テーマ:ミステリはお好き?(1430)
カテゴリ:本
新・雨月物語シリーズ第2弾
今回は前回ラストより続き、流れ流れて怒涛のラストへ! 胸の内に魔物を飼う、後の上田秋成となる仙太郎、俳諧の道を邁進する茶狸、十手持ちの梅吉(玉笑)らも強い流れに巻き込まれていく。 ネタバレちらほらあり。 第1話 牢屋敷 前回の野田村大惨劇の下手人として牢屋敷に放り込まれた仙次郎。 牢内役人の一人が以前、賭場で金を貸したことのある角兵衛だったため、最悪の扱いは免れるも悪夢にうなされる。 無実を主張するよりも、身に覚えもなくても罪を認めたほうが良いと思えるほどの拷問が待ち受けていたが、間一髪、被害者の一人である親分(岡引)の証言により釈放される。 放免された仙次郎だったが、家に帰ったとたんお政に責められ、謹慎することに。 筆をとり、この度の一件を認める― たまと仙次郎のほのぼのした関係が良い。 第2話 笑い猫 事件の後、寝込んでいる間に素直に読んだ歌を紹廉が誉めてくれ元気になった茶狸が謹慎中の仙太郎のもとを訪れる。 次にやってきたのは事件で片腕をなくした源治親分(彼の証言で仙太郎は釈放された)の「天満の北木幡町で幽霊を捕まえてくれ」という頼みを受けた梅吉。 本当の依頼主である町医者の都賀六蔵によると腹黒く強欲の光太夫の店子・お豊が行方不明になった。 光太夫が家を取り壊そうとするのを止めるため、お豊の振りして幽霊騒動を起こしたのは六蔵で、それに共感した者が真似をしているだろうから、その者を止めてくれというのだ。 だが、調べていくうちに本物の妖の影が見え隠れし、笑い猫に茶狸が攫われてしまう! 笑い猫とは"金色の美しい毛並みをした子猫。子供に甘えて森に誘いこみ、笑いながら仔牛ほどの大きさの化け猫になり、人を丸ごと飲み込む"妖怪。 茶狸には霊感があるのか? 第3話 泣き坊主 魔界に攫われた茶狸を助けるため、勝峯寺を訪ねた仙次郎。 人の怨念で生まれるため、退治できず、一時的に封印するだけの笑い猫を懲らしめるのに必要なのは妖怪(逆女・天狗小僧・傘火・首絞め縄・燃え唐臼)の協力がいる。 前回笑い猫を封印したのは4代前の勝峯寺住職・照哲で自分の命と引き換えに妖怪らの協力を仰いだという。 今回は楽哲がその役を受け、仙次郎と二人で魔界へ踏み込む。 茶理を助けるため、長瀬らに再び睨まれる事が予想されるラスト。 次回も牢屋敷からのスタートになるのだろうか? 仙次郎~紙油商「嶋屋」の跡取り息子(養子)。放蕩息子だが、俳諧の世界では有名人。俳号は漁焉。 後の上田秋成。幼少の頃の病により、顔に痘痕が残り、胸の内に魔物を飼い、魔物の夢にうなされる。下戸。23歳。 茶狸~大阪俳壇を代表する小野紹廉の高弟白羽を祖父に持つ俳人。自身も紹廉の弟子。後の第3代十南斉。通称・小吉。22歳。 梅吉~長瀬配下の十手持ち。「石不動の梅三郎」の異名を持つ十手持ちの父の跡を継がされた。俳号は玉笑。25歳。 茂助~「嶋屋」主人。仙次郎の父。お政に責められる仙次郎をいつも庇う。 お政~仙次郎の義母。彼を厭う。 お絹~仙次郎の義姉(茂助の前妻・千代の娘)。義母と折り合い悪く、家を出、結婚して曽根崎新地で妓楼「はな屋」を営む。 たま~「嶋屋」に2年前から奉公にあがる。病弱な仙次郎の世話を担当。16歳。 長瀬喜四郎~大阪西町奉行所同心。袖の下、権力大好きのせこい小役人。 剛哲~勝峯寺の和尚。いつも酔いつぶれているが、物知り。 楽哲~勝峯寺の小僧。真面目。1回読んだ書物は記憶している。12,3歳。 都賀六蔵~町医者であり医学者として「辛夷園」という学塾を主催。都巣庵という筆名で「古今奇談英草紙」などの読本を書いてもいる。六蔵は通称。名は庭鐘。字は公声。号は巣庵、大江魚人、辛夷館など。39歳。 お豊~元常磐津の師匠。60過ぎ。腰痛持ちで六蔵の患者だったが、家族が流行り病で亡くなってからおかしくなっていた。今回行方不明に。 お勝~お豊の家でずっと働いていたお新の後に入った女中。雇われる家で揉め事を起こしてばかり。 翁~仙次郎だけに見える「垢面短髭の翁」。加島稲荷の化身で彼の守りだというのだが…。神の中では中の上ランク。 白話文学~中国の口語体の小説→これが流行ったことにより、浮世草子主流だった日本にも読本という分野が成立。 第1弾・曽根崎比丘尼 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
September 2, 2006 11:51:20 AM
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