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麻酔を用いた手術は日本人華岡青洲が1804年、全身麻酔下での手術成功が世界で初めてとされています。(モートンのエーテルによる全身麻酔の公開実験の約40年前のことだそうです)
それから遡ること1600年前、中国の三国時代に華陀(かだ)と言う名医がいて、麻酔を使った外科手術を試そうとしたそうです。真偽の程は分かりませんが、吉川英治の「三国志」に登場しています。 華陀は英雄関羽が毒矢で指された結果膿んだしまった肘を麻酔無しで、骨まで削る手術を行い、「大医は国を医し、仁医は人を医す。手前には国を医する程の神異も無いので、せめて義人のお体でも癒してあげたいと、遥々これへ来たのです。金儲けに来たのではありません」と百金を受け取らず、飄然と立ち去るのです。 その後、魏王曹操の頭痛がひどくなった時も天下の名医として呼ばれ、治療法について「無いこともありません。けれども非常に難しい手術を要します。御持病の病根は脳袋の内にあるので薬を召服がっても、所詮病には何の効も無いのです。ただ一つの方法は、麻肺湯(まはいとう)を飲んで、仮死せるが如く昏々と意識も知覚も無くしておいてから、脳袋を解剖き、風涎(ふうぜん)の病根を切り除くことで御座ります。さすれば十中の八,九は、根治するやも知れません」と見立てるのです。曹操は不当の見立てをしたと華陀を投獄し殺戮してしまいました。彼は生前“青嚢(せいのう)の書”として遺して医術秘伝の書は、譲り受けた人の妻が持っているのは危険と判断し焼却してしまい、為に遂に華陀の“青嚢(せいのう)の書”は世に伝わらずに了ったものだと言うことである。その後直ぐ、曹操は66年の生涯を忽然と終えたのです。 歴史小説家の故海音寺潮五郎氏も「三国志」で好きな人物は華陀だと言っていました。激動の世の中でも自分の天分を信じて身を処する生き方に共感したのだろうと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.07.12 15:54:42
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