の中の映像化もおのずとモン・サン・ミッシェルのものとなる。 あそこはミステリーの舞台にふさわしい。 実在している密閉、密室空間だし、その成り立ち、変遷も特異だし、 その存在自体が魅惑的だと思うから。 閉ざされた迷宮の島のロケーションにはピッタリだ。 サエバ・ミチルとクジ・アキラ、アキラを知る王家の人々。 よそよそしい街の人、僧侶、曼陀羅、ウォーカロン、クロン(クローンのこと)、 殺人事件とは別にサエバ・ミチルの謎も絡んで展開していく。 そして、また、彼女に連なる人、デボウ・スホの血縁も登場。 また、M博士からミチルまでに時の隔たりが大きくあると前回思ったが、 それも、今回の設定で説明がつく気がする。 同じであって同じではないものだったから。 森氏の死生観や人の存在意義に対する思考は興味深い。 生きることと死ぬこと、壊すこと、殺すこと、 森氏の今までのベースに乗っ取って今回も事件は展開される。 殺人事件とはいっても、殺人の動機は森氏の思考に乗らないと辿り着けないような気がする。 それは果たして殺人なのか? エネルギーの問題、街の成り立ち、人とそうではないものの境界線はどこに? このシリーズは続くのだろうか? この未来の設定はどのくらい実現する可能性があるのか? 「生きて」とミチルに言った彼女はとても、M氏に見えた。 彼女もまた同じであって同じではない存在なのかもしれないけれど。 主観であって、実際はどうかは分からないけれど。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
April 1, 2005 04:29:36 PM
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