テーマ:好きなクラシック(2290)
カテゴリ:Classic Music
1783年からモーツァルトはウィーンで独立音楽家としての新生活に入りましたが、その夏、妻のコンスタンツェとともにザルツブルクの父と姉を訪れています。
このザルツブルクに滞在中、かつての同僚で尊敬するヨーゼフ・ハイドンの弟でもあった、ミヒャエル・ハイドンは大司教のコロレドから二重奏曲を6曲つくるよう依頼されていました。しかし、ハイドンは4曲作ったところで病気になって果せなかったので、モーツァルトは友情から残りを引き受けて作曲したと言われています。 K423、K424の二重奏曲は珍しい楽器構成ですのであまり演奏されることは無いようですが、渋い味わいがある曲です。 我が家にありますのは、フランスのエラート盤でパスキエ兄弟による演奏のものですが、兄弟が密かに話し合う様な掛け合いが絶妙で、好きなCDの一つです。 「モーツアルト」で日本のモーツアルト好きを高揚させた小林秀雄氏は、この曲について次の様に言っている様です。 「カルテット、クインテットに好きなものが多いな。変わったものじゃバイオリンとビオラの二重奏曲など好きだな。弦楽器と言うのは本当に人間的な感じが強いものだ。それに比べてピアノは機械的過ぎるんじゃないかな」 疾走するモーツアルト-講談社学術文庫(高橋英夫 著) この序章で、上記の逸話を紹介していますが、それに続き「ピアノの打鍵と弦楽器の発する声とは異質なものかも知れませんが、異質な二つの音が出会い、絡み合い、譲ったり、逃げたりしながら拡がりを形作って行くところに、音楽のドラマがある筈です。 ところがバイオリンとビオラなら、同質の音がさながら蝶が2羽もつれながら舞うように美しい音型を描き出します。 そういうものに惹きつけられた小林秀雄は、感性の好みを通じて彼の精神の傾向を示していた訳です」と解釈を披露しています。 成る程と思えないでもありませんが、一寸穿った見方に過ぎるような気もします。 感性は悟性と異なり、時々の事情、培った経験によって変化し「行く川の水は絶えずして、しかも元の流れにあらず」となるような気がしますから・・ この著者の自薦モーツアルト・ベスト・テンについては、こちらをご覧下さい! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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