日本は、もうダメなのかもしれない--そうした諦観すら覚える昨日であった。
超円高は24日、ついに日本市場で84円台前半、ニューヨークで一時1ドル=8
3円台半ばに進み(95年6月以来の高値)、これによる景気悪化を懸念して株価も
とうとう抵抗線の9000円を終値で割った。
◎危機管理ゼロの政権下で沈み行く日本、嗚呼......
それなのに、ボケ菅は円高・景気対策などそっちのけで、民主党代表選での票稼ぎ
のためにバラマキスト民主党新人議員との懇談に熱中している。政権担当者として未
曾有の国難に立ち向かう気概どころか、その意識すら持っていない。それがあからさ
まであるために、投機筋は安心して円を買っている。怒りを禁じ得ない。
バラマキスト民主党政権成立で間もなく1年だが、これほど早くに日本が沈没する
危機に瀕するほどとは正直、思わなかった。これほど危機管理のない政権のもとに、
我々はいつまで運命を託さなければならないのか。出るのは、嘆息のみ。
◎湿原の植物の花は終わっていたのは残念
さてこの時に不謹慎の誹りを免れないが、本日も雄国沼日記を続けることをお許し
いただきたい。
夏とはいえ、雄国沼湿原は花の時期を外したシーズンオフである。人も少ない。湿
原全体で10人もいたろうか。
ガイドさんは、出発の前、木道架け替えの工事の予定があり、ことによるともう始
まっているかもしれないと懸念していた。始まっていたら湿原に下りられない。しか
し幸いにも、工事はまだ始まっていなかった。
しかし約470段あるという階段を下りて湿原に出て見ると、架け替え工事の必要
なことがすぐ分かった。1周20分ほどの木道は細く、人1人が歩ける程度の幅30
センチくらいしかない(そのため木道は一方通行となっている)。その木道のあちこ
ちが、壊れて浮いていたり、床が抜けたりしているのだ。足元を気をつけないと、つ
まづく危険がある。
8月末は、まさに湿原も終わりの時期で、花の黄色ではなく、一面に褐色に彩られ
ていた。ニッコウキスゲはもうすでに種子を作っていて、一部が弾けている(
写真上=茶色がニッコウキスゲの種子)。ワタスゲ、コバイケイソウ、レンゲツツジもある
が、コバイケイソウの一部だけがまだ花を残している(
写真中)。
◎沼の岸辺に動物の足跡
木道の外れで、湿原と沼の境目を見た。沼の岸辺に新しい足跡がいくつも付いてい
る。鳥の3本指の足跡の他に、肉球のある哺乳類の足跡もあった(
写真下=画面下の
足跡が哺乳類)。ガイドさんによると、肉球の大きさからタヌキではないかという。
夜から早朝にかけて、沼と湿原は野生動物の活動場になっている。本物を見られな
かったのは残念だった。
湿原と言えば、北部ヨーロッパに広がる高層湿原では、新石器時代から鉄器時代に
いたる人間の遺体が、ほぼ肉のついた状態でよく見つかる。湿地の水のタンニンが、
腐敗を防ぐのだ。「ボグ・ピープル」(湿地の人々)と呼ばれるが、絞殺された跡も
はっきりしている例があるため、祭祀的な埋納と考えられているけれども、稀には湿
原にはまった人もいたに違いない。
幸いにも、日本では湿原がそれほどなく、湿原が広がる北海道でもボグ・ピープル
の例は知られていない。
しかしここでの足跡を見ると、雄国沼湿原では人ははまらないに違いない。
◎「緑のダム」を実感
帰路は、普通の道の逆コースである。いったん外輪山を登って、20分ほど歩くと
、ログハウスの立派な雄国沼休憩舎ある。ここにはトイレもあるが、国立公園内だか
ら自販機はない。そもそも電線も来ていない。山小屋ではないので、泊まってはいけ
ないそうだが、シュラフを持ってくれば立派に寝られるほどの立派さだ。おあつえ向
きに、ほんの少し下れば、豊富な流量の清水があり、水汲み用に大きなポリバケツで
水も受けている。
休憩舎からすぐは、ちょっとしたガレ場があるが、それを抜けると極めて歩きやす
い緩やかな山道で、ブナの森がどこまでも続く。
落葉樹の森は、「緑のダム」と呼ばれるように、巨大な貯水池だ。落ち葉と腐葉土
の下に蒸発しない多くの水を蓄えているからだ。実際、ガイドさんによると、ずっと
雨が降っていないそうだが、水が涸れない。途中、5、6カ所で、清水の流れに出合
った。「雄国せせらぎ探勝路」と名付けられている理由、そして雄国沼行きでは飲み
水の心配はない、と言われることを実感した。1本のペットボトルがあれば、どこで
あれ給水できる。
◎ブナ林の心地よさ
涼しいし、木陰続きだけれども、それでも汗が流れる。しかし、ブナの森のフェト
ンチッドいっぱいのトレッキングは心地よかった。もっとも水場がすぐそばにあるせ
いか、ヤブ蚊がひっきりなしにまとわりつく。帽子で払いのけつつの行程だった。
アクシデントも起こった。まだ路程を半分近く残した途中で、履いていたスニーカ
ーのソウルが剥がれてしまったのだ。これで、いっぺんに歩きにくくなった。
それでも何とか迎えの車が来てくれる雄子沢(おしざわ)登山口に、約束の30分
前には到着できた。
けっこうなトレッキングであった。