テーマ:戦争反対(1185)
カテゴリ:戦争と平和
元防衛庁長官、石破茂氏の講演をネットで見つけました。
シゲル講演 シゲル講演II 石破氏と言えば、名前の「いしばしげる」が「石橋ゲル」と誤変換されることから、「ゲル長官」という渾名で親しまれた人物。日本では珍しい本格的な防衛通の政治家で、自称平和愛好家からは「日本版ネオコン」などと呼ばれて攻撃されてもいます。これは本人も講演の中で仰っていますが(笑)。 何を語ったのかは実際に見ていただくのが早いとは思いますが、40分の講演ということで文章量もそれなりにあり、読むのは大変です。そこで、ここでは私が特に印象深く感じたところをピックアップしてみたいと思います。 1990年、平成2年ですか、湾岸戦争がありました。(中略)日本は何したらいいのか、国会議員にもアイデアないし。お役人にもアイデアないし。PKOという言葉も聞いたことがある人がほとんどいなかった。「ピース・キーピング・オペレーションか」みたいな話ですね。ピース・キーピング・オペレーションなんですが、「プライス・キーピング・オペレーション」と間違えた人がいて、何が何だか全然わからない話で、これは結構私にとってはショックでした。 今でも国連軍を地球防衛軍か何かと混同しているかのような認識の人は結構多いですが、この当時はもっと酷かっただろうと思います。それにしても、政治家や官僚でもこういうレベルだったのかと思うと、なかなか恐いものがありますね。 それにしても、「プライス・キーピング・オペレーション」て一体…… 北朝鮮に私行ったんです。なんで行ったかというと金日成主席生誕80周年奉祝団ってのができたんですね。(中略)そういうのを見ると徹底して貫かれているのは反日です。反日。反日で貫かれていて、自分の命令の下に人々が動いている。私の選挙区は鳥取県ですが、飛行機で1時間しかかからない。そんな近くにこんな国があるというのは、私にとっては人生観変わるほどのショックでした。 そういう国の元首を祝いに行くあたりが、なんと言うかアホらしいと言うか。この時に北朝鮮に媚びまくった政治家もいるようですし。そう言った中で日本の防衛と言うものを真剣に考えるきっかけにした石破氏は、やはり一角の人物だと思います。 この統治を支えて、社会秩序の一元的な統括を可能にしなければなりません。そのためには各人を畏怖させるような暴力行使の独占というのが前提になります。いろんなものがそういうような暴力行使をできるということになりますと、秩序なんか絶対に保てません。 こう言う事をズバリと言うから、石破氏は自称平和主義者に嫌われるのかもしれませんね(笑)。 実際世の中はそうやって秩序を保っていると思うのですが、暴力と聞くだけでアレルギー反応を起こす人は、そういう事がなかなかわからないようです。 軍隊の権限行使の単位はあくまで部隊です。警察の権限行使の単位はあくまで個人です。それが違いです。 それだけでもないとは思いますが、非常にわかりやすい説明だと思います。 責任は政治がとるのであって、軍事に責任を負わせることはあってはなりません。政治優先というのはそういうことであります。 良く自衛隊が平和維持活動に出発する時に、駐屯地にデモを仕掛けたり、宿舎にビラを撒いたりする人たちがいますが、あの手の人たちはこういうことが全く理解できていないんだろうなと思います。 自衛隊は政府の命令を受けて動いている存在なのですから、圧力をかけて、命令不服従を強要するような事をするのは、クーデターだの反乱だのを引き起こすのと同じです。 というか、自衛隊が「自分らを悪し様に罵る連中を黙って見過ごせ、と言う政府の命令は納得行かないので、連中を武力弾圧する」とか考えたらどうする気なんでしょうか…… 軍を活用することにより、外からの脅威から国家・国民を守ると共に、地域や国際社会の安全保障環境の向上を図ることということであります。 これも軍と政治のあるべき関係を良く現した言葉だと思います。石破氏も語っていますが、かつて日本は軍の使い方を失敗し、国を滅亡に追いやりました。 それなら正しい使い方を勉強し、今度こそ国の役に立てようと言うのは反省として妥当な意見のはずですが、何故かこれが亡国の意見のように扱われたのが、戦後日本の歪みであったと思います。 自衛官の立場で専門的な立場から政治に対して専門的な意見を言うのは、自衛官の権利であると同時に義務であります。そうでないと文民統制は成り立ちません。 この後で石破氏はいわゆる「来栖発言」に触れていますが、そんな事もあって、自衛隊が政治の側に何かを言う事がタブーとされる時代が長く続きました。同時に、政治の側でも自分たちの都合を一方的に自衛隊に押し付けた時代があります。カンボジアPKOでの「機関銃の数論争」などは、その最たるものでしょう。 政治と軍事がお互いを良く知らなければ、良い関係は結べないのは自明の理のはずです。 「脅威」というのは意図と能力の掛け算です。足し算ではございません。掛け算です。従ってどんな、例えば米国は物凄い能力持っていますね。だけど、日本を侵略する意図はゼロですね。従って掛け算の積はゼロなんです。じゃあ、他の国はどうなんだ。あえて国の名前は申しませんが。 これも上手い言い方だと思います。自称平和主義者の皆さんにはやたらとアメリカを敵視して、それ以外の国の脅威を殊更軽く見る人たちがいますが、この計算方法を教えてやりたいものです。 たぶん理解しないでしょうが。 専守防衛とは何か、という話です。(中略)何でもかんでもやれというのは特攻機を出すのと何も変わりません。そんなことを命ずるのは論外、常識はずれでございます。 世の中にはイラクに500人からの自衛隊が非戦闘任務で行っただけで「侵略だ」「外征だ」と言う変な人や、数字上自衛隊の飛行機が北朝鮮に届くだけで烈火の如く怒る人がいますが、軍事の常識を知らないからそうなるんでしょうね。常識を知る人は、そんな事はないということを良く知っています。 自衛隊って結構シニアな部隊ですよってことです。 これは結構ショックでした。平均年齢41歳……決して若い数字ではないですよね。 もし予算がもう少しあれば、採用枠を増やして若い年代を増やせるのでしょうが、そうではないので採用を絞らざるを得ない……軍縮をする以上避けては通れない道なのかもしれませんが、やはりちょっと危機感を覚えます。 皆さん方が担っていかれる時代に、私は戦争をやりたいと思っていません。戦争のこと、軍事のことをきちんと知らないで戦争を防ぐことは出来ないということだと。それを知らないで戦争が起きないということは私は妄想なのだろうと思っています。 戦争を知る事は戦争をする事に近づく事だと言った人がいますが、まさに妄想でしょう。 で、講演の中で一番笑った発言。 中国の人たちにわたしはこう説明するわけです。最後に言うのはBMDの話なんです。「そういう能力を日米で独占するのは誠にもってけしからん」と。「そういう能力を持つことは軍拡を招くのだ」と、こうくるわけです。「な、な、なんで軍拡ですか?」。BMDのミサイルというのはそれ自体何の攻撃力も持っていないのですね。向こうから飛んでくるのを石ころぶち当てて落とすわけですから、それで破壊しようという。BMDシステム自体は攻撃能力ゼロなんです。「なんでそれで軍拡ですか?」と聞くと、「そういうのを持つことによってさらにそれを上回るミサイルを持つ国が現れるのだ」というから、「どこのことでしょうか、それは」と。 素晴らしい切り返しです。中国側、思い切り自爆してますね(笑)。 まぁ、BMDの問題が無くてもあそこは毎年猛烈に軍拡してますから、今更何をかいわんやですが。 それにしても、「右翼」「ネオコン」「軍事オタク」などと言われる石破氏ですが、こうした講演の様子などはもっと良く知られるべきでしょうね。これを聞けば、石破氏にそうした罵声(?)を浴びせる事が如何に勘違いしている事か、良くわかると思います。 何しろ、罵倒している自称平和主義者的には「右翼」「ネオコン」「軍事オタク」と言うのは 「軍拡するぞ! 核武装するぞ! 徴兵するぞ! 侵略するぞ! わが国はアジアの盟主になるのだ!」 という思想を抱いている人(そんな人いるかどうか知りませんが)だと思うのですが、私に言わせれば 「それなんて特定アジア?」 ということで。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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