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鎌倉橋残日録  ~井本省吾のOB記者日誌~

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2015.02.14
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カテゴリ:中国
 JBプレスに掲載された藤和彦氏の原油市況についてのブログが衝撃的だ。題して「中国経済の急減速で原油価格は二番底へ」。中国の不動産バブルなどの崩壊で世界経済が冷え込むと、原油価格はなんと1バレル10ドル台突入の可能性もあるというのだ。

 原油価格は2014年6月ごろは100ドル前後だったが、そこをピークに半年強で今日まで57%も下落した。この変化は1985年11月から1986年3月にかけて67%の暴落に肉迫する。だが、さらに下げる可能性が高い。

 すでに2年ほど前から始まった中国経済の急落はこれからが本番だからだ。
 中国経済はすでに2ケタ成長の時をすぎ、中国政府の発表によると昨年は7.4%成長と言われる。だが、この数字を額面通りに信じている経済専門家は少ない。

 実際の成長率は電力消費量の伸び率が最も近いといわれるが、藤氏によると、昨年のそれは2013年の半分程度の3.8%に急減している。

 <エネルギー消費の7割を占める石炭の2014年の生産量も2000年以降初めて減少に転じている。また、2014年1月から11月までの中国国内の鉄道貨物輸送量は前年比で3.2%減少している。物流の大黒柱である鉄道の貨物輸送量がマイナス成長に転じていることは、エネルギー消費の動向と併せて考えると、中国全体の経済活動がかなり冷え込んでいると考えて間違いはない>

 さらに深刻なのは労働年齢人口(16~59歳)の減少だ。

 <高齢化が急速に進行し、「5年後には人口13億人のうち6億人を、働く世代が支えなければならない時代が来る 」とする向きもある>

 <中国の鉱工業生産額は2001年にドイツ、2006年に日本、2009年に米国を抜き、2013年には3646億ドルに達した。2000年から2013年にかけての伸び率を平均すると33.4%となる。これは世界全体の10倍以上のスピードである。世界経済のデフレ化が懸念される中で、3646億ドルという数字が今後10年間で3分の2になったとしても、世界経済の供給過剰状態は解消できないかもしれない> 


 これに、以前から不気味な地鳴りを響かせていた不動産バブルの崩壊がいよいよ今年から本格化しようとしている。 

 <2014年12月の新築住宅価格が8カ月連続で下落するなど不動産市場の在庫が依然として高水準であることから、不動産会社のデフォルト懸念が日増しに高まっている。2014年末には国家所属のシンクタンク(国務院発展研究センター)が、「長年蓄積してきた不動産バブルが、需要の萎縮によって2015年に破裂するかもしれない」とバブル崩壊の可能性を認めるまでになっている> 

 中国企業は資金繰りがつかなくなり、倒産の連鎖が広がり、バブル崩壊のカウントダウンに入る……。

 そこで、藤氏は「今回の原油価格の下落局面はまだ6合目程度であり、さらなる下落前の『踊り場』に過ぎない」と指摘、1バレル10ドル台突入もありうると予想するのである。

 だが、中国のバブル崩壊の世界経済に与える影響は原油市況にとどまらない。デフレはさらに深刻化し、世界経済は冷え込む。中国国内の社会不安は高まり、今でも散発している各地の暴動はさらに激化しよう。習近平政権は国内の不満を外にそらそうとして、尖閣諸島など日本領海への侵犯を強め、日本と局地的な紛争を起こそうとするかも知れない。

 極度の経済不振は中国や北朝鮮の難民をふやし、船に乗って難民が日本沿岸に押し寄せる事態だって考えられる。あるいは難民を装って沖縄などに大量に偽装軍人が乗り込み、占拠しようとする事態もありえないではない。

 
 以上、悲観的にすぎるかも知れない。私自身、杞憂で終わることを望んでいる。だが、中国経済の急落の影響が軽微で済むはずがないことは確かだろう。政府がそのシミュレーションをやっていないとすれば、無防備である。

 政府・与党は大丈夫だろうか。そんな不安があるのは例えば、安倍政権は安保法制を整備し、「恒久法」を目指しているのに対して、平和主義を標榜する公明党は、いまだに有事の度の特別措置法での対処で十分と主張しているからだ。ノー天気そのもの。そんなのんびりしたことを言っていて、中国の脅威に対処できるのか。中国の不穏な変化をわかっているのだろうか。





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Last updated  2015.02.15 11:10:31
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