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名無し人の観察日記

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2011.03.17
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カテゴリ:カテゴリ未分類
 

11日に起きた東北地方太平洋沖地震はその規模がM9.0に修正され、歴史的な超巨大地震になりました。
 私は中学生の頃仙台に暮らしたことがあって、現在も多くの友人がいます。幸い、全員無事と判明して胸を撫で下ろしたところですが、なかなか安否情報が入らず、焦燥感が募ったものです。
 
 こういう、情報が正確に入りにくい時にしばしば流れて世の中を混乱させるのが、デマの類です。既に当日からネット上でも無数のチェーンメールが流れ始めていました。例えば、千葉県市原で起きたコスモ石油の施設爆発炎上ですが、これに関して有害物質の混じった雨が降るので外出するな、と言うのが最初期の例でしょう。
 
 実はこれらの見分け方は比較的簡単で、定番として「拡散希望」と付いているようなメールやネット上の掲示板への書き込み類は、100パーセントデマの類と判断して間違いありません
 
 一方で、もっと性質の悪いデマも存在します。特に福島第一原発がらみに関しては、ここぞとばかりに反原発を掲げる連中が一斉にデマを書き込みだしています。
「原発が核爆発を起こす」などと書いているのは、原発と原爆の区別も付かない馬鹿な連中のする事で、流石にこういうのに騙される人はなかなかいませんが、中には一見もっともらしい事をして説得力向上に務めている、極めて悪質なデマも存在します。
 その代表格がこちら。

【原発事故】計器メーター振り切れ、放射線測定不能

>フリーのフォトジャーナリストなどでつくる「日本ビジュアルジャーナリスト協会(JVJA)」のメンバー5人と雑誌「DAYS JAPAN」編集長の広河隆一さんは13日、福島第一原発付近の放射線量を計測したところ、携帯していた計器のメーターが振り切れ、計測不能だったことが明らかとなった。
(中略)
>午前10時20分時双葉町役場玄関付近で放射線を計測。すべての測定器が振り切れた。更に午前10時30分頃 双葉町厚生病院玄関前で計測したところ、ここでも、すべての計測器が振りきれたという。
 
>使用した計器は「BEIGER COUNTR DZX2(上限は1000マイクロシーベルト/時)」と「VICTOREEN 209-SI(上限は10ミリレントゲン/時以上)」及び「MYRate PRD-10/1(上限は9.9マイクロシーベルト/時))の3台。上限を超えているため、正しい値を確認することはできなかった。
 
>原子力問題のスペシャリストでもある広河隆一さんによると、2月末のチェルノブイリ原発取材で、事故炉から200メートル付近で計測した値は4ミリレントゲン。事故炉から4キロ離れた、プリピャチ市で計測した値は0,4ミリレントゲンで、いずれも今回の計測が上回っており、非常に高い水準にあるという。
  
>しかし、取材の途中、役場などで避難していないと思われる住民と遭遇。また帰路の国道288号線でも、多くの住民が双葉町の自宅に戻っているところを目撃したという。ほとんど住民が双葉町の高汚染について知らず、植物に水やりをしたり、服を取りに帰る途中だった。中には子どもを乗せた車もあった。取材班が車を止め、長時間の滞在は危険であることを知らせた。半径二〇キロ圏内立ち入り禁止の表示も、検問もなかったという。
 
>広河さんは、余計な被ばくをなくすためにも、政府がきちんと情報提要すべきだと話している。

(アワープラネットTV)

 広河隆一氏はチェルノブイリ原発事故の取材で有名なジャーナリストだそうですが、この記事を見る限り、その素養には?印をつける以外に評価がありません。何故なら、持って行った測定器があまりに不十分な性能しか持っていないからです。
 
 その理由を説明する前に、放射線の単位について書いておきましょう。今回はシーベルト(Sv)とレントゲン(R)が出てきます。
 シーベルトは人体に対する放射線被曝の大きさを示す単位です。1Svは1000ミリSv、1ミリSvは1000マイクロSvになります。
 レントゲンは放射線がどれだけ空気中にイオンを発生させる力を持っているか、と言う基準で設けられた単位で、現在はSvに取って代わられたため、あまり使われていません。換算すると1Rは10ミリSvになります。
 
 さて、、これらの単位は人間にとっての危険性を示す度合いとしても使われますが、それぞれどのくらいの数値になると危険なのでしょうか。
 まず、シーベルトは7000ミリSv、つまり7Svが100%致死線量(浴びると確実に死ぬ放射線強度)で、急性的な健康被害を起こす強度は200ミリSvからになるとされています。
 レントゲンの場合はちょっとややこしくて、500Rの強度がある環境に5時間いると死亡する、という表現がされています。レントゲンが使われていた時代は冷戦期で、核戦争の可能性が今より強く存在した時代ですが、核戦争が起きた場合に被曝地であっても戦場になる可能性があったため、「そこで何時間戦えるか」と言う考え方で基準が決められた事の名残です。
 
 さて、ここで広河氏が持っていた計測器の能力上限を再確認してみましょう。
 
・1000マイクロシーベルト(=1ミリSv)
・10ミリレントゲン(=100マイクロシーベルト)
・9.9マイクロシーベルト


 能力にかなり差はありますが、一番高い数値が測れる機器でさえ、急性健康障害を引き起こすしきい値である200ミリSvの200分の1の強度までしか計れないことがわかります。つまり、これらの機器は人体に害を及ぼすかどうかがわかる遥か以前に針を振り切ってしまうため、本当に危険な状況なのか計測するには不適格です。
 例えて言うなら、摂氏10度までしか計れない温度計を持っていって、
「一番上まで振り切っています! 熱射病の危険があります!」
 と言うような状況でしょう。気温10度など肌寒いくらいの気温であって、熱射病を起こす人などいないのにです。
 
 本当に危険性を訴えたいなら、せめて500ミリSv程度まで測れる計測器を持っていくべきだと思いますが、広河氏はそれをしませんでした。何故でしょう。理由は二つ考えられます。
 
・この機器でも十分人体への危険性を計れると考えていた
 だとしたら論外でしょう。不十分な機器を持っていって計測を行っても、正しく危険性を伝えられるわけがありません。特に10ミリRや9.9マイクロSvしか測れない機器など無用の長物です。例えば、秋田県の玉川温泉は源泉地帯に放射性を帯びた岩脈があり、13マイクロSv程度の放射線を観測した事例があるそうですが、そこへ9.9マイクロSvしか測れない機器を持っていったら、もちろん針は振り切れます。
 そこで「ここは放射線が危険な強度に達しています!」と叫んでも、冷笑されるか無視されるのがオチでしょう。ちなみに、玉川温泉は微量の放射線は身体に良い、と言うホルミシス学説に基づいて大勢の湯治客が訪れる事で有名な温泉です。

 
・とにかく計測器の針を振り切っているというセンセーションな絵が欲しかった。
 正直私は広河氏がやりたかったのはこちらだろうと思っています。記事中では広河氏を「原子力問題のスペシャリスト」と紹介していますが、本当にそうなら、役に立たない計測器を持っていくようなマヌケな真似をするとは思えません。しかし、チェルノブイリの取材に行くくらいですから、完全な無知とも思えません。むしろ、知識を悪用してセンセーショナルな記事を書く準備をしていった疑いが濃厚だと思います。
 つまり、三種類の、しかもそれぞれ十倍ずつ計測能力が違う機器を用意して持っている所を見ると、実は後何種類か……1マイクロSv程度しか測れないものや、それこそ1000ミリSv以上計れるような計測器も用意しておいて、針が振り切れたものだけ記事に使ったのではないか、と言うのが私の抱いている疑惑です。
 
 まぁ証拠がないのでこれ以上は書きませんが、明らかに健康障害が起きるレベルの放射線を計測出来ない機器しか記事に出していない時点で、私は広河氏を「原子力問題のスペシャリストとは名ばかりの無能」か、もしくは「煽り記事を書くのが目的の似非ジャーナリスト」のどちらかに分類せざるを得ません。あ、両方で良いか……
 
 ただ、私は広河氏の記事がインチキくさいからと言って、福島原発周辺が安全だと言ってるわけではありません。自然界のレベルを超える放射線が出ているのは確かなので、危険は危険です。ただ、こういうやり方で危機を煽るやり方は明確に間違っています。特に、
 
>取材班が車を止め、長時間の滞在は危険であることを知らせた。

 と言う部分が最悪です。人々を安全な状態に導きたいのなら、一度に全員に情報を伝達する方法を整え、かつ安全地帯への効率的な脱出手段を用意してから行うべきであって、こんなやり方はパニックを煽るだけです。
 
 個人的には、広河氏のやっていることは十分偽計業務妨害罪に相当するのではないかと思いますが……どっか原発に近い刑務所とかないですかね?






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Last updated  2011.03.18 00:17:48
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