日々のあぶく？

三月は深き紅の淵を」の4章回転木馬、「麦の海に沈む果実」の理瀬シリーズ。
恩田陸の女性だからこそ、女の子(少女)への冷たく突き放した視線はこのシリーズだと特に色が濃くなる気がする。

高校生になった理瀬はイギリス留学していたが、
亡くなった祖母が遺言で「自分亡き後は理瀬が半年以上ここに住まなければ家を処分してはいけない」と残したため、
帰国し日本の高校へ転入する。
祖母の家には理瀬の父とは血のつながらない叔母姉妹、従兄弟の稔と亘の兄弟が集まる。
闇深き理瀬の一族のこと、祖母の遺言には裏がある。
正体の分からない「ジュピター」を探す理瀬と稔、
一族の中にあって光を失わない亘、怪しげな叔母姉妹、
思い込みの激しい高校の友人朋子と病弱な弟慎二、
朋子へ一方的に思いを寄せる田丸、
朋子の幼なじみでどこか死んだ黎二を思い出させる雅雪、
コレだけ揃って不穏な流れにならないはずはない。

このシリーズはまだまだ続くようだ。
楽しみではあるのだが、いつも欺き欺かれ、出し抜いたり、先を見通す力を試されたり、
こんな中で理瀬がどう成長するのか気になるところである。