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カテゴリ:市民活動
「しっぷす」さんからのお便りです
僕は、墨を引いたような空を見上げた。「雨か。」 ポツリ、ポツリ...、雨が赤茶色のレンガの歩道をたたき、僕を少し不安にさせる。 「やれやれ、傘を持ってないな。」 ふと、見上げると瀟洒(しょうしゃ)な建物が目に入ってきた。
ふと、誰かが待っている気がして、僕は引かれるようにして建物の方へ近づいた。
「へーぇ、こんなまちなかに公園があるんだ。」 大きな木が空にむかってシャンと背を伸ばしている。その横には、誰もいない遊具と雨に濡れたあざやかな緑の芝生が広がっている。 いつもなら、子どもたちの笑い声が響いている頃だろう。公園の木がうらめしく天を指さしているように見えた。
「へぇー、安桜ふれあいプラザ...か、雨宿りでもするか。」
僕は、濡れた足でそっと玄関に踏み入れた。 すると、ずっと前から僕を待ってくれていたかのようにドアが音もなく開いた。 突然、「関市市民活動センター」の立札が目に映った。
「なんだろう?」突き上げる興味が僕の背中を押す。 少しの勇気をふりしぼり、僕は市民活動センターの中に入っていった。
「こんにちは!」明るく女性の声が響く。 「こんにちは」、僕はおそるおそる挨拶を返した。 「あのー、ここは何をする場所ですか?」、僕は少し遠慮がちに聞く。
「市民活動センターです。」利発そうな女性が語り始めた。 「ボランティア、NPO法人、各種団体のお手伝いをします。地域のために何かしたい人、 これから何かを始めたい人、市民活動に興味がある人を支援します。」
"市民活動センター"という"カッチリ"とした名前に似合わないような、すがすがしいスタッフの笑顔が僕を待っていた。
「市民活動センターの愛称は、"しっぷす"です。英語のCitizen's Powers(市民の力)のアルファベットから"しっぷす"と命名しました。Ship(船・しっぷ)から、"市民の皆さんが乗り込む船"との意味を込めてあります。」
「かっこいい!そうだ、これだ!長い間僕が待ち望んでいたのは。」思わず心が震えた。 そして、僕は改めて施設の中を見渡した。
たくさんの市民団体の情報が並んでいる。「すごい数だ。」
「相談スペースもある。パソコンやコピーも使用できるんだ。」
「ん?なんで...電車が走ってるんだ?」
その時だった。 「市民の力で関市を変えるときです。」 事務所の中から、希望の光で目がキラキラ輝く男性が僕に話しかけてきた。
「市民活動センター"しっぷす"は、毎週末にプチイベントを開催しているんだ。君も参加してみないか?」 すっと、手が差し出された。 その手には一枚のチラシが握られていた。
「やっと分かった!僕が何をしたかったのか。市民活動には明日がある。」 僕は、ようやく軽やかな一歩を踏み出した。 雲の間からは、陽がさしてきた。 暑い夏がまた始まった。
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最終更新日
2010年07月21日 07時25分30秒
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