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鎌倉橋残日録  ~井本省吾のOB記者日誌~

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2013.10.29
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カテゴリ:政治・行政
 昨日(28日)のNHK「クローズアップ現代」は「ひきこもりを地域の力に」と題して、秋田県藤里町の挑戦を取り上げていた。良い番組だった。

 全国に70万人もいるといわれる引きこもり。若い人々が多いが、最近は40歳を超え中年の域に入りつつある独身男性もいる。彼らは就職難で仕事が見つからず、自信を失って家に閉じこもってしまった。

 彼らをゲーム大会やカラオケで外に出す地元社会福祉協議会の試みは、全て失敗し、だれも出て来ない。結局、働く場を提供することが大事だとわかり、ホームヘルパー2級などの研修をチラシで呼びかける。

 これに、ひきこもりの人が応じてくる。「今、これに応募しなければ自分はいつ働くんだ」という思いでだ。そこから、高齢者介護などの職場が用意されて行く。

 この試みがすばらしいのは、「働く場」を適切に提供することでひきこもりを減らしていること。それが支援を求める高齢社会のニーズに沿っていることだ。
雇用創出と高齢者支援の双方を実現する。まさに一石二鳥だ。

 今、配偶者を亡くし、70-90代で一人暮らしをしている年寄りがふえている。彼らは介護施設に行くほどではないものの、買い物に行くのは不自由だし、掃除、洗濯、炊事も大変。雪国では冬、庭や屋根の雪かきも困難だ。

 一人暮らしは寂しく、「この1週間に一度もだれとも会話をしたことがない」という例も珍しくない。気軽に雑談できる相手がほしい。

 こうした要求に応えるべく、掃除や炊事、おしゃべりの相手をする若い女性集団のニュービジネスも生まれている。これはこれで結構なのだが、料金は最初の1時間が5000円、2時間目からは2000円といったように、安くない。高い厚生年金をもらっているか、そこそこの貯金のある人でないと、週に1、2度、それも1回に3時間程度しか頼めない。

 そこで、ひきこもりだった人に時給800円程度で来てもらえれば、1日3時間として2400円、月20回でも4万8000円程度で済む。これなら支払えるという高齢者は多いだろう。「高い」という人は月10回2万4000円コースとかメニューを用意すればいい。

 一方、「元ひきこもり」は1日2件の高齢者宅を訪ねれば、週5日間勤務、6時間労働で月給9万6000円が入る。

 高齢者宅のヘルパーとして必要な知識や訓練は自治体や社会福祉協議会で無料で受けられるようにする。自治体は少ない資金で雇用創出と高齢者対策が進むのだから、高齢社会の今日に適した政策だ。

 時には元ひきこもりヘルパーと高齢者が自治体の会館や近場の居酒屋などに集まってイベントや飲み会を開く。その際の費用の一部を、自治体が負担してもいい。

 このシステムは定年退職者の働く場を用意するアイデアに発展できる。65歳―70代でも元気な人は多い。彼らは年金をもらっているから、若い「元引きこもり」ほどは時給をもらわなくても済む。ボランティアに近いかたちで、70-90代の高齢者宅で炊事、洗濯、買い物、庭の手入れ、囲碁将棋の相手などができる。

 高齢ボランティアは高齢者相手だけではなく、地域の小中学校の補助教師にもなれる。教室で教師の授業についていけない子供の横につき、国語、英語、数学などわからないところを丁寧に教えるのだ。これらは元気高齢者にとって生きがいになる。

 ところが、こうした試みを提案すると、必ず「教員免許のない人を教育に参加させるわけにはいかない」といった硬直した意見が出る。

 支援を求めるところに、仕事を求めている人を差し向ける。そのために必要な規制は緩和ないし撤廃すべきである。政府の成長戦略はこうした地道で明るく、有意義な改善策の積み重ねで実現して行くはずだ。





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Last updated  2013.10.29 21:16:47
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