ドラえもん「のび太の結婚前夜」より
しずか 「これまで、ずうっと甘えたりわがまま言ったり・・・ それなのに、あたしのほうは、 パパやママになんにもしてあげられなかったわ。」しずかパパ「とんでもない。 きみはぼくらに、すばらしいおくり物を残していってくれるんだよ。」しずか 「おくり物?あたしが?」しずかパパ「そう。数えきれないほどのね。 最初のおくり物は、きみが生まれてきてくれたことだ。 午前三時ころだったよ。 きみの産声が天使のラッパみたいにきこえた。 あんなに楽しい音楽はきいたことがない。 病院をでたとき、 かすかに東の空が白んではいたが、 頭の上はまだ一面の星空だった。 この広い宇宙の片すみに、 ぼくの血を受け継いだ生命が、今、 生まれたんだ。 そう思うとむやみに感動しちゃって。 涙が止まらなかったよ。 それからの毎日、楽しかった日、 みちたりた日々の思い出こそ、 きみからの最高のおくり物だったんだよ。 少しぐらいさびしくても、 思い出があたためてくれるさ。 そんなこと気にかけなくていいんだよ。」しずか 「あたし・・・・・・、不安なの。 うまくやっていけるかしら。」しずかパパ「やれるとも。 のび太くんを信じなさい。 のび太くんを選んだきみの判断は正しかったと思うよ。 あの青年は人のしあわせを願い、 人の不幸を悲しむことのできる人だ。 それがいちばん人間にとって大事なことなんだからね。 彼なら、間違いなくきみをしあわせにしてくれると ぼくは信じているよ。」 ドラえもん「のび太の結婚前夜」より