mac a knife の日記

bossと死闘を演じた横浜ナンバーが、

「下手な公式戦より、チビりました」

と語ったように、
山水本店で行われている月例会とはうってかわって、
fujiyama最強アマ決定戦には、
試合独特の緊張感があった。



fujiyama考案者、KINGは、
初戦、「え」の字の龍に敗れ、
敗者2回戦で横浜ナンバーと対戦し、
ゲームボールに迫りながら、
硬くなって、ミス…。

「シビレました」

と語った。



スティングと一緒に参戦してきたミッチィ
(ナインでは、上手い女子アマのひとり)
も、
初戦、touchさんにやられたあと、
クレセントエースを相手に、
ゲームボールが……。



賄い婦も、
初戦となった勝者2回戦のおっくん(賄い婦の元師匠)戦、
ゲームを完全に支配し、
自陣にのこった2球をキャノンで上手く上げ、
手球も短クッションにピタリのこした場面から、
元師匠おっくんにバンクを決められ、
絶妙ポジショニングから次々ゴールを奪われ、
縦バンクも入れられ、
ラインがないとおもわれたゲームボールも、
賄い婦ボールの脇をスルスルとかいくぐり、
ゴール前に……。
これはショートして、難を逃れたが、
追い詰められたこの場面で、
しかし、賄い婦も5～6球入れて、
おっくんボールを蹴り下げ…と勝機はあったが、
肩と背中の疲れか、
はたまた、3年ぶりの師弟対決で気負ったのか、
縦キュードローを穴カコしてしまい、
あっさり2-7で、ウラに回った。



そんな緊張感をもろともせず、
のびのびしたプレイで、
勝者ゾーンを駆け抜けた選手も、もちろんいた。

前日、賄い婦と練習したSURFは、
賄い婦が終電で帰ったあとも、
3時くらいまで撞いていたらしい。

「大変です。いま起きました」

とメールが来たのが、
集合時間を過ぎた10時37分―。

「アハハ ３回転め以降にまわしますので、
大至急向かってくださーい」

「スーパーダッシュで向かいます」

と返信が来たのが、10時56分―。
SURFの住まいは相模原。
横浜線を菊名で乗り換え、日吉から目黒線。
1時間半あれば来れると踏んだが、
30分を越える試合はほとんどなく、
順調に試合は消化され、
SURF、間に合わずアウトか…の瀬戸際、
賄い婦の読み通り、
3回転めの最終にギリギリセーフ。
12時29分、
SURF - ギャルe野 戦で、
プレイヤー全員のお披露目となった。


戦前予想では、
SURFの圧勝とおもわれたが、
ギャルe野は、
ちゃんとゲームもクッションも知った球を撞いていて、
ツーレールを決めるなど、
SURFを圧倒し、追い詰めた。

「負けたらブレイクショットに帰れない…」

涙目のSURFだったが、
互いトラブルが一カ所あり、
勝負はそこの処理次第に………。

だが、追い詰めたが、一歩届かず、
ギャルe野 5-7 SURF。
惜しかった。

緊張の解けたSURFは、
次戦、「え」の字の龍を予選最速の16分、
7-0のサムライ勝ちで降し、
決勝トーナメントに勝ち名乗りを上げた。



SURFと並び、快進撃を見せたのが、
ただひとり、
bossの武蔵小山撞球隊掲示板から参戦してきた、
千葉の悠々。

掲示板には、
負けて元々な、弱気コメントを寄せていたが、
初戦、
優勢候補の一角クレセントエースを
7-3で砕くと、
ムスメ婿殿、touchさんの山手勢を、
7-4、7-3で撃破！

「イレ位置で撞いたら、イィとこ出ちゃいました」

謙遜してはいたが、
圧巻の取り切りで駆け抜けた。



勝ち勝ちは、
SURF、悠々のふたりと、
おっくんとの熾烈なセーフティ戦を、
最後は「ラッキーでした」と振り返るスティング。
そして、
賄い婦予想では、やはり優勝候補の一角、
ルパンのおっちゃんの4人だった。



ルパンのおっちゃんは、
boss、エビちゃん、横浜ナンバー、トラッキーの山。
順当に行けば、
横浜ナンバー、bossと対戦するハズだったが、
なんと、
ふたりともコケる大波乱…。

初戦となった勝者2回戦。
初対決＆A級オーラバリバリの横浜ナンバーに比べれば、
月例会で馴染みのトラッキーの方が、
闘いやすかったことだろう。
余裕の7-2で退け、
勝者最終も、
エビちゃんを7-6で降し、
持ち前の勝負強さを見せつけた。



bossと横浜ナンバーが初戦コケてくれたおかげで、
ラッキーだったのは、
ルパンのおっちゃんと、もうひとりいる…。
それが、賄い婦だった。

元師匠おっくんに敗れた賄い婦は、
敗者2回戦に落ち、
藤沢のサムライと当たった。
試合中も、
運営で間を空けることの多かった賄い婦だが、
撞きヅラのシュートをミスしたかとおもえば、
スリークッションシュートを鮮やかに決めたり、
絶妙の蹴り下げを繰り返したり、
いつものプレイを取りもどしていた。

藤沢のサムライの球がひとつ、
センタースポットにあったため、
相手がパスボール(8番)をシュートに行けなかったのも
ツイていた。
入れたら、その球がトラブルになるため、
藤沢のサムライは、
パスボールを入れる前に、
なんとかそこを処理しなければならなかった。

賄い婦は、優勢ではあったが、
ひとつミスすれば、
もつれる可能性が、まだあった。
プレッシャーのかかるその場面で、
嫌らしい位置のパスボールをコーナーにねらった。
気持ち、厚く入ってしまい、
長クッションを舐めてしまったが、
柔らかく流し込んだ球を、
深いとはいえ、ポケ幅ジャスト2の4番台は、
カコりながらも吸い込んでくれた。

ラッキー♪

賄い婦は、上手くポジショニングされたその位置から、
4球を無難に取り切り、
7-3で、藤沢のサムライを葬った。



藤沢のサムライは、
閉店したキングスビリヤードの元常連さんで、
藤沢で、
横浜ナンバー、fujiyamaライダーとともに蒔いた種が、
今はナインエイトというお店で
しっかり根づいていると聞き、
賄い婦は嬉しかった。
雨の中を二度、出向いた苦労が報われた。



ともあれ、こうして賄い婦は、
決勝トーナメント進出、最後の椅子を賭けて、
敗者最終戦を
銀座仲間エビちゃんと争うことになった。

boss、横浜ナンバーがコケなければ、
ここにはルパンのおっちゃんか、
横浜ナンバーが来ていたハズ……。
このふたりとの決戦は、
正直キツイ。
勝機は五分五分―。
だが、エビちゃんなら、
向こうに苦手意識があるぶん、
賄い婦が有利だ。

しかし、エビちゃんも、
元・バグース銀座インストラクター水下広之プロが、
「エビちゃんは、fujiyama上手いですよ」
とお墨付きを与えるプレイヤー。
賄い婦にケチョンケチョンにされたとき、
エビちゃんは酔っていた。
その後、練習も重ねたであろうし、
A級昇格後、バグースの試合で優勝経験もある。
リベンジにも燃えているだろうし、
boss戦で見せた勢いもある。
台は、
ホームとはいえ、
賄い婦が滅多に撞かない、5番台。
台コンディションへの不安もある…。
(ここ一番、どう転ぶか…)

賄い婦の心の乱れをよそに、

「イヤなのと当たっちまったなぁ」

エビちゃんが、
天真爛漫な笑顔をみせた。



(つづく…)