さくらん
2007/日本/本編:111分/原題:さくらん監督:蜷川実花 製作総指揮:椎名保 製作:宇田充、藤田義則 脚本:タナダユキ 音楽:椎名林檎 撮影:石坂拓郎 編集:森下博昭 出演:土屋アンナ、椎名桔平、成宮寛貴、木村佳乃、菅野美穂、小泉今日子、安藤政信、永瀬正敏【ストーリー】お蘭によって吉原の玉菊屋に連れてこられた8歳の少女。きよ葉と名付けられた彼女は、高級花魁・粧ひに面倒を見られることになった。玉菊屋から脱走を図り続けるきよ葉だったが、粧ひに導かれ吉原一の花魁を目指す事を決意する。やがて17歳となったきよ葉は、美貌と鼻っ柱の強さで一躍江戸中の注目を集める存在に。そんなきよ葉は、お客として来たうぶな青年・惣次郎と初めての恋に落ちるのだが…。【レビュー】人気女性写真家がメガホンを撮ったとういう話題作。豪華キャストを揃え、吉原という舞台を描くと言う話題性には事欠かない作品。そのせいか、話題先行という噂が耳に入ってましたが、DVD購入してしまいました。あまり期待せずに観てみました。以下はネタバレの内容となっていますので、ご注意を。良い意味でも悪い意味でも普通でしたね。吉原遊郭を監督独特の色彩美で描く。赤を基調として、金魚や花を使った艶やかな配色と構図はさすが写真家さん。花魁の華やかさやかっこよさを引き立てて、描ききっているのは見事。きよ葉が花魁となって、椎名林檎さんの歌をバックに吉原を闊歩するシーンは圧巻。てっきりここで終わるのかと思った。というか、ここで終わってくれれば良かったのに。本作品は、安野モヨコさんのコミックが原作。この原作自体にも感じたことなんだけど、なんかこうヤマがない。女性的な作風と言ってしまえばそうなのかもしれない。あれもこれもあるんだけど、ここってのが無いんだよな(笑)もっときよ葉が花魁になるまでのサクセスストーリーでいいんじゃないか。「てめぇの人生、てめぇで咲かす」ってたんかきってるけど、最後は世話係の男と駆け落ち?自分の脚で出て行くってのが、あんな小物と逃げ出すってのはずいぶん尻すぼみじゃあないか。写真家としての実力は遺憾なく発揮したが、監督として演出は酷かった。脚本がつまらなかったのも残念だが、蜷川監督はせっかくの初監督作品だったのでもっと思い切ってやっても良かったのに。「さくらん」は彼女にとって最高の舞台だったのに・・・。吉原や花魁の世界を、もっと壮絶で、もっと感情的に、もっと生々しく、もっと斬新に・・・。ってのを期待したんだけどなぁ。