見取り八段・実０段

我々は、愛と言う物を甘く考えていたんですよ。

確かに彼はロボットです。
しかし、彼の中に愛情を感じる心があるのです。

もう、ゼロワンは我々が勝手に処分できる存在ではないのです！



クロノスヘブンによって初期化されたはずのナイトだったが、
なぜか、初期化は出来ず。

ナイトの記憶も感情も、消される事はなかった。



ナイトは私たちを誰よりも思ってくれる
純粋な心を持っているんです。


何があってもナイトは私が守って上げる。


梨衣子と並切は、ナイトを奪回。
ナイトの処分は中止された。



伊沢さん。
ゼロワンがなぜ初期化できなかったか解りますか？

あなたへの愛が、プログラムに打ち勝ったんですよ。




あいつ・・・・ロボットなんだろう？・・・

オレだったら、お前と一緒に年を重ねていける。


創志は納得できなかったが、梨衣子はパリ行きを止め、
ナイトと暮らし続ける事を選んだ。



一方、ナイトの機体温度上昇は、どうやっても直せず、
身体の具合は、相変わらず悪そう。


ある夜、梨衣子がお休みのキスをすると、
ナイトの体調は良くなった。


突然の「機体温度正常」状態に


２人の愛が奇跡を起こしたんでしょう。

と、並切は大喜びだが。。。


創志は、１人でパリへ行き、祖父の味を
再び作る事を決心した。


並切は、創志と、ふじ子にナイトの事を説明する。


彼の中の愛が奇跡を起こしたと信じています。


今、２人の間には堅い絆がある。

それを奪う権利は誰にもありませんよ。



梨衣子とナイトは、仲良くデート。

老夫婦を見かけた梨衣子は言う。


いつか高い空の上に行っても、私がナイトを見守っていてあげる。


微笑むナイト。


オレ、今日のこと、絶対忘れないよ。


創志がパリへ発つ、送別会の日、
ナイトは創志に言う。


以前、創志さんにはリイコを幸せには出来ない
と言いましたが、撤回します。

創志さんもリイコを愛しているから。


リイコが幸せでいることがオレの幸せなんです。



そして、ナイトは、梨衣子の前から
永遠にいなくなった




ナイトのメインICは、完全に焼き付いていた。

ロボットには有り得ない、無理な感情が負担を与えていたのだろう。

修理は不可能だと並切は言う。


先週からずっと続いていた、まるで遺言のような
ナイトの言葉の数々が蘇る。

自分の寿命が少ない事をナイトはとっくに知っていた。


そして、創志に愛する梨衣子を託したのだ。



並切さん、オレを作ってくれて、ありがとうございます


産んでくれた親に対するような言葉。

並切も、どんなにこのロボットを愛していたことか。


ナイトの記憶は梨衣子の手の中に、小さなチップとして残された。


もっと優しくすれば良かった。

と泣く梨衣子だが、

ナイトの中には、梨衣子との思い出がたくさん残っていた。

これを与えて上げたのは、梨衣子自身。


梨衣子もまた、ナイトに幸せを与えていたのである。



そうして、梨衣子は、ナイトの思い出が詰まったチップを持ち、
創志と共にパリへ旅立つ。


それがナイトの望みでもあったから。



部長。
愛とは悲しい物だとおっしゃいましたよね。

私は、そんな事はないと思います。


愛とは全ての奇跡の始まりです





　　　　


愛とは、ただひたすらに相手の幸せを望むこと。

人間には、なかなかできる事ではない。
相手の事よりも、まず自分自身が幸せを得たいからである。


クロノスヘブンの部長は、

我々が望むのは愛を捧げぬくロボットであり、
愛を欲するロボットではない。


と言ったが、結局はゼロワンは梨衣子の幸せを望み続けて、
愛を捧げ抜いて逝った事になる。

部長の希望は、叶ったのだ。


そして、部長もまた、ロボットが感情を持つこと。
つまり、愛の奇跡を信じないわけにいかなくなる。



このドラマが始まった時、自分がこんなにこのドラマを
好きになるとは思いもしなかった。

ただ、水嶋ヒロくんを見たくてチャンネルを合わせただけで、
他に何の期待も無かったのだ。


始まりは極めて軽く、滑稽な動きを繰り返す恋人型ロボットと
今の時代には珍しく堅い女である伊沢梨衣子との間に
繰り広げられるドタバタを笑いながら見ていただけだった。


しかし、毎回そのドタバタの末に、
ロボットであるからこそ純粋なナイトの愛を見る事ができた。



このドラマの登場人物のように不器用なドラマだったと思う。

特に洒落た演出があるわけでもなく、
洒落たセリフがあるわけでもない。


それでも、このドラマが私たちの心を打つのは、
愛と言う物の本質がここにあるからだ。

それを教えてくれたのは、他でもない
ロボットであるゼロワンだった。


親子であってさえ、時に愛情に利害が絡む人間の感情。
ロボットであるからこそ与えられる無償の愛。


これに感動できない人は、なかなかいないだろう。



ナイトの身体は、今もクロノスヘブンに保管されている。


だから、いつかは、復活できる日も来るかも知れない。

２人が暮らした部屋も残っている。


いつか。


梨衣子が一流のパティシエになって、帰ってきた時、
そこにまたナイトの笑顔が待っているかも知れない



その望みを捨てずに

今は、ナイトの幸せな眠りを祈ろう。










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絢香／おかえり





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