流山ハイソ化計画
今週末は、変貌著しい、つくばエクスプレス(Tx)の沿線、千葉県の流山市、柏市一帯を歩いてきました。2年前に開通したばかり、まだフレッシュな印象のあるTx沿線。東京通勤者用の住宅地として、まあまあ人気があるそうです。沿線のなかでも、流山おおたかの森と、柏の葉キャンパスの二駅は、高級イメージ路線(?)を前面に押し出しています。キャッチコピーとしては、流山おおたかの森:「東京に一番近い森の街」、「東の自由が丘」柏の葉キャンパス:「City in Campus」(キャンパスの中の街)、「話したくなる街」この二駅の特徴としては、駅前に大型ショッピングセンターと、高層マンションを配置していることです。これは、新しい街のつくり方として、正しいと思います。日本の首都圏は、鉄道社会。駅から降りたら、すぐそこに大きな商業施設があるので、夜遅くまで人通りがあり、安心して歩けますし、街が成熟すれば、カフェ、レストラン、ベーカリー、雑貨屋などができて、街が生きてきます。駅前の商業施設名は、流山おおたかの森SC(高島屋系列)ららぽーと柏の葉(三井不動産)このうち、おおたかの森SCは、千葉県の商業施設にしては、「高級・上質」路線を打ち出しています。内装は天然素材を多用したシックな色調、緑を多くあしらい、センスの良い雑貨屋、ベーグル屋さんが入り、テナントもなかなか良い。どこかしら、東急沿線のSCを思わせる雰囲気。調べてみると、運営会社が、「玉川高島屋」と同じだったんですね、納得・・・。モノの値段は、概して高めでした。目玉テナントは、紀伊国屋書店(県内最大規模)と、シネコン、ロフト、タカシマヤフードメゾン等々。「流山おおたかの森」駅前上質感を演出した内装一方、ららぽーと柏の葉は、もう少し庶民的というか、子供連れのファミリーを中心に、皆に門戸を開いているフレンドリーなSCです。「ららぽーと」らしく、吹き抜けのスペースがあったりと、レイアウトはなかなか斬新。フードコートが大きくて立派です。Tx沿線、どの駅を降りても、分譲マンションの広告を配る人の姿が見えます。流山おおたかの森の駅近の、マンションや新築一戸建ては、かなりの強気価格で売り出しています。間取りや建坪によっては、6000万円を越えることもザラ。私の地元は、Txと並行して走る、JR常磐沿線の柏駅の近くです。柏の人間から見ると、いまの流山おおたか、柏の葉で売り出されている物件の価格は、理解に苦しむほどの高騰ぶり。柏駅前は、県下有数の繁華街ですが、新築マンションなんてどんなに高くても4000万円台後半なのに、流山おおたかの駅前は、ショッピングセンター一つしかないのに、6000万超えが当たり前。「あんなに田舎なのに、なぜ?」という素朴な疑問が、地元民としては湧いてきます。要するに、Tx沿線の高額マンションは、地元民を最初から相手にしておらず、首都圏ワイドで富裕なファミリーを呼び込もうとしているわけです。Tx沿線の物件は、常磐線よりは割高でも、首都圏西部の、たとえば中央線沿線あたりよりは安い。その地域で家探しをしている人々にとって、流山おおたかは、「秋葉原から25分で行ける」、「Txの清新なイメージ」、「お買い得感」がウリなわけで、「(東京じゃなくて)千葉県である」という点を妥協すれば、十分、顧客にアピールするわけです。流山市は、良質な住宅地のイメージを確立するために、今後売り出される一戸建ての面積を、120平米以上に限るという条例をつくっています。流山おおたかの駅徒歩圏では、1平米の土地代が20万円を下りませんから、120平米だと2400万円以上、上物が2000万円とすると、4400万。つまり流山市は、「5000万円以上の家を買える富裕な新住民」を呼びこもうと、ターゲットを明確にしているわけです。金持ち優遇じゃないか、という批判もあるかもしれません。でも、私は流山市のスタンスを支持します。いま首都圏で、アッパーミドル(中流上層)用の住宅地としての地位を確立している地区は、東京都と神奈川県に集中しています。千葉県では、新浦安と海浜幕張ベイタウンの二つしかなく、埼玉県では、私の知る限り一つもありません(強いていえば北浦和?)。「格差社会」の呼び声高い昨今、アッパーミドル層の人口はさらに細り、首都圏で彼らを呼び込める力を持つ地域は、都市文化機能の充実した都心部と、イメージ戦略のうまい東急沿線、進境著しい東京ベイエリアの、3つしかありません。我が千葉県東葛地区は、そのどれにも属していません。小泉政権の「三位一体の改革」を軸とした、一連の行財政改革によって、各自治体は、「財源のことは、自分で面倒を見ろ」と言われていまう。いま首都圏において、豊富な財源を確保し、行政サービスを確保する方法といえば、基本的に、この二つしかありません。・富裕層を地域に呼び込んで、所得税、固定資産税アップを図る・工場、オフィス、ギャンブル施設など、法人・事業税を取れる施設を地域に誘致するこうした「都市経営」が成功しなければ、高齢化の進む昨今、どの都市も財政は危機・破綻に向かってしまいます。少なくとも、これまでの行政サービス水準を維持できなくなってしまいます。身も蓋もない話ですが、行政サービスには、お金が必要、自然環境や治安を守るにも、お金が必要・・・流山の場合は、Tx沿線の清新なイメージと、豊かな自然環境(田舎だからねえ・・・)を武器に、富裕層を呼び込むのが、当面は一番良い戦略だと思います。これから数年後、流山おおたかの森界隈では、流山有閑マダム(ながれーゼ)行きつけレストランが、「あかげら」以外にも、いくつもできて、オープンカフェとか、テニスコートとか、ペットショップなどが似合う、おしゃれでプチセレブっぽい街並みになるのでしょうか?それとも、もっとLOHASな、自然と調和した堅実な街並みになるのでしょうか?いずれにせよ、今後に期待しましょう。隣駅「流山セントラルパーク」・・・ニューヨークかと思いきや、車窓風景は、思い切り日本だ!