|
カテゴリ:カテゴリ未分類
先週、卒業式が行なわれている間に、私の本業では実にイライラさせられる事態が起こっていた。
今日、7月15日が学部の研究助成金の締切日で、それに応募するには指導教官の推薦状が必要だ。 ところが、ソフィア・デラ=ロッサは学校に今いないし、(6月26日、日記「ソフィア、帰ってこない…」) ドン・キーンのほうにはe-mailを送ったものの、返事がない。 むむむ。。。 この助成金は、チャンスがあるのだ。 来年度から新たに設けられたもので、 応募の条件として、「なにも奨学金・助成金を取得していないこと」とある。 うちの学部にはPhDの研究員が約50名いるが、英国人・ヨーロッパ人はまず全員なんらかの奨学金を持っている。アフリカ人も政府とかの派遣が多い。これらを除くと、残りはアジアとラテンアメリカ勢で多くて10~15人くらいではないか。 助成金を得られるのは2名。倍率たったの5~7.5倍。 昨年、学校の奨学金、日本の研究助成金などなど調べまくって、応募しまくったが、どうにもならなかった。。。。 まず学校の奨学金は、日本が裕福だと「誤解」されているので、発展途上国からの留学生に勝てない。いや、これは全くの誤解なのだ。発展途上国は、国自体は貧乏かもしれないが、留学生は大金持ちの上流階級の出身だ。我々普通の日本人より、金を持っているのである。こいつらが奨学金に応募して、それを勝ち取ってしまうのは、はっきり言ってとんでもない詐欺だと私は断言する。 日本の研究助成金は、まずもって「コネ」。外国から個人で応募するのでは、どうにもならなかった。 ということで、今回やっと周ってきたチャンスと思われるので、なんとしても応募したかった。 それで7月1日、学部から助成金の連絡があった直後に、ドンにメールを入れた。 ところが。。。。 何日たっても連絡がない。 無理もなかった。なんせ6月30日に学期が終了。夏休みに入ったところだ。 ドンは休暇を取っていると思われた。 それにしても、なんで「7月1日」なんて時に連絡してきて、締め切りを「7月15日」にするのだろう。これじゃ、指導教官の文章を得られない奴が結構いるだろうな、なんともうちの学部は段取りが悪い、とため息をつかざるを得なかった。。。。 とりあえずドンの推薦状は置いといて、 自分が書かなければならない応募書類に取りかかった。 そして、先週金曜日(11日)に英会話の先生・ニールにe-mailで送付。 英語の文法をチェックしてもらって、13日(日)には返事が来るはずだった。 これが、来ない。。。。 14日(月)になっても。 忙しいのか。 ニール氏は英会話の先生としてはパーフェクトで、文章のチェックもパーフェクト。 ただ、時間には正確でないというか、要求した期限どおりにやってくれないことは多い。 だから、通常私の文章の文法チェックをお願いするときは、提出期限の2-3週間前に余裕を持って、文法チェックを依頼している。 しかし、今回は緊急で仕方なかった。 応募書類の文章を読み返してみて、 まあ、意味はわかるわな、と思ったので、ニール氏の連絡を待たず、 私が書いたままで提出することにした。学部内の内輪のことでもあるし、大丈夫だろう。 15日、提出期限当日午前9時。 やっとこさ、ドンから連絡が来た。 「帰ってきた。書類は明日やる」 むむむ。明日だと。期限は今日だろ? と思ったが、ここで私はドンに「今日やれ」と言わず、 まずこの助成金の担当、ピート・ベンサム博士にメールを入れた。 「今日、助成金の願書を出しますが、ドン・キーン博士は先週まで休暇でした。彼の推薦状は、彼が明日直接あなたに渡すと言ってますが、いいでしょうか?」 ピートから返事がすぐ来た。 「OK!それで問題ないよ。」 よし。しかし、私はドンにすぐ返事をしなかった。 明日(16日)午前10時に返事をしようと思ったのだ。 なぜか? それはさておき、 まず私は午後2時に、学部事務所に無事願書を提出した。 事務所のおばちゃんには、 「ドン・キーン博士の推薦状は、直接彼からピート・ベンサム博士に渡されます」 と、説明して了解を得た。 。。。。さて、16日午前10時。 私はドンにメールを入れた。 「ありがとう。ベンサム博士には今日の提出でいいと了解を得てます。よろしく!」 わずか30分後。 ドンからメール。 「いま、書き終わってピートに手渡した。GOOD LUCK!」 OK! これで学部の研究助成金の応募は完了。 さて、なぜ私がドンから「明日やる」 とメールを受けてすぐ返事をしなかったのか? それは、私がすぐ返事をしてしまったら、 肝心の「明日」、彼が文章を書かないといけないことを忘れてしまうと予想したからだ。 だから、「明日」になってから、彼にメールを入れて、 彼が「おおそうだ、やらなきゃ」って気づくようにしたのである。 彼は今朝、私のメールを見て、大慌てで文章を書いたはずである。 締め切り期限に間に合わないことは不安ではなかったかって? こういう場合、英国人にはきちんと事情を説明できれば、大体融通はきくのである。 むしろ英国人は「私の権限で融通をきかせてやった」という場面を非常に好む。 ピートのプライドに訴えれば、絶対にこの話は通ると私は考えた。 英国人は、事務処理に関して日本の感覚からすると、非常に遅いし、いいかげんである。依頼したことをすぐ忘れてしまうし。 あまりちまちましたことを、一生懸命やるのは紳士的でないという考え方もある。 しかしながら、それに対して文句を言ってもなにも始まらない。 英国人の考え方、動き方をよく理解して、 こちらが臨機応変に対応することで、物事をうまく進めることができるのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2003年07月16日 21時28分57秒
|