【True Blue】ティナ・ブルックス Tina Brooks（ts）
ノースカロライナ州出身。50年代に脚光をあびること無く、すぐに消えてしまったハード・バップ系幻のjazzテナー・サクソフォン奏者。本名は、ハロルド・フロイド・ブルックス（Harold Floyd Brooks）少年期に、家族に連れられニューヨークに移り住んでからサクソフォンを学びはじめると見る見る間に上達し、51年にソニー・トンプソンと共演し、このことがきっかけで、プロに転向します。55年にライオネル・ハンプトン楽団に加わり、56年にベニー・ハリスと出会い、ジャズの面白さに目覚め、才能を開花させます。58年から61年にかけ、念願のブルーノートとの契約で「Minor Move」「True Blue」「Back to the Tracks」｢The Waiting Game｣ の４枚の自己アルバムをリリースしていきます。しかし、ブルーノートでの録音は、その大半が未発表のまま残され80年代に日本で発売されるまで20年以上の間、お蔵入り状態のアルバムも有って、一体全体何故これほどまで長い間、陽の目をみることがなかったのか??理解に苦しむところです。
ティナは、ハード・バップ全盛期時代に超一流プレーヤーにもなり得る、素晴らしい才能と素質を持ち合わせながら主役にはなれなかった悲劇のプレイヤーでした。また、ジャズプレーヤーには致命的な、麻薬に染まって行き、過度の薬物依存症で健康状態が衰え始める61年頃から目立った活動も少なくなり、残念なことに｢The Waiting Game｣を最後に、彼のアルバムは一枚もありません。その後、ティナはドラッグがらみの問題を頻繁に起こし、病院や刑務所で過ごす日々が続きます。74年8月、42才の若さで肝臓癌のため帰らぬ人となり、ジャズミュージッシャンとしては幻のキャリアで終わってしまいます。今回のアルバムは、ブルーノート4000番台で異端の一枚と称される60年6月に唯一の正式にリーダー・アルバムとしてリリースした｢True Blue｣を紹介します。発売当初は無名、新人のアルバムであったため全く売れず、日本のジャズ喫茶や、関係業界では「幻の名盤」と、持て囃された時代もありました。アルバム全編にスインギーで、ご機嫌なハードバップナンバーの内容、トーンは強力で、パンチの効いたアドリブは、とても滑らかで新鮮なのは脱帽です。全体の流れを瞬時に、把握し、演奏はオリジナル曲が全編に冴えわたり的確に采配を振った構成で、大変心地よいです。テンポも、早すぎず・遅すぎずで良い感じでキープしているためファットリップは、やや暗めのスモーキーなトーンで、テナー・サクソフォンの魅力を余すことなく発揮。浮遊感のある、けだるい感じのフレーズも味わえます。また、サイドメンも、すこぶる豪華です。フロントラインの若きハバードとの陰陽的相性も良く、ブルージーでアーシーな雰囲気と持ち味を盛り込んだプレイを随所に聴く事ができます。そして、フレージングとアーティキュレーションは、どの曲もスリリングに響きハード・バップの神髄を思わせる超人気で必聴の名盤です。
【曲目/PERSONNEL/録音】
1. Good Old Soul
2. Up Tight's Creek
3. Theme For Doris
4. True Blue
5. Miss Hazel
6. Nothing Ever Changes My Love For You
7. True Blue -take2-
8. Good Old Soul -take2-
TINA BROOKS ティナ・ブルックス(ts)
FREDDIE HUBBARD フレディ·ハバード (tp)
DUKE JORDAN デューク・ジョーダン(p)
SAM JONES サム・ジョーンズ(b)
ART TAYLOR アート・テイラー(ds)
録音 1960/06/25
｢Nothing Ever Changes My Love For You｣ をYou Tubuで試聴できます
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