長崎県五島列島には多数のカトリック教会があります。
明治初期のキリシタン禁教令が解かれて以来、先ずは木造教会の建築から始まり、その後堅牢な煉瓦造りに変化し、近年ではコンクリート製となりました。
又地元出身の類い希な匠が出現したこともあり、建築史に保存すべき教会が数多く、50ヶ所以上で建てられました。堂内の美しさも比類の無い教会もあります。
従って、大小様々、新しいものから古いものも含めてあらゆる教会建築を見ることが出来ます。
教会が手狭となり建て替えられる場合は、場所を変えてコンクリート製で造られるのですが、旧教会も取り壊せること無しに残されている場合もあります。
鯛ノ浦教会のように隣になる場合もありますし、丸尾教会の様に山の中腹から海岸近くに相当離れて建て替えられることもあります。
明るい大きなコンクリート製の教会より、古くて小さな煉瓦造りの教会の方が何とは無しに懐かしい感じがしてなりませんが、懐古趣味なのかも知れません!
全国に珍しい石造りの頭ヶ島教会、中通島北部の中核教会で煉瓦造りの青砂ヶ浦教会は国の重要文化財に指定されています。
教会内部はステンドグラスで飾られることが多いのですが、広い堂内を確保する目的で、特徴ある天井で構成されています。
西洋のアーチ式を模倣した蝙蝠天井はやはり高い室内空間を確保するには最適の様です。青砂ヶ浦教会は蝙蝠天井様式となっています。
日本の社寺建築からヒントを得たと思われる折り上げ天井は支輪や蛇腹を使って堂内中央を高くしています。頭ヶ島教会は一際美しい折り上げ天井で造られています。
青砂ヶ浦教会、頭ヶ島教会を造り上げた新魚目町出身の「鉄川与助」は小学校の学歴でしたが、フランス人神父の指導を受け、持ち前の向上心と行動力で教会建築に手腕を発揮しました。
古き日本の典型的な日本人で、良いものを貪欲に吸収しつつ自分独自のものを造り上げる気概に満ちていたようです。
日本人は少なくとも400年間、社会に文句を言う前にこのようにして自分の才覚を頼りに生きて来たのです。
そのお孫さんが開設した「お祖父さんが建てた教会」も参考にしてください!