古書店の魅力に、書ばかりではなく生原稿であったり、書店の包みであったり、あらゆる古の紙片まで含まれての商品の売買であった時代があった。
アテネ文庫の特色
1 凡ゆる領域にわたり、現代の最も切實な問題をとりあげていること
2 新たな書下されたものを原則とすること
3 豊富な内容を八〇頁以内に凝(旧字)縮し、しかも三〇圓均一であること
4 画(旧字)期的企画(旧字)として、各部門の辞(旧字)典を加えたこと
とある。
「國文學入門」の帯の裏表紙側の紙片の切れ端なのだが、この紙片を捨てることはできない、価値があるのだ。
探せば何処かに本誌もあるアテ文庫。
私は古書の価値を、かような部分に求めていた。
新刊古書店なる矛盾した商売が成り立っている、古書を紙片にまで深化させて再び真なる古書店の復権を望む宵。
原油の先物取引だのなんだの、目先の利益に操られる輩どもよ、真の価値を知れ。
知識を得て、儲け、文化を知り、還元しないことには守銭奴の揶揄を免れることはできない。