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March 6, 2006
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暗闇に浮かび上がる夜市、そんな絵が浮かぶようである。

今宵は夜市が開かれる―
学校蝙蝠が、風が、虫が、夜市を知らせる。
何でも売っていて、人もそれ以外も、他の時空からも集まる夜市。
幼い頃に迷い込んだ裕司は、弟と引き換えに「野球選手の才能」を手に入れた。
人攫いに買われた弟の記憶を裕司以外の人間は失っていた。
野球部のエースとして成長した裕司は(弟と夜市の存在は)現実か幻か戸惑いながらも、
弟を売ったという罪悪感にさいなまれていた。
高校時代の同級生・いずみと再会した裕司は、彼女を誘い、再び夜市へ―

百鬼夜行抄のような、夜市の独特ルールがある所などは十二国記のエッセンス、
怪しい闇は東亰異聞のような、蟲師の雰囲気も併せ持つ。
でありながらも独立したお話。
設定だけでも好みである。
表紙(装丁 片岡忠彦)の上部の闇に浮かぶ金魚と下部の朱がかった赤が雰囲気に合っている。

裕司は弟を取り戻せる(買い戻せる)のか?
買物をしないと出られない夜市のルールに捕らわれた2人の行く先は?
妖怪をも切れる刀を買った初老の男も彼らと行動を共にする。

人攫いとのやり取り、夜市の動きがあり、
場面転換、売られたあとの弟のその後が描かれ、そして、繋がるラスト―
漂う切なさがなんともいい。
ちなみに第12回日本ホラー小説大賞受賞作だそうな。

書き下ろしの「風の古道」も秀逸。
以前、迷子にあった時に見知らぬおばさんに教えてもらった道は家への近道で、
今は珍しい未舗装の道でもあり、周囲の家はすべて側面か背面で、玄関は一つもなかった。
私は友達のカズキと共に再び、その道に入り込む。
しかし、そこは古道、鬼道、死者の道、霊道、樹影の道、神わたりの道とも言われ、通常、一般人は踏み入ることのない道だった。
2人は古道生まれの青年・レンに連れられ、次の出口(綻び)に向かう。
しかし、レンに悪意を持つコモリの登場により、カズキが撃たれて死んだ。
レンと私はカズキを蘇生させるため、"雨の寺"を目指すことに。

古道のものは何一つ外に出せない。
故に、古道で生まれたレン、古道で死んだカズキは外に出ること、出すことが出来ない。
古道に来れる外の人間にはそれを感じ取れる力があり、それは先祖が関係しているらしい。
雨の寺を探す中で明らかになるレンの過去―彼の母、相棒だった母の友人・ホシノ、コモリとの確執―
そして、辿り着いた寺で判明する蘇生の事実。

この雰囲気もなんとも言えず良い。
古道で生き、認められたものは種を持ち、死後、樹になるというのもいい。
(持たねば亡者と成り果て、去るが)
死神や妖怪なども跋扈する道でありながら、なんだか静かな世界なのである。





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Last updated  March 6, 2006 11:06:48 PM
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