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October 1, 2006
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まだ新婚といっていいころ、子供も生まれたばかりで交通事故に合い、死んだ俺はなぜだか成仏せずにいた。
頼りないほど優しく、自分の意見を主張しきれない妻・サヤと息子・ユウスケを心配し、
自分のことが見える人には1回だけ乗り移ることができる不思議な巡り合わせを使い、
彼らを見守り、時に(乗り移って行動し)守ることに。

~ネタバレあり~

・トランジット・パッセンジャー
俺は自分の葬式を見つめていた。
周りに好きに言われ放題で放心したかのようなサヤが心配で。
坊主になっていた元同級生・細貝に乗り移って彼女を見守ることを約束する。

・羅針盤のない船
小船のように大きい、旧式の乳母車を押したサヤは亡くなったおばから受け継いだ家にある佐々良の駅に降り立った。
彼の家族にユウスケを奪われたくない彼女は逃げるようにこの町に来たのだった。
そして、不思議な老婆に出会い、彼女の忘れ物を見つける。
親切な不動産屋の協力を得るが、久代を見つけることは出来なかった―

・笹の宿
佐々良へ引越ししてきたサヤとユウスケ。
だが、水道などの手続きが上手く行かず、とりあえず(引越し業者の教えてくれた)宿に泊まる事に。
宿の大女将・夏は嫁である若女将の愚痴を言いながらも子育てに不安のあるサヤの手助けをしてくれる。

・空っぽの箱
夏と久代、隣人の珠子が女学校時代の同級生だったことが発覚。
知りたがりの珠子がサヤのおばへの郵便物を預かっていたが中身は空っぽ。
(中身を盗んだと)珠子に疑いがかかる。

・ダイヤモンドキッス
夫の実家からユウスケを養子に出すよう迫られるサヤ。
料理上手な夏、元教師・元級長でしっかり者の久代、知りたがりの珠子、三人の老婆はなんやかんやといいながらもサヤの家に。
公園でビューに気後れするサヤは奔放に振舞うダイヤの母・エリカに憧れる。
彼女からユウスケが取ってしまったと思われるメモは「息子を預かった」という脅迫文だった。

・待っている女
珠子と反対側の隣人は誰かを待っているような老女だ。
亡き夫を忘れられないサヤにエリカが名案を思いついたと言う。

・ささら さや
ユウスケが夜中に高熱を出す。
三婆の協力で病院へ行くことになるのだが、それに夫の実家の策略が加わり、ユウスケの居所がわからなくなる。

・トワイライト・メッセンジャー
ささら さや―あの音とともに現れていた俺。
佐々良と言う不思議な土地だからできたことだったかもしれない。
サヤに最後のメッセージを贈ろう。

サヤは鞘であり莢。中は切れ味があり、はじけるのを待っている。
見守りながらも、彼女も一人でやっていけるのだと寂しく悟る俺。
優しさの詰まった一冊。
個性派の三婆が楽しく頼もしい一冊でもある。

あんまりみてなかったが、TVドラマ「てるてるあした」でサヤ役を木村多江が、久代を草笛光子が、夏を富士真奈美が演じていた。珠子は誰だったかなぁ?
「てるてるあした」も借りてこようっと。





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Last updated  October 2, 2006 10:35:37 PM
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