今はもう手元にない画集を求めたのはいつのことだったろうか。
書店で見て堪らずに欲した画集はそのころの我には高価であり、貯金して購入すると細君に宣言して、500円玉があると貯めこんだ、それは我の財布からも細君の財布からも。
無理やり貯金と笑われて一週間ほどおいて購入した画集はアンドリュー・ワイエス『ヘルガ』
詩情溢れる作品に溜め息を漏らしながら頁を繰った。
風が、雪が、肌が、描かれる全てが透明感を持っている彼の作品を眺めていると、身近な見慣れた光景も感じるものを増やすことによって作品化できることを知った。
作品展を観る機会には未だ恵まれていないのだが、いつか彼の生きているうちに作品の前に立ちたいと思っていたのだが、思いは遂げられなかった。
昨日1月16日、アンドリュー・ワイエス氏は91歳で亡くなった。
最も好きだった作品は「海からの風」