ふと、高校1年生で教わった漢文を思い出しました。
唐の時代、李白、杜甫とも並び称される晩唐の詩人の杜牧が作った七言絶句、春たけなわの時期ですので、厳冬の時期には相応しくありませんが・・
江南春望 こうなんしゅんぼう 作者 杜牧 とぼく
千里鶯啼いて 緑紅に映ず せんりうぐいすないて みどりくれないに えいず
水村山郭 酒旗の風 すいそんさんかく しゅきのかぜ
南朝 四百八十寺 なんちょう しひゃくはちじゅうじ
多少の楼台 煙雨の中 たしょうのろうだい えんうのうち
晩唐の詩人杜牧の時代から、約300年遡ると、江南の地には南朝の歴代王朝があった。
国力は不安定だったが、貴族的な仏教文化が大いに栄えた。そのような南朝は、唐代の文人にとって憧れであったことも、この詩の空気のなかにある。
悲しいことに、このような美しい風景は、今の中国にはない。水も空気も限りなく清らかな天然の美から、現代の私たちはどれほど遠ざかってしまったことだろう。
漢詩好きとしては、ひときわ感傷的にならざるを得ない。
中国だけでなく、日本でも海岸や河川がコンクリート護岸で固められ、自然の中で親しみつつ生活出来る風景はめっきり少なくなりました。
毎年訪れる五島列島も海岸がコンクリート護岸やテトラポッドで埋め尽くされ、海は磯焼けで海藻や魚が激減してしまっています。
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