節分の柊鰯
こんにちは、資料館です。「広報おおつき」2月号に掲載された「大月探訪記 節分の柊鰯」の増補版です。立春前日の節分は、春の始まりを新しい年の始まりととらえ、大晦日と同様に様々な年越しの儀式や飾りつけが行われます。大月市内でも、昔から鬼を病気や災いをもたらす邪気と見立てて「鬼は外、福は内」と大きな声で唱えて豆をまいたり、ここ近年では恵方を向いて縁起の良いとされる七福神にちなんで七つの具を入れた巻きずしを無言で食べたりなどが各家庭で行われています。一方、最近つとに見かけなくなったのは、「柊鰯」(ひいらぎいわし)という家の門、玄関、台所になどに柊と一緒に鰯の頭を飾る風習です。柊の葉はノコギリ状にとがっているので、これが鬼の目を刺すと考えられ、鬼を寄せ付けないための魔よけとして伝えられてきました。このため、柊の葉には「鬼の目突き」という呼び名がついています。また、鬼は悪臭を嫌い、特に鰯を焼くその臭いと煙を鬼が嫌がると考えられています。つまり、これも豆まきと同じように、鬼=災厄を遠ざけるおまじないの一つといえます。これが一般的な鰯と柊の話ですが、梁川町彦田地区には「すずめ、せっとう、口焼き申す」という言葉が残っています。すずめは小鳥の雀。せっとうは窃盗、つまり泥棒のことです。これは、種を蒔く時期の到来を前にして、穀物をついばみ盗む雀に対し「おまえの頭を焼いて串刺しにするぞ」と威嚇するおまじないの言葉です。この言葉を唱えながら唾を吐きかけて鰯を焼くのですが、残念ながら唾を吐きかけることにどのような意味があるのかはわかりませんでした。今でも、柊鰯を門口に飾り付けるつける家があります。ブラブラして探してみてください。