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March 4, 2006
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カテゴリ:
Carry ON,Jeeves

比類なきジーヴス
よしきた、ジーヴス
に続く第3弾!なのだが、時系列的には一番前にくる話も多数所収。

これまで読んでいて、執事はさりげなく立ち聞きが上手いのだろうとか、
お馬鹿なバーティーにジーヴスはよく愛想が尽きないものだと思っていたが、
きっと聡明だったり、押し付けがましい主人よりも
(例えバーティーがジーヴスが気に入らないものを身につけたとしても、きっと何か問題が起きて彼に泣きつき、結果、彼の思い通りになるというように)
御しやすいのだろうとつらつら考えていたことがより明確に描写されている。
ずぶずぶとジーヴスシリーズにはまっている。
元々は全三巻の刊行予定だったのだが、好評につき、以下続刊が決定しているのは嬉しい限りである。

ジーヴス登場:
盗みを働いた前任者を解雇し、ロンドンの仲介所に別の人材を依頼したバーティー。
派遣されてきたジーヴスは初っ端から気付け薬のように頭のさえる飲み物(ウスターソースと生卵、赤唐辛子の入った飲み物)を差し出し、採用を即決される。
このとき、バーティーはフローレンス嬢と婚約中。
彼女の無理な頼みで原稿を盗むよう要請され、困りきるバーティー。
ジーヴスの策略で婚約解消、市松模様のジャケットも手放すことに。
…最初から手綱を取られていたんだ!と思う反面、
ずっと長いことジーヴスがいたように思っていたので、人材派遣会社からの紹介で彼が来たことが意外だった。

ジーヴスの有能さに舌を巻き、すべてを彼に任せることにしたバーティー。
相変わらずお馬鹿な行動を繰り広げるが、彼自身それを自覚している。
素直にジーヴスの策に従い、彼を褒め称え、褒美を与えることも多い。
だからといって、いつもジーヴスの言いなりではなく、彼なりに無駄なあがきをするところが微笑ましく見えてくる。

ニューヨークに住む友人であり画家を目指すコーキーとミュリエルの結婚を
鳥類専門家の彼の伯父に認めさせようとするのだが…?(認められないと資金援助の危機を迎える)
時に策略は違う決着を見ることに。
それにしても本当に伯父や伯母らに支援を頼っている人がなんと多いことか。
彼らのご機嫌伺いも大変そうだが、それが唯一の仕事とも言える?

引き続きNY滞在中のバーティーの元に過保護な母親に連れられて、モッティーがやってくる。
アガサ伯母の紹介とあって、仕方なくモッティーを宿泊させることに。
だが、母親の目から自由になった彼は羽目を外して刑務所へ。

ケチンボなチズウィック公爵から甥のビッキーは小遣いをせしめられるのか?

NY郊外で穏やかに暮らす、詩人のロッキーは彼に遺産相続を約束したイザベル伯母の命令でNYで華やかに暮らすこと、それを報告することを命ぜられる。
ジーヴスの力を借りて華やかな生活を手紙に認めたが、それによって触発されたイザベル伯母がNYへ!
NYが肌に会わないロッキーは望む生活に再び戻れるのか!?

以前、バーティーも婚約していた恐るべきオノリア・グロッソップ嬢と婚約したという旧友ビッキー。
神経専門家の彼女の父 サー・ロデリックと再び合間見える。
ジーヴスの親戚の多さ、知り合いの多さによる情報網にはいつも驚かされる。
それにしても皆気軽に婚約・解消を繰り返しているなぁ!

彼女の提案する問題から逃れるために刑務所に入ってしまったシッピー。
それはバーティーのせいでもあるため、彼が一肌脱ぐことに。

ヴィッカーズ嬢に婚約を解消され、意気消沈するフレディーを元気付けるため海辺に滞在するバーティー。
偶然、そこにヴィッカーズ嬢も来ていて…再び仲を取り持つことが出来るのか?

ダリア伯母の依頼で「お洒落な男性が身につけるもの」と言うテーマで原稿を書くバーティー。
同じく原稿を依頼されたのは「比類なき~」で結婚したビンゴの妻である。
だが、彼女の原稿はビンゴとの生活を暴露したもので、ビンゴはそれが嫌で堪らず、原稿を載せぬようバーティーに迫る。
「よしきた、~」でも登場するフランス人のコック・アナトールがビンゴの家からダリア伯母の家に雇われるまでの経緯も判明。
すべてを収めたジーヴスはまたもや主人(バーティー)に似合わぬシャツを着せぬことに成功し、それぞれからの報酬も手にしていいこと尽くめ。

問題が起こりやすく、たかられ、頼られ、それを断れないバーティーは気のいいお馬鹿さんである。
そんな彼の側にいるのは楽しい策略も巡らせられるし、ジーヴスにとっては案外楽しい場所なのかもしれない。
そう感じさせるのが最後の章である。
なんとこの章はジーヴスが語り手。(他はバーティーが語り手)
独身男性に仕えることの良さを語り、主人が結婚することを恐れるともある。
これはきっと夫人が入ると自分の思うように働けないから、ということだろう。
「奥方が玄関に降り立てば、独身時代の執事は裏口からそっと出て行く」とあるが、そういうものなのだろうか?
それならば、ジーヴスが使える限りバーティーは結婚できないこと決定?
バーティーのことを「ほぼあらゆる望ましい資質を備えた若紳士であるが、一点だけ欠けた所がある。
それは(脳味噌ではないと一応断りあり)"常ならざる事態"に対処する才能、"押し出し"である」と評しているが、
それを補い、「我が家の脳味噌に」といわれるほどならば、今の働き心地はいいだろう。
また、雇用主とは馬のごときものであり、調教が必要とまで言い切っており、
バーティーとジーヴスの関係を見る限り、それはいつも成功している。
今回は紫色の靴下依頼の強固な態度に出たバーティーが養女を取ると言い出した。
女子校での講演を画策し、それを回避させることが出来るのか?
「よしきた、~」で講演を嫌がるバーティーの理由がココで判明。
そっと見つからぬように立ち聞きするジーヴスが見れるのも語り手が彼だから。
それが嬉しく、面白い!

額だか後頭部だかが飛び出ているというジーヴスの容姿は脳味噌が大きいことを示している?
年齢に関してはバーティー(二十代)を父親のような自愛に満ちた視線で見ることもあるから、彼の父親くらいの年ってことかな?
でも、行動力があり、遊びに出たり踊ったりしてたから、もっと若いような気もするが…
色々な背景が描かれる本書はジーヴスシリーズの奥行きを味わい深くさせてくれる。
バーティーを含めたお馬鹿な人々をして「粗忽長屋」の人々と対比させた訳者、天晴れ(笑)
シェークスピアはバカのことを「智慧の砥石」と呼んだとか。





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Last updated  March 4, 2006 12:13:50 PM
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