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テーマ:辛口映画批評(354)
カテゴリ:試写会2010
客入りは7~8割くらい、客年齢は高い。
映画の話 忠臣蔵として有名な赤穂浪士の吉良邸討ち入りでは46人が主君に殉じ切腹するが、二人の男が生き残った。討ち入り前日に逃亡した瀬尾孫左衛門(役所広司)と、討ち入りを後世に伝えるため逃がされた寺坂吉右衛門(佐藤浩市)。正反対の運命を背負う二人が16年ぶりに再会。瀬尾はなぜ討ち入りから逃げたのか、寺坂は元同志が抱えてきた秘密を知る。 映画の感想 かなり仰々しいタイトルで、私はてっきり忠臣蔵の新解釈バージョンかと思っていたが、ふたを開ければ忠臣蔵の“後日談”もしくは“外伝”と言ったところだ。これからご覧になる方は「忠臣蔵」についてザッと予習をした方が映画が楽しめると思う。本作は私の大胆な解釈であるが「スター・ウォーズ」シリーズと良く似ている。 【以下ネタばれ注意&「スター・ウォーズEP3」の核心に触れています】 「スター・ウォーズEP3」の最後、アナキン・スカイウォーカー(後のダース・ヴェイダー)と女王アミダラとの間に双子の子供が生まれる。ダークサイドに堕ちてしまったアナキンの手に子供達が渡らぬようにヨーダの策略により、女の子(後のレイア姫)はオーガナ卿の元で、男の子(後のルーク・スカイウォーカー)は、タトゥーインに暮らすアナキンの義兄弟オーエンの元で秘密裏に育てられる事になる。ジェダイ戦士のオビ=ワン・ケノービもタトゥーインで名前を変え、隠遁生活をしながらルークの成長を見守る事になる。 私が本作を見ていて「スター・ウォーズ」と結びつけたシーンがある。大石から密命を受けた孫左が雪降る山道で赤子を懐に抱き歩いている回想シーンを見ていて、「EP3」のラストシーンを思い出し、そこから後は邪道であるが「スター・ウォーズ」と対比しながら見てしまった。「スター・ウォーズ」シリーズで言うと、丁度「EP3」と「EP4」の真ん中を描いていると思うと面白い。本作の主人公で役所広司演じる瀬尾孫左衛門は正に「スター・ウォーズ」シリーズのオビ=ワン・ケノービと良く似ている。忠臣蔵討ち入り前に大石内蔵助直々に自身の愛人・可留(市川崑監督「四十七人の刺客」の中で宮沢りえが演じた人物)との間に生まれる赤子を秘密裏に育てあげる使命を与えられ隠遁生活に入る。そんな密命を知らない他の武士達からは、討入り前に逃げ出した孫左衛門を卑怯者としてなじる。 そんな孫左を16年ぶりに見つけるのが佐藤浩市演じる寺崎吉右衛門だ。彼も大石から生き証人という密命を受け、浪士遺族の援助をする為に日本中を旅している。彼と孫左の関係は設定が変わってしまうがオビ=ワンとアナキンみたいだ。自分の使命を明かすことの出来ない孫左と寺崎が刀による戦いを始める辺りは「EP3」でのクライマックス、オビ=ワンとアナキンのライトセーバーによる真剣勝負を見るようだ。 それにしても孫左を見ているとつくづく不憫である。自分の出生を知らない大石の隠し子・可音に振り回され、墓参りに行けば柴俊夫演じる元赤穂の武士に切り捨てられそうになり免れるが足蹴にされたり、家に帰れば後を付けてきた寺崎と斬り合いになってしまう。孫左の生き様を見ていると、47人の刺客として歴史に名を残すのと、可音と共に16年間慎ましく暮らすのと、どちらが良いのか判らなくなってしまう。まぁ、映画を見ると感動的なクライマックスの後に壮絶な武士としての最後が待っている訳で、忠臣蔵版「スター・ウォーズ」は日本人流の決着の付け方で、アメリカ映画と違うズシリと重い後味を残してしまう。 映画「最後の忠臣蔵」関連商品 最後の忠臣蔵 最後の忠臣蔵 オリジナル・サウンドトラック 【23%OFF!】NHK DVD 最後の忠臣蔵(DVD) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.11.05 18:31:13
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