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テーマ:辛口映画批評(354)
カテゴリ:試写会2010
映画の主権はニッポン放送「栗奉行」さん。映画上映前に抽選会が行われた。客入りは7~8割くらい、客年齢は異常に高い。
【送料無料】必死剣鳥刺し【Blu-ray Disc Video】 映画の話 江戸時代、海坂藩の近習頭取・兼見三左ェ門(豊川悦司)は、藩主・右京太夫(村上淳)の失政の元凶である愛妾(あいしょう)・連子(関めぐみ)を3年前に城中で刺し殺すものの、寛大な処分によって再び藩主に仕えることに。亡妻・睦江(戸田菜穂)のめいであり、身の周りの世話をしてくれる里尾(池脇千鶴)との日々の中で生きる力を取り戻すが……。 映画の感想 映画の構成は現在と過去を行き来する非常に淡々とした物であるが、クライマックス15分間に「これでもか!」と言う殺陣の応酬が天晴れであり、我慢に我慢を重ねた観客の期待を一撃で解消してくれる。映画はオープニングに物語の起点となる出来事が突然始まるので、冒頭から集中して観て欲しい。 まず、本作の主役はなんと言っても兼見を演じる豊川悦司の存在感ありきであるが、裏の主役と言えるのは連子を演じる関めぐみの存在感であろう。並み居る豪華キャストの中で、まだ若い関めぐみの堂々たる悪女っぷりの貫禄はお見事である。彼女の出演シーンは少ないが、短い出演シーンでも印象に残る彼女の顔立ちや演技が物語の起点であり、物語を牽引するわけであるのだ。そんな大役を見事に演じきった関めぐみは大したものである。 彼女とは対照的な役が池脇千鶴演じる里尾であろう。女が男の世界に口出しをするのがご法度な時代にしゃしゃり出てくる連子に対して、里尾は正に昔の女性である。兼見の姪に当たる里尾は陰ながら兼見を支え、ひたむきに兼見を愛する。里尾の姿は今で言うプラトニックラブになるだろうが、入浴中の兼見の背中を流すあたりを見ると里尾はかなり積極的にアプローチしている。このシーンでビックリしたのは入浴中のトヨエツの乳首が真っ黒なのには驚いた。それにしても連子を演じた関めぐみと里尾を演じた池脇千鶴のキャスティングは絶妙である。ハッキリとしたキツめの顔立ちの関めぐみと童顔の池脇千鶴と若い女優の使い分けが平山秀幸監督は上手い。 以下ネタばれ注意 映画は何故、兼見が連子を殺したのかを白黒の回想映像を多用して説明しているが、兼見の内心は最後までイマイチ読み切れなかった。まぁ、本作はラスト15分に全勢力を投入されたようで、吉川晃司演じるご別家・帯屋隼人正と兼見の一騎打ちの殺陣に始まり、岸部一徳演じる中老の陰謀で兼見に抹殺命令が出た後の殺陣は、今までの時代劇ではあまり見た事が無い描写の連続だったと思う。たった一人の男に対して大勢の警備担当の武士が相手の背後から切りかかるは、刀で刺すと言った卑怯極まりない武士道美学とは程遠い演出が生々しい。ヒーローぜんとしたテレビ時代劇では描かれていない殺伐とした殺陣が印象的だ。さてタイトルとなっている“必死剣鳥刺し”なのだが、兼見の言葉だと「半ば絶命状態に繰り出される秘剣」だそうで、ここはお楽しみなので割愛する。 まぁ、私はあまり時代劇を見ないのでマニアックなレビューは書けないが、ストイックな時代劇として楽しめた。活劇としての山がもう一つ、二つあると娯楽映画として楽しめたかも? それにしてもトヨエツと岸部一徳の共演作は多い。「八つ墓村」「新・仁義なき戦い」「フラガール」など、二人の因果関係は深く、本作での二人の関係は何とも因縁めいたものである。 映画「必死剣 鳥刺し」関連商品 ■ジャケC■alan CD【風に向かう花】10/7/7発売 隠し剣孤影抄新装版 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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