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2005年08月01日
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カテゴリ:カテゴリ未分類
さて、今日は「かみぽこ政治学」。

郵政民営化法案の参院審議が続いている。
私は「青木幹雄の合理的行動とは。」というエントリーで

「郵政法案は問題なく参院を通過する」

と言い切ってしまったわけだが、
どうやら聞いた話では
永田町の動きは私が思っていたより
本当に厳しい。

ついに自殺者まで出てしまった。
長く暑い夏だ。。。。

今日はこんなことを書いてみたい。

いわゆる「失われた10年」と言われる、
90年代の深刻な問題の1つだったのは、
バブル崩壊による
金融機関の不良債権処理問題だったことは
皆さんよくご存知だけれども、これが

「壮大な先送り」

と言われ、今日に至るまで
その金融当局の政策運営の失敗が
厳しく批判されているわけだ。

その金融機関の不良債権が
どうやら大変な額であるらしいことが
顕在化しつつあった頃、
こんな話があった。。。

1992年6月、
大蔵省銀行局長に
寺村信行氏が就任した。

この寺村銀行局長は、
住専処理の時に
大蔵省と農水省の間で
「覚書」を結んだ銀行局長だと言えば、
ああ、あの時の、と
覚えてらっしゃる方もいるだろう。

寺村氏が銀行局長に就任した当時は、
世論はバブルの反省ムードが強い時期だった。

寺村氏はバブル処理に取り掛かるに当たって、
その過程で考えられる金融危機への
対応を検討するため、
まず歴史を徹底的に洗い直した。

その結果、寺村氏は昭和金融恐慌に
興味深い事例を発見した。それは、

「恐慌を挟んで起きた国論の変化」

であったという。
そして、それはつまり、

「恐慌が起きた後の財政資金投入には、
議会も国民も同意する。

しかし、恐慌が起きる前の投入には
強い難色を示す。」

ということだった。

どういうことかというと、
恐慌によって銀行が実際に破綻すれば、
税金は預金者の救済のために使われるということは
国民にもわかりやすい。
議会からの同意も得やすいが、
逆に破綻する前に税金を銀行に投入しようとすると、
混乱や損失を誰も感じられないため、
その目的が銀行の救済と国民から受け止められ、
議会からの同意は得られない、
ということだ。

実際に、昭和恐慌では、
恐慌が起きた後に田中義一内閣で
「台湾銀行救済法」が成立したが、
それは恐慌が起こる前に
若槻内閣下で否決された案と
同じ内容だった。。。。

処理案がまったく同じなのに、
世論が短期間で変化したということに
寺村氏は衝撃を受けたのである。

この歴史的事実に加え、
1992年当時の金融界には
まだ余裕があったこともあり、
寺村氏が率いる大蔵省銀行局は、
実際に銀行が破綻する前に
税金を投入することは
国民や議会の納得を得られない
と結論付けた。

これが、不良債権問題の
「壮大な先送り」の
始まりだったとされる。

私はこのエントリーで、
大蔵省など金融当局があの時
正しかったとか間違っていたとか
言いたいわけではない。

私が指摘したいことは1つ。

「問題が起こってほんとに国民自身が困るまでは、
国民は改革などやる気にはならない」

問題が実際に起こっていない「平時」には、
国民はわざわざ寝た子を起こすことを望まない。
ましてや、その寝た子に政治家が税金を投入するなど、
絶対に許さない。

政治家も次の選挙での悪影響を恐れて、
寝た子をわざわざ起こすことには
激しく抵抗する。

こういうことだろう。
少なくともバブル崩壊後の
不良債権処理の時、
金融当局はそう思ったから、
抜本的改革に腰が引けてしまったのだ。

翻って、今の国会である。

「郵便局のサービスに国民は満足している」
「郵政民営化より重要な問題がたくさんある」

郵政民営化について、
多くの政治家やマスコミが
こう言っている。

実際、郵政民営化より重要な問題が
あるのかどうかは別にしても、
少なくとも国民は、
実感として今の郵便局に
それほど不都合は感じていないのは
ほんとのことだろう。

だから、いくら小泉首相が

「構造改革の本丸」

と叫び続けても、
どうも我々国民にはピンとこない。

不都合を感じないだけでなく、
明日から郵便局が民営になったからといって、
我々の生活が何か変わるわけでもないしね。

郵便局でコンビニったって、
コンビニはコンビニですでに
たくさんあるわけだし。

いや、ほんとのことを言って。

つまり今、郵政事業に関して
改革を要するような緊急事態は生じていない
「平時」であるということだ。

そして、この郵政民営化に関しては
政治家はただ寝た子を起こさないだけではない。

特定郵便局長会や郵政労組など
郵政事業を死守しようとする組織が
政治家の重要な支持団体となっているからだ。

そういう支持団体を守るために、
政治家は静かにするだけでなく、
より激しく改革に抵抗してくるようになる。

「平時の改革は難しい」

という歴史的な教訓以上に、
郵政民営化はとても改革に
取り組めるような環境にはないようだ。

しかし、国民がピンときてないのとは
別な次元でもっと専門的に
郵政民営化というのは、
重要なのだという議論も
もちろんある。

以前書いたように
元々、郵政民営化は
郵貯・簡保で集められた巨額の資金が
財政投融資(「財投」)流れていて、
それが無駄な公共事業に流れていること、
そしてそこに多くの既得権益者が
群がっていて経済の非効率の元凶である
という問題意識でその必要性が論じられていたはずだ。

これは既に橋本内閣の行革で
財投改革が行われて、
郵貯簡保資金を財投への預ける義務が廃止され、
自主的に運用することが原則となったので、
もう終わった問題だと主張する政治家がいる。

しかし実際には、これらの資金はいまだに
国債、財投機関債、財投債、地方債
などなどの購入を通じて
依然として特殊法人や公共事業に流れ
国や地方の財政赤字を埋めているという話だ。

それでこれを解決しようというのが、
「郵便局をコンビニに!」
とは全く違う郵政民営化本来の目的のはずだ。

小泉構造改革とは、
これまでこういう資金の使い道の改革をやってきたわけで
それが道路公団改革や三位一体改革などだった。
そして、今度は資金そのものの改革に
取り組むというのが郵政民営化だということだ。

小泉首相は政策の細かいところがわかってなくて
丸投げだとか言われているけど、
首相の郵政民営化についての認識が
この線であることは間違いない。

「資金が流れる蛇口を閉めて、
無駄な資金が特殊法人や公共事業に
流れるのを止めて、
官僚から既得権を取り上げる」

というような意味のことを、
小泉首相は首相就任前から
TVとかでよく言っていたのを
私は覚えている。だから、

「郵政民営化は構造改革の本丸」

と、少なくとも
小泉首相は心の底から考えているのだろう。

しかし、小泉首相自身が最重要と考えても、
誰も望まない「平時の改革」を成し遂げるのは困難だ。

それを成し遂げるために、
これまで首相はありとあらゆる手を
使ってきたように思える。

首相の意思に忠実な人を
党執行部に起用し、
党政調会での政策過程を
無力化しようとした。


首相の人事権をフルに使い、
郵政民営化への抵抗勢力を
閣内に取り込み骨抜きにするなど、
首相の人事権をフルに使った。


トップダウンで意思決定し、
官僚組織を排除して骨抜きにした。


また、このエントリーで少し触れたけど、
佐藤優氏が「国家の罠」で書いたり、
野中広務氏が衆院議員を引退する際、

「いっちゃん(小沢一郎氏)には流す涙もあるが、
じゅんちゃん(小泉首相)には流す涙もない」

と言ったことのような、
冷酷なまでに政敵を潰すやり方。

などなど、かみぽこ政治学で
取り上げたものだけでも
いろいろあるのだが、
とにかく小泉首相はあの手この手で
抵抗勢力の弱体化を図り
郵政民営化の実現に動いてきた。

その結果どうなっているか。

郵政民営化以外の重要課題は
たな晒しにされたままになり、
政治家も官僚組織も
通常業務としての政策立案に
すっかりやる気を
なくしてしまったようだ。


野中氏が

「国を1つ潰した」

とこき下ろすほど
日本政治の政策立案機能は
崩壊してしまったようである。

永田町と霞ヶ関は
小泉首相が1人仁王立ちする周りで、
ぺんぺん草も生えないように
なってしまったようだ。

しかしある意味、
そこまで暴力的に改革を行おうとしてさえ、
郵政民営化法案は
成立するかどうかわからない状況なのだ。

自殺者まで出てしまったのに。。。

いかに「平時の改革」が困難であるか、
ということだろう。

本当に長く、暑い夏だ。

それでは、また。

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<参考文献>

西野智彦「検証 経済暗雲:なぜ先送りするのか」(岩波書店)





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最終更新日  2005年08月01日 18時04分15秒



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