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2007.10.01
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カテゴリ:うつくしいもの


 スリップウェアスリップウェアと思い詰めて心を焦がしたのはイギリスの十八-十九世紀頃のスリップウェアのある特徴的な一連の作行きのものですが、実際は技術的な意味でスリップウェアと呼んで差し支えないだろうと思われるものは時代、産地、技法、様式それぞれの上で多岐にわたります。こういったものにも大変魅力的なものは多く、イギリスものが簡単には手に入らないということもあって何かいいものがあれば積極的に求めてきました。
 オランダのスリップウェアとして以前にひとつここで紹介したことがありますが、日本の代表的なスリップウェアの制作家であられる柴田雅章さんとアメリカのスリップウェアの話をしていた時にちょっと伺った話ではオランダのものもやはりアメリカと同じく下掛けはしていないとのことでした。その時は現物を見てもらった訳ではありませんがつまり柴田説からするとかたちを作った土の上に赤土の泥を掛けてさらに白い泥で紋様を描いているこれはオランダのものではないということになります。
 たしかに自分もこれは非常に疑問のあるものだと思っています。おそらくは轆轤で作っているようですがまるで型作りのような厚手の作行き。ぼくの知る限りオランダのものはもっと薄手でしばしば底は高台があるのですがこの鉢にはそれがありません。紋様表現の冴えた感じもオランダものとしてはやや異例のものです。あるいはヨーロッパの別の国のものかそれとももしかすれば日本で作られたものかという気がしなかった訳ではないのですが見れば見る程わからないと言うのが正直なところです。特に最初見た瞬間には関東大震災を機に帰国した濱田庄司が持ち帰ってきたイギリスのスリップウェアに大感激した河井寛次郎が取り組んだ昭和最初期の仕事ではないかと思いましたが、やはり土や色調などと共にこのとことん使い込まれた時代感から総合的に見て四分六くらいでオランダものと考えるのが一番自然な気がしたのです。しかし改めて考えれば三百数十年使い込まれたオランダの器よりは八十何年か使い込まれた京都の器と考えることのほうが現実味があるような気もするし、もっと見聞を広めればもう少し違う考えになるかもしれません。そういう訳で先にオランダとしましたがこの鉢の産地と時代問題はいったん棚上げせざるを得ません。ただ使い込まれたうつくしいスリップウェアとのみしておきたいと思います。

 さて今日の写真はこれこそ紛うこと無きオランダのスリップウェアです。十七~十九世紀頃にかけて長い間似たようなデザインのものが作られたようですが、これは十七世紀とのことでオランダから送ってもらったものです。彼の地での用途は知りませんがこの小さなハンドルは持ちやすいものではなくもしかしたら指を入れて持つためというよりは紐でも付けて吊るすためのものではないかとも思います。外に波紋、内はマーブル紋ですが確かにこれは先の柴田説を裏付けるように下掛けに別の泥を使っていないように見えます。しかし内側のマーブル紋様がちょっと問題でこれがはたして本当に下掛けなしで出来るのかどうか、それとも轆轤した時にでる手泥でも薄く溶いて共土を使ったりあるいは水でも使えば出来るのだろうか、こんなことはやってみれば解決することなのでその内試してみます。
 写真では分かりにくいのですが壊れて貼り合わせ失われた部分はパテか何かで補完されているので実用には向きませんから残念ながらただ眺めて楽しんでいます。





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Last updated  2007.10.01 18:35:18
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