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カテゴリ:カメラ、レンズ、写真
戦後の小西六は早々にコニカⅠで健在ぶりをアピールした後、
1954年10月になると都内の3つの百貨店に、 開発中の新商品を展示発表する。 その中にはライカマウントのレンズも含まれていて、 翌年にヘキサー50mmf3.5が最初に市場へ登場、 次にヘキサノン60mmf1.2と50mmf1.9が続いた。 ヘキサノン50mmf1.9はコニカⅡに付けられた試作バージョンと共に、 単品で発表されたものの1955年10月の段階では価格未定であった。 実際には12月になると、 当初は単品ではなくチヨタックスとレオタックスへ供給されている。 やがて昭和光学から当時23.500円という値段で発売されて、 1957年にはオナーにも供給されたけど、 ずっと小西六が直接発売に関わっていないのは、 自社にライカマウントのボディーが無かったからだろう。 因みに1956年/昭和31年の国家公務員の給与は8、700円。 シリアルは3121〇〇~3124〇〇で、 鏡胴のデザインが微妙に違っていて、 初期型にはプロトタイプに近いものと2種類くらいあるらしい。 当初コニカⅡAに搭載された同系列の48mmf2ヘキサノンも、 ⅢAの後期やⅢMでは50mmf1.8に置き換えられていく。 50mmヘキサノンは小西六で戦前から戦中に掛けて独自の収差理論を確立した、 風巻友一(ともかず)氏による【特許公報:昭29-1225】の応用らしく、 ダブルガウスの前群をバラし非対称にしてコマ収差の補正に挑戦した、 初期の新しい国産ダブルガウス型レンズの一つだった。 実際にヘキサノンの構成図を見ると、 単純なダブルガウスというよりも戦前のシュナイダーから発表された、 トロニエ氏による世界初の非対称ダブルガウスだったクセノン50mmf2に近く、 前群はエルノスター型で後群がガウス型というハイブリッド型なのだ。 戦後になるとトロニエ氏は、 戦前のクセノンを新しい硝材でブラッシュアップして、 イギリス軍に指示されて移籍したフォクトレンダーから、 ウルトロンという傑作レンズを発表している。 1951年には通産省の元で新種のレンズ開発に参加していた小西六なので、 当然、このヘキサノンにも新しい硝材が使われている筈で、 60mmf1.2と共に50mmf1.9はその成果の一つと思われる。 ヘキサノン50mmf1.9は、 よく国産ズミクロンなどと評されているけど、 むしろ国産ウルトロンというべきレンズなのだ。 ニコンがカールツァイスを基礎として、 キヤノンがライツのベルク理論を発展させていたのに対して、 小西六が贔屓にしていたのは1756年創業の老舗だった、 フォクトレンダーという事ではないか。 風巻氏が移籍した先のペンタックスでも ヘリアー型のレンズが登場しているのを見ても、 あながち的外れではないと思う。 風巻氏による広報特許の一例を見ると、 後のペンタックスのレンズにも風巻理論が繋がっているのが分かる。 【特許公報:昭27-3023】のヘリアー型ヘキサノン50mmf2.8。 当時の純正コンビであったレオタックス+ヘキサノンのアウトフィット。 銀塩写真機として21世紀になっても古びる事はない。 ヘキサノンmmf1.9の作例(全て銀塩写真) 手前に見えるアサヒ・スーパードライの空き缶は、 キラキラして鳥よけの効果があるらしく時々見掛ける。 農道脇の土手の一角がに小さな花壇が整備されていて夏の花が揺れている。 風に揺れるガマの葉っぱ。 良く見ると一匹のアマガエルも一緒に揺れている。 低く垂れこめた雲の向こうは雨が降っている。 ここら辺も暫くすれば夕立になるかもしれない。 休耕田の脇で咲いている白い花の向こうにガマの穂も見える。 農繁期に休日はないけど手塩に掛けた作物の生育の楽しみは他に代えがたい。 畑の脇で頑張っている案山子が一人。 田んぼからの内変換したソバ畑。 真っ盛りになっている花を見ると秋の新ソバを思い出してしまう。 ソバ畑の上を一筋の夕光が走っているけど、 今から数分もすれば消えてしまう。 ソバ畑の夕景。 もう直ぐ日が暮れる時間帯がゴールデンタイム。 オリジナルのウルトロン50mmf2は、 フォクトレンダーのプロミネント1bで経験があるけど、 モノクロでも分かる位の特徴があった。 何というか、画面全体に薄く油を引いたような、 艶というか華やかさがあって、 単なる解像度だけではない語れない独特な味わいで、 この特徴はヘキサノンにもあるように思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.09.23 19:30:07
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