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鎌倉橋残日録  ~井本省吾のOB記者日誌~

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2013.02.09
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カテゴリ:政治・経済
 知人の金融ジャーナリストに、ある投資ファンドの幹部が電話で嘆いた。

 「政府の官民ファンドは問題だ。ああいうものが肥大化すると、我々民間のファンドの活躍の余地が狭まるだけではない。官のファンドと一緒に投資すると、リスクが小さくなるので、投資先の事業内容や企業の状況をあまり調べずに乗っかってしまう。それだけ厳しく査定しなくなるので、目利きが育たない。結果として魅力的な新事業が育たず、成長力の乏しい企業を官民ファンドで一時的に延命させるだけということになってしまいがちだ。これでは経済成長なんて期待できない」

 こう言って電話を切った投資ファンドの幹部は数時間後再び、その金融ジャーナリストに電話をかけてきた。 

 「官民ファンドを司る役所の幹部の連絡先を教えてくれませんか。あなたジャーナリストとして、その辺は詳しいでしょ? いや何、ウチも一枚加わろうと思って。もうけは薄くても楽に稼げる親方日の丸の商売はやっぱり、おいしいからね」

 「大きな政府」がいけない点はいろいろあるが、最大なのは、人々が政府に頼って自分で考え、自分でリスクをとって行動しなくなることだ。

 銀行は信用創造するのが本来の役割である。経営者の性格や行動をにらみつつ事業内容をしっかり精査し、担保をとりつつも、リスクをかけて企業に融資する。それにより厳しい目利きが育ち、経済活性化の担い手になる。

 ところが、政府が毎年、大量に国債を発行する。利幅はごくわずかでも、国債を買えば、リスクはほぼゼロで利益が確定する。先行きのわからないベンチャーや企業の新規事業に融資するより、国債を買った方がはるかに楽だ。ということで、どんどん国債が消化されて行く。一方、経済成長の新たな担い手は育たない。

 また、増税せずに、国債を毎年大量に発行して予算を作ると、人々は少ない納税で政府が面倒をみてくれるような錯覚に陥る。本当は後で増税という形で自分に負担が覆いかぶさってくるのだが、それはわからない。自分には関係ないと思い込んでしまう。

 増税は、政府が人々(納税者)に財政危機という現実を否応なしに見せ付ける政策である。それを人々の嫌がる心理につけこんで、野党は政権与党を叩く。

 「行政改革を断行し、もっと財政支出を削減すれば、増税の必要はない」「政府のため込んだ埋蔵金があるはずだ。それを使え」と。そう叫んで政権を奪取した民主党は結局、消費増税しか財政再建の道がないことに気づいた。

 しかし、歳出を削減し、増税しないという道はある。それが「小さな政府」路線だ。 国民の評判は悪く、選挙に勝てる見込みも薄い。でも、それが国の経済を再生する王道だ。そう確信した英国のサッチャーは不退転の決意で小さな政府路線を断行し、いろいろ副作用はあったものの、基本的に成功した。

 安倍政権もその道に踏み込めば、一時的に評価が下がり、罵詈雑言を浴びるだろう。だが、結局は国民はついて来ると思うが、どうだろう。

 先ほど国債を買うと、銀行はリスクがほぼゼロでもうかると書いたが、リスクはゼロではない。国債残高が雪だるま式に膨れ上がると、ある日、突然、国債の信用度が下がって、アッと言う間に価格が暴落する危険がある。

 それがいつ来るかはだれもわからない。だが、マグマが地下にたまる続けると、ある日、必ず地震が発生するように、国債残高がいつまでも増強し続けると、どこかで価格暴落が起こるのは必然だ。そのとき、日本経済は大混乱、恐慌に見舞われる。

 国民が自分でリスクをとらず、ツケを後世に回す「大きな政府」路線は、モラルハザード(倫理の欠如)を蔓延させ、国家経済を行き詰らせ、結局は国民にツケが回って来る。天につばをしているようなものなのである。





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Last updated  2013.02.09 10:33:00
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