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鎌倉橋残日録  ~井本省吾のOB記者日誌~

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2014.05.01
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カテゴリ:政治・経済
 4月30日付けの日本経済新聞社説は「政府マネーに頼りすぎていないか」と題し、政府の肥大化に警鐘を鳴らしている。

 概ね賛成だが、微温的だ。もっと強く警告していいのではないか。たとえばこうだ。

 <正式決定はまだだが、原子力発電所の稼働停止で経営難に直面する北海道電力や九州電力への投資も、政策投資銀行は検討している。電力会社の経営基盤が揺らぎ「経済の血流」ともいわれる電力の安定供給に不安が生じると、地域経済全体が大きく混乱するかもしれない>

 だから「電力会社の政投銀投資にそれなりに意義がある」と、日経社説は一定の評価を見せる。

 冗談ではない。これは国民のいやがる電力値上げを阻止するための姑息な政策なのだ。原発停止で電力会社は大半が赤字に陥り、電気代を値上げするしかない状況に陥っている。

 だから、「電力の安定供給を維持する」のにやるべきことは値上げか、それがイヤなら原発再稼働しかないのである。

 国民はどっちもイヤという。で、自民党政権はどちらもしなくて済むように政府系金融機関の投資で当面の苦境を糊塗しようとしている。

 国民に深刻な事態を隠蔽しようとしているのだ。国民をモラトリアム状態にし、甘やかす愚民政策である。だが、政府系投資とは税金投入であり、結局は財政を悪化させることを意味する。国の借金が借金が1000兆円を突破する中で、そんなことがいつまで続けられるのか。
 
 国民もバカではない。薄々自分たちが居心地の良い「温室」の中にいることを感じている。思い切って寒風の中に国民を引き出すことが肝心な時期なのである。

 なるほど一時は国民は政府与党を批判しよう。ポピュリズムの野党や大手メディアはここぞとばかりに政府批判に乗り出す。

 だが、そこを恐れずに「財政を悪化させずに原発停止も電力値上げも同時に続けることはできないのが現実だ」と丁寧に説明すべきなのだ。それでも今の政権を支持するか、ポピュリズムの野党にバトンタッチするか。民意を問えばいいのである。

 安倍政権もそこは承知しているに違いない。だが、政権基盤はそれほど強くない。党内の反対勢力の圧力が高まれば強い態度には出れない、ということだろう。
 それに悪乗りする形で、国会議員の歳費削減も5月からやめることになった。本来、議員定数削減の見通しが立つまで国会議員も「身を削る」ということだったはずだ。だが、見通しは立っていない。それでいて削減をやめ、満額に復帰する。「お金がほしい」党内の議員の圧力に抗しきれないのだ。

 そういう内閣の弱さをにらんで、役所は権益拡大に動く。

 政投銀は、富士通とパナソニックが共同で設立する半導体の設計・開発会社に40%出資する方針。経済産業省系のクールジャパン機構は投資案件の第1弾として、エイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)が中国に開く商業施設への出資などを検討する。産業革新機構も、王子ホールディングスと共同でニュージーランドの紙パルプ会社の買収を決めた。取締役も送り込む。天下りポストの拡大である。

 今や、日本は成熟国で民間企業に投資判断を任せる方が効率的な経済になっている。それを自力でできないような民間企業は淘汰するしかない。政府投資はそのままであれば淘汰されるゾンビ企業を延命させるだけ。日経社説も書いているように、産業構造の転換を遅らせ、財政悪化を促進する愚策である。

 国家主導型の外交・防衛に強い安倍首相は経済も国家主導がいいと考えているフシがある。小さな政府の方がずっと成長戦略に合っているのだ、ということを、だれか側近が伝えられないだろうか。





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Last updated  2014.05.01 15:20:19
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