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真理を求めて

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2004.09.24
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カテゴリ:社会
今週の「マル激トーク・オン・デマンド」は、環境エネルギー政策研究所の飯田哲也氏をゲストに招いて、「自然エネルギー促進の動きが世界的な高まりを見せている」ことを論じている。「北欧諸国やドイツでは、既にそのシェアは5%を越え、10年以内に2割のエネルギーを賄うことが可能になるところまできている」そうだ。「しかし、本来技術先進国であるはずの日本では、自然エネルギーの割合は現在で0.3%、10年後の目標でも1%台にとどまり、依然として原発依存から脱却するためのシナリオさえ描けていない」という。

少し前の「マル激」では、美浜原発事故を取り上げて、安全性の確保のためには、ものすごいコストがかかることがほぼ明らかになった原発であるのに、そのことを議論すら出来ない、原発事情というものも語っていた。原発の安全性を、何とか許容できる範囲で確保しようとしたら、1年間運転したら、1年間検査をするということが必要なのだそうだ。もしそんなことをしたら、電気代は今の2倍にする必要が出てくるという。そのようなコストをかけようとしてまで原発にしがみつくのはなぜなのだろうか。

現実的には、このようなコストをかけていたら、企業活動が行き詰まってしまうだろうから、コスト削減のために検査費用を削るという方向に行くのだろうと思う。飯田さんの話では、今まで三菱に委託していた検査を、コスト削減のために子会社をつくって、自分たちでやるようにしたそうだ。それを飯田さんは、素人にまかせたというような表現を使っていた。美浜原発事故の原因は、そのようなところにもあるのだろう。

コスト削減のために安全性を犠牲にするという考え方は、大変危険な考えだが、現実にはあり得るものだろう。そして、その影響として、時々深刻な事故が起きるようになる。美浜原発事故は、偶然、運が悪くて起きたことではなく、起こるべくして起こった必然なのではないだろうか。これはテロ対策の構造にも似ているような感じがする。

テロ対策も、本気でやろうとしたらたいへんなコストがかかるだろう。何しろ、今のテロは無差別テロになってしまって、どこがねらわれるか分からないからだ。あらゆる所を警戒しなければならない。しかし、それは現実には無理なことだ。あらゆる場所で厳しい検査をしたら、人が集まるような所はなくなるだろうから、経済的にも停滞してしまうだろう。結果的に、現実にはテロ対策は甘くならざるを得ない。そして、必然的に、時々深刻なテロが起きて、テロの脅威だけはいつまでも存続するということになる。

原発は時々深刻な事故が起きることを前提に運転しなければならない。テロも、時々深刻なテロが起きることを前提に、断固としてテロに対処しなければならない。この構造を変えることは出来ないのだろうか。この構造改革を妨げている原因は何なのだろうか。そのキーワードが、「既得権益」というものではないかという考えが、最近の一連の問題に共通するものとして浮かんできた。

世界の先進資本主義国では、もはや原発には見切りをつけて、自然エネルギー促進の動きが顕著に見えるそうだ。それは、今後促進することはあっても停滞することはないようだ。それが、日本だけがその流れから取り残されている。しかも、その流れに乗ろうとすれば、すぐにも乗れる条件がありながら、それを押しとどめるものが日本にはあるようだ。

風力発電に関しては、その最初の頃は、風車の効率というものがなかなか良くならずに、発電としては競争力がなかったそうだ。しかし、スウェーデンが開発した風車は、この問題を解決したというふうに飯田さんは語っていた。この風車を使って、安い電力を生産することが出来たら、これが爆発的に普及する可能性があるそうだ。太陽光発電などは、その施設がまだ高いので、電力そのものも高い電気になってしまうそうだが、風力発電には未来の安い電力としての可能性があるのだそうだ。

しかし、日本ではこの風力発電が伸びてこない。電力供給は、大手の電力会社がやっているそうだが、買い上げる電力量に制限を設けているらしい。実際の風力発電の発電能力よりも遙かに低い量の電力しか買い上げていないらしい。買い上げる値段は、自分たちの発電コストと同じくらいなのに、それでも風力発電はかなり儲かるくらいコストを下げているらしい。これが事実なら、危険な原発からはすぐに手を引いてもいいくらいになるだろう。しかし、そういう方向には行かない。

以前の美浜原発の問題の時は、槌田敦(名城大学教授・熱物理学・環境経済論)さんが、天然ガスを使った火力発電が、原発よりもかなり低いコストで発電が出来るとも語っていた。合理的な思考をする人間だったら、すぐにでも原発をやめて、他のものに変えていくのがエネルギー政策上正しいのではないかと疑問を持つだろう。

このような、本当の意味での改革の道を阻んでいるのは、マル檄のゲストの飯田さんに寄れば、「日本のエネルギー政策転換を妨げている最大の要因として、独占的地位を享受し続ける電力会社の政治力」だと判断しているようだ。独占的地位が既得権益を生み、それを守るために、合理的な判断が捨てられて矛盾と不合理が支配しているのではないだろうか。「無理が通れば道理が引っ込む」というヤツだ。

マル激では、このことをより一般的に、「独占企業の圧倒的な影響力とそれに群がる官僚主義、政財官のもたれ合い、御用学者が幅をきかせる学会・審議会、記者クラブ問題といった構図は、通信や郵政事業にも共通する日本病の一つの要諦を成しているかにみえる」という日本社会の構造としてもとらえている。この既得権益のネットワークが、日本の停滞をもたらしているのだろう。

小泉政権は、構造改革無くして真の改革は無いというスローガンで登場してきた。これは、抽象的な命題としては正しいだろう。表面的な言葉の言い換えでは、日本の停滞はもはやにっちもさっちもいかなくなっている。しかし、小泉政権は、真の構造改革は出来なかった。だから、真の改革も出来ていない。構造を変えるというのは、既得権益をもたらしている構造を変えることでなくてはならないのだが、既得権益の構造は未だに温存されている。郵政民営化の改革も、結果的には既得権益の構造は変わらないのではないか。

構造を変えるには、構造の全体を見渡して、権益ではなく、利益というものがバランスよく配置されるような構造に変えていかなければならない。全体を見渡すことの出来る指導者というものが必要だ。しかし、このような指導性は、日本人にとっては最も苦手なものだろうと飯田さんは語っている。

原発の問題でいえば、個々の技術に関しては日本はトップクラスにあるのだそうだ。しかし、その技術が、全体の構造の中でどのように整合性を持って関連しているのかという、全体の把握をするような思考が出来ていないのだそうだ。どのような力がかかった時に、パイプの安全性が保てるかという計算は出来るのだそうだ。しかし、その力を、どの程度のものに設定すれば妥当なのかということを考えることが出来ないのだそうだ。

むしろ、コストはこの程度に抑えなければならないので、このような設計をするという、逆転した安全性無視の考え方で権益を守るという思考に陥りやすいのだろう。このような思考になってしまうのは、広い視野がないからだ。目先の利益という権益の方が優先され、長い目で見た時の利害のバランスとか、安全性との比較で儲けを考えるという相対化の視点が持てないのだと思う。

既得権益に目を曇らされている人間は、広い視野が持てない。だから、そこからは必然的に何らかの失敗が繰り返されるということが起きてくるだろう。既得権益は、ある種の独占から生まれてくるから、「独占」という言葉もキーワードとして注目していいのではないかと思う。先進資本主義国では、「独占」というものをたいへん気にするそうだ。それが社会の停滞をもたらし、結果的には資本主義の衰退につながってくると考えているのではないだろうか。

日本社会における企業は、国家的には独占状態であっても、世界の舞台で外国との競争をするには小さい力でしかなかったという状態が続いたので、独占というものがそれほどの弊害を生まず、国家的な目標達成のための手段として、今までは成功していたのかもしれない。しかし、世界の舞台での競争力も持ち、先進資本主義国の仲間入りをした今は、その独占の弊害が顕著に表れてきているのではないだろうか。

マル激では、NTT、原発などの電力に関して、この独占の弊害を語り、それがもたらす停滞というものを具体的に分析していた。今のプロ野球の停滞も、同じような構造で解釈できそうだ。ドラフトや放映権料の問題などを改革すれば、プロ野球全体の発展の方向も見据えることが出来たのだろうが、既得権益を守ろうとする勢力が、その改革を阻んできたのだと思う。そして、それが停滞という現実につながっているような感じがする。

我々の身近にも、停滞をもたらしている、独占から生まれる既得権益がないだろうか。そういうものに注目して世間を眺めてみるのは、新しい発見をもたらすかもしれない。





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最終更新日  2004.09.24 09:43:11
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