かっこ悪さの中にかっこ良さがある
先週末、ある外資系企業の社長をつとめる友人が突然、職をとかれ、閑職に追いやられたということを知った。さて、その彼が社長職を解任されたと聞いて、心配、思い起こされることがある。何かにつけてカッコを気にする輩であり、小生とは他人の目に対する価値観、考え方がまったく違うのである。まだ、40歳半ばというまだ若いビジネスマンにもかかわらず、恥をかくことを極端に嫌う男なので、解任されたことで、さぞや意気消沈していることだろうと心配している。彼からの連絡がないことがその思いを強くさせる。これから、その友人は新たなる職場を求めて求職活動を行うことになるのだろう。おそらく、彼のことだから、社長以外はやらないとか、いままで以上に名前が知れた会社でないと駄目だとか、あるいは今以上の年収でなければ駄目だといったことを言い出すことが予想される。それは彼が決めることだから、小生がとやかくいうことではないが、新たなる一歩を踏み出す彼に送りたい言葉がある。それが、かっこ悪さのなかにかっこ良さがあるなのである。最近、たまに目にする気になるTVコマーシャルがある。ビジネスマンが謝罪のために顧客を訪問し、頭をさげまくり、そのビジネスマンに同行していた部下にあたる女性が「今日の部長、頭をさげすぎでした。でも、カッコよかったです。」という場面がある。実際、ビジネスマン役の男優がカッコいいのは事実だが、その意図するところは、いつもは部下を叱責する立場にある男が会社を代表して謝罪して顧客周りをするその懸命さ、率直さに対してカッコよかったと伝えることにあるのだろう。頭を下げることを好む人間はあまりいないだろう。いかにビジネス上のこととはいえ、何かと理由をつけて、敬遠したがる者がほとんどだろう。しかし、ビジネスの世界では、いずれの職位、職責にあっても、必要に応じて、人前で頭をさげることは必要でなる。ただし、それが本当に謝罪することの必要性を率直に感じて、謝罪するものは少ないよう感ずる。人間性によるのだろうが、ビジネスの局面における謝罪は、ビジネスマンとして受けた教育によるところが大きいように思う。ビジネスにあっては、対外的に約束したことは絶対に守らなければならない。ものの納期が遅れた時、納入したものに不具合があったとき、納入したものの数が誤っていたときなどなど、取引先に不利益を与えることは間違いない。そんな時、頭をさげることが求められるのである。その原因が自分のミスによるものではなくとも頭をさげにいかなければならないのだ。それは、会社を代表して頭をさげているのであり、会社としての信頼を損なうことがないよう、重要な仕事をしているのだ。実際に謝罪する相手が人間であっても、頭をさげている相手は、相手の会社、もしくはビジネスに対してであるということを理解しなければならない。会社の経営陣が、人前で頭を下げることがさほど珍しくなくなった時代になりつつある。彼には、まだ、若いのだから、会社を代表するということの意味を理解して欲しい。時にはカッコ悪いことも経験しなければないのだということを理解し、真のリーダー、経営者になってもらいたいと考えている。