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閑古鳥の巣箱

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小市民伯爵

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2004.06.16
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私だってたまには社会貢献をするのです。

「あぁ、昨日は大変だった」

「何かあったの?」

「いやぁ、交番に行ってね」

「とうとう、ばれたかっ!」

「何がばれるんだよっ!ただ、財布を届けに交番に」

「自首しに行ったのか」

「盗んだんじゃないって!駅に落ちてたんだよ」

「そんな・・・お前が財布を届けるなんて・・・」

「この世の終わりみたいな顔するなよ!」

「わかった。財布の中からっぽだったんだろ?」

「それが、万札1枚に千円札4枚、それと小銭がじゃらじゃらでさ」

「うそだろ・・うそっていってくれ、お金がいっぱいはいった財布を届けるなんて
 世の中には科学では説明できないことがあるっていうが」

「無茶いうなよ。なんで俺が財布を届けるのが超常現象になるんだ
 もちろん俺の中の悪魔がこの財布を自分のものにしてしまえよって囁いたよ」

「やっぱり」

「でも中には定期券やクレジットカードがあったから俺の中の天使が・・・」

「札だけ抜いてやれ」

「違うよ!どんな天使だ。まったく。まぁそういうわけで交番にいったわけだ」

「ふーん」

「交番に入ると、年老いた警官と若いがっちりとした警官がいてね」

「羽交い絞めにされた」

「なんでだよ!何もしてないったら。財布を届けに来たんだっていったら
 あぁ、今どき珍しい好青年じゃぁないか、としきりにほめる」

「自首しにくるなんてなぁ・・・」

「市民をちょっとは信頼しろよ!
 でも、俺は財布を届ければそれで終わりだと思っていたんだけど、そうじゃなかった」

「やっぱり、別件逮捕・・・」

「違うったら。持ち主が来なかったら君のものになるし、持ち主が来ても
 君にお礼を言いたいだろうから、名前と住所を教えてくれないかな、と」

「わ、私は誰・・・ここはどこ・・・?」

「なんで、記憶喪失になってるんだよ!」

「もう飲めないよ、うぃっく」

「酔っ払いか!あほか。財布届けに来たんだってば。それでちゃんと言ったら
 今度は、財布を拾った時間や、場所、そのときの状況まで詳しく言えと
 言ってくる」

「黙秘権を行使します」

「するかよ!隠すことないんだから。でもね、そうはいっても詳しく覚えている
 わけなんかないんだよ。特に時間なんか覚えてないからね」

「さぁさぁ、包み隠さず言いたまえ、楽になるぞー、かつ丼うまいぞー」

「自白しないってば!仕方ないから電車の時刻表を見て答えたら
 いちいちつっかかってくる。

 あれ、妙だね。電車から降りて交番まで来るのに30分以上かかっている。
 そのまままっすぐ来れば5分もかからないのに、何をしてたんだいって」

「す、すいません。私がやりましたーーー」

「何をだよ!そういえば駅から降りて、コンビニで立ち読みをしていたんだった。
 でも、さすがに立ち読みとは警官に向かって言いにくいから、
 友達と話していたって」

「その友達の名前は?」

「え・・・それは・・・」

「君ね、嘘はいけないよ。そのとき君のそばに友達なんていなかった。
 全て君の作り話だね。もう見苦しい言い逃れはやめたまえ」

「す、すいません・・・って、違うってば!そこまでつっかかってこないよ」

「それで今度は、財布の中身確認のために年老いた警官が1枚2枚・・・と
 ゆっくりお金を数えはじめるんだよ」

「あれ・・・万札が1枚足りない・・・」

「なんで元の枚数知っているんだ。その警官は!
とにかくまぁ、ちんたらやるんだよ。その間、交番の前を
友達とか近所の人とかが通るしさ・・・」

「あ、ついにつかまったか」

「そんな目で見られてるの!?とにかくいろいろと聞かれて取り調べに1時間もかかってしまった」

「ふーん。それでめでたく逮捕と相成ったわけだ」

「相成ってたまるか!うれしそうな顔をするんじゃないよ!
 まぁ、なんとか解放してくれて家に帰ったんだよ」

「ただいまんもすー」

「そんな恥ずかしい帰り方しないよ!玄関を開けると、母さんが当惑した表情で、
 さっき交番から電話があったよ。帰ったら交番に来るようにって・・・」

「あんた、ついにばれたわね。このドジ、ばれないようにしろっていったのに」

「家族でぐるなのかよ!それにしても
 あの警官、ひどいことに財布を俺が交番に届けたってことを言わないもんだから
 家族中がパニックになっていた」

「どうしよう・・・いつかはつかまると思っていたけど」

「悲しいこと言うなよ!まぁ、なんとか事情を説明してまた
 20分かけて交番まで自転車をこいだんだよ」

「盗んだバイクで走り出す~♪」

「盗んでないったら!それに15の夜は自転車じゃないだろ!」

「とにかくもう 学校や家には帰りたくない
 自分の存在が何なのかさえ 解からず震えている・・・」

「だから財布を届けに行っただけだってば!何に震えてるんだ!」

「なんてちっぽけで なんて意味のない なんて無力な」

「あほ!なんてそんなみじめな気持ちにならなきゃいけないんだ!
 まぁ、それで交番に行くと、金持ちそうな婦人が待っていた」

「この人です、私の財布をとったのは!」

「なんでだよっ!いやいや、ありがとうございますって
 俺の手を握って何度もお辞儀をする。やっぱり届けてよかったと思ったね」

「ふーん」

「そっけないなぁ。まぁ、用も済んだわけだから
 それで帰ってもよかったんだけど、婦人がね、財布を拾ってくれた
 お礼の礼金をくれるっていうからさ、いやいや、それは受け取れません、と」

「あ、さいですか。ほな、おおきに」

「簡単に引き下がるかよ!社交辞令だよ、いったん断るのは。
 封筒の中には2千円札が入っていた。なかなか粋じゃないか。
 そうして、警官が、婦人に財布を渡してね」

「あれ、万札が5枚ほど足りないわ」

「言わないよ!その婦人も大喜びでね。
 財布の中には大事なものが入っていたらしくて、
 婦人も、俺が交番を出て行った後も何度も何度もお辞儀をしてたよ。
 いやぁ、いいことをするってのはいいものだね」

「それで、オチは・・・」

「ないよ!美談にそんなの期待するなー!」

「まぁたかが財布を届けたくらいで美談って言われたくないな」

「じゃぁ、お前はもっといいことをしたのかよ」

「人の作り話を最後まで聞いてやった」

「作り話じゃねーーー!」





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Last updated  2004.06.18 08:15:01
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