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名無し人の観察日記

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2011.04.10
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 前回の日記では広瀬隆と言う自称ジャーナリスト(笑)が反原発推進のために無茶な陰謀論を展開していたことを紹介しましたが、世の中にはもっと非常識な陰謀論を天災に乗じて広めようとするキ○ガイが存在していたりします。それが地震兵器の話。
 大災害がアメリカの兵器によって引き起こされていると言う陰謀論は結構昔から存在していて、楽天でもアレな事で有名な「ぼたんの花」がスマトラ島沖地震の津波はアメリカの開発した津波爆弾によって引き起こされたなどと主張していましたが、これはそれとは別口で、HAARP(ハープ)と言うアメリカの施設が実は地震兵器だと主張するものです。
 
 実際に「HAARP」でグーグル先生に聞いてみると、まぁ出るわ出るわの地震平気陰謀説のオンパレード。この説を提唱している人間の名前はと見てみると、ベンジャミン・フルフォードやリチャード・コシミズ、副島隆彦……911陰謀論でもおなじみの面々ですね。こいつら全員地震で死ねばよかったのに(本音)。
 
 とはいえ、911と違ってHAARP陰謀論に対してはツッコミを入れている人は少ないようです。まぁ、気持ちは分からないでもありません。あまりにも馬鹿馬鹿しくて相手する気にすらならないからでしょう。でも、私は物好きなのでHAARP陰謀論にツッコミを入れて見たいと思います。
 
 まず、HAARPとは何ぞや? と言う話から。これは「高周波活性オーロラ調査プログラム」の略で、アメリカがアラスカ州に建設、運用中の科学実験施設です。アラスカ大学、アメリカ海空軍、DARPA(国防高等研究計画局)の四者による共同開発・運用が行われており、大気圏の上層にある電波を反射する性質のある層、電離層に高出力で電波を当てて、電離層の挙動自体やそれは通信に与える影響を探る事を目的としています。

 まず、ここで軍やその関連組織が研究に参加している事が妄想を掻き立てる要因の一つなのでしょう。そのためか、HAARPは強力なビーム兵器だとか、マインドコントロール兵器だとか、とにかく陰謀論者は兵器扱いをせずにはいられないようです。
 しかも、米軍施設であるにも関わらず、何故かこのHAARPの運用の黒幕はロックフェラーやロスチャイルドなどの国際金融資本(笑)やユダヤ人脈だったりするとか……もはや意味がわかりません。自分たちの嫌いな組織をごたまぜに放り込んでいるだけみたいですね。

 ともあれ、今日の軍隊では通信は何よりも重視されるものの一つです。何しろ通信が出来なければ組織的に部隊を運用する事ができません。実際DARPAはインターネットの原型を作った組織だったりもします。軍が通信に関わる研究に参与しているのは、別におかしい事でもなんでもないのですけどね。
 
 実際、高層大気に地上から電波を当てるくらいでは大した事は起きないでしょう。太陽から放射される電磁波の方がよほど強度があり、人間の活動に影響を与える事があります。
 代表格としては、太陽からの紫外線やX線の影響で電離層が擾乱され、長距離通信が不可能となるデリンジャー現象。逆に電離層が普段は反射できない波長の電波を反射するようになり、突然遠くの電波が受信できるスポラディックE層現象なんてのもあります。
 
 しかし、陰謀論者はそう言う風には考えず、HAARPは兵器だと主張します。というか……反射衛星砲ばりのビーム兵器だとか、地震兵器だとか、気象兵器だとか、なんでもありの超兵器扱いする事で、自分たちの唱える陰謀論に対する信憑性が駄々下がりしているだけだと思うんですが、その辺を気にしないあたりは流石です。そのくらい知的に鈍感でなければ陰謀論者などやっていられません。
 
 とは言え、一応根拠らしきものを用意してくる程度には彼らも頭が回るようで、HAARPが何故地震兵器なのか、と言う主張の根拠として使われるのが、ロザリー・バーテル博士なる人物の著書「戦争は如何に地球を破壊するか――最新兵器と生命の惑星」の一節です。
 このロザリー・バーテルと言う人は反核運動家・平和運動家として高名な人物だそうで……の割に経歴がいまいち良くわからないのですが、計量生物学者で放射線が健康に与える影響についての研究家であるようです。その肩書きや経歴としては、トロント(カナダ)の公衆衛生問題国際研究所所長である事、五つの権威ある国際的な賞の受賞者である事などが紹介されています。で、HAARP陰謀説を唱える人たちはこう書きます。
 
「このバーテル博士は、ライト・ライブリフッド賞、世界連邦運動平和賞、国連環境計画グローバル賞を受賞している方ですので、「トンデモ科学者」ではありません」
 
 特にライト・ライブリフッド賞は「第二のノーベル賞」と言われるほど名誉ある賞だそうで、なるほどバーテル女史が優れた科学者である事は確かなのでしょう――計量生物学者としては。

 バーテル女史は電磁波の専門家でもなければ地球物理学の専門家でもありません。優れた科学者であっても、専門外の事ではとんでもないデンパを発信するなど良くあることです。と言う事で、バーテル女史の著書においてHAARPがどのように紹介されているのか、と言う部分を陰謀論者がどのように取り上げているか、見てみる事にします。
 
 
バーテル女史の著書の一説だと主張されている文章

「HAARPのような電離層ヒーターは、極超長波(ELF:extremely low frequency)を引き起こし、その極超長波は”電離層で反射される”形で、地上に跳ね返ってくる。この極超長波を、深層地中断層撮影法という方法 で、大地を貫通するように、向けることが可能である(引用者註――この極超長波は、性質として、大地や水中を通り抜ける。そのため現在では、鉱山での通信 の他、潜水艦との交信にも利用されています――)。

 この極超長波は確かに、火山や構造プレートを揺るがす能力を有しており、さらに気象にも影響をもたらす事ができる。たとえば地震は、電離層と相互作用する ことが、知られている。
深層地中探査(技術)は、自然作用のプロセスをコントロールし、操作しようとする軍の目的にとって、不可欠な一部であるように思われる。

(電離層などを操作することで)珍しい気象をつくりだす事のできる極超長波の可能性が、(我々に)恐怖心を起こさせる一方で、さらにまた、(HAARPに よる)ELF生成および(生成されたELFの地中への)伝達の際に見受けられる、大地と電離層との間の相互作用が、より直接的な気象効果を誘発する可能性 があることも、明らかとなっている」


 で、陰謀論者の皆さんが言うには、この極超長波が地面を透過する、と言う性質を利用して、電子レンジの原理で地下を加熱変性させて、地震を引き起こすのだそうです。

……すみません、笑い過ぎで頭痛がして来たので寝ていいですか?

 と言う冗談はさておき、これが何故笑えるのか、と言う理由を説明するために、電波の種類について書きましょう。
 電波は周波数によって幾つかの種類に分けられ、極超長波は周波数が3ヘルツから3キロヘルツの間の電波です。特にELF(極極極超長波)は3ヘルツから30ヘルツの間の領域の電波の事を指します。
 電波はその名の通り波動として伝達していく性質があり、その波長は電波の速度である、秒速約30万kmを周波数で割る事で求められます。つまり、3ヘルツから30ヘルツのELFの波長は、10万kmから1万kmと言う計算になります。
 で、この電波を地震の震源域に照射して地震を起こそうと……波長が地球の直径に匹敵するか凌駕するほどの電波なのですが、それで何故ピンポイントに震源を狙う事ができるのでしょうか? 
 
 また、電子レンジの原理云々に至ってはお茶を吹くレベルの話ではありません。
 電子レンジの加熱原理は「誘電加熱」と言いますが、単純に言うと電波で過熱する物体を分子レベルで揺さぶり、摩擦を発生させて熱を起こす、と言う感じです。本当はもうちょっと複雑なプロセスですが、わかりやすさを重視します。
 摩擦による加熱なので、揺さぶる回数が多いほど……電波の振動数自体が早ければ早いほど、熱を起こしやすくなります。つまり、極超長波のような振動数の少ない電波ではなく、マイクロ波帯などの秒間数万回以上も振動するような周波数の電波を使うほうが加熱には有利です。極超長波の電波では熱が起こせなくはないでしょうが、効率が悪すぎて熱は起きたそばから発散していきます。

 つまり、HAARP=地震兵器だと言い張る人たちは、極超長波とマイクロ波の違いが理解できず、電波だから性質等も一緒だろうと思っているのです。流石のアホっぷりですね。
 まぁ、元の文章であるバーテル女史の著書からして、明らかに極超長波の事を誤解しているようですが……そもそも地中通信や潜水艦との通信に使っているのは、極超長波でももう少し波長の短いULF帯(300~3000hz:波長1000~100km)ですし。一応ELF帯での通信施設がアメリカやロシアにはあるそうなのですが、長さ数十キロに及ぶアンテナが必要となり、しかも猛烈に電気を食います。数ワットの電波出力を得るために、百万ワット以上の電気を必要とするそうです。地中深く浸透して岩盤を過熱できるほどの極超長波を発生させようとしたら、果たして全世界の電気を全て使っても可能かどうか。
 仮に出来たとして、極超長波は震源域よりも遥かに波長が長く、その気になれば地球を覆えるくらいの波長がありますので、映画「2012」ばりに全世界で地震や火山噴火が発生して、地球は滅亡するでしょう。
 
 冗談はさておき、あの映画くらいトンデモな説……しかも電波の性質の不理解と言う唯一つの反論で吹っ飛ぶレベルの稚拙さな訳で、何故こんな説がそれなりに広まっているかと言うと、結局科学に対する無理解と、それ以上にアメリカや国際金融資本(笑)に対する無意味な悪意があるからでしょうね。
 
 実際「何故HAARPで日本を攻撃したのか」と言う理由付けについても……
 
・国際金融資本が金儲けをするため。
・アメリカが反米的な小沢一郎を攻撃するため。
・闇の支配者(誰だよ)が原発をテロで破壊し、その証拠を隠滅するため。
・逆に原発の破壊は地震兵器を使った証拠を隠すため。

 など、諸説入り乱れてカオス状態。結局、HAARPという小道具を知った連中が、好き勝手に自分が嫌いな相手にシャドーボクシングを繰り広げているだけです。
 この説が広まる事で地震への理解が阻害される……ほど出来のいい陰謀論ではないんですが、それでも何故日記を書いたかといえば、まぁ物好きだからと言うのもあるんですが、本音を言えば
 
「被災者の不幸をダシにして金儲けを企むクズは死ね」
 
 と言う事でお察しください。






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Last updated  2011.04.10 23:17:54
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