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カテゴリ:法律、制度
昨日の記事で「強盗殺人の容疑者が起訴された」と書きました。
新聞もそういう表記になっていたのですが、容疑者は起訴されるとその瞬間に被告となるので、厳密にいうと「起訴された容疑者」というのは存在しません。 常識的なことかも知れませんが今日はそういう話です。 容疑者とは、犯罪をしたとの容疑(疑い)をかけられている人です。これはマスコミ用語・一般用語で、法律上は「被疑者(ひぎしゃ)」と呼ばれます。刑事訴訟法などの条文にもそう書かれています。 被疑者として警察・検察の捜査を受けて、検察が、裁判を経て有罪判決を取って処罰すべきだ、と考えると、起訴されます。 起訴されて刑事裁判を受けることになった人が被告です。 いま被告と書きましたがこれもマスコミ用語で、法律上は「被告人」といいます。「人」がつきます。 法律上、「被告」とだけいうと、これは刑事裁判でなく民事裁判で訴えられた人のことを言います。 なぜかマスコミでは民事でも刑事でも訴えられた人を「被告」というのですが、法律家としては何となく落ち着かないというか、気持ち悪いところです。 そのせいで、民事事件で訴えられた人(訴状に「被告」と書かれた人)が、「俺を犯罪者みたいに書きよって」と憤っているのをたまに見かけます。 マスコミの法律用語の言い換えで、他に何となく気持ち悪いものとして、 「男性が女性を『暴行』した」 という表現があります。多くの場合、これは「強姦」(ごうかん)した意味であると思います。強姦という表現がキツイためか、「姦」の字が新聞では使えないのか、被害女性への配慮からか、言い換えをしているわけです。 私自身が昔そうでしたが、子供なら、「男の人が集団で女の人をボコボコ痛めつけて面白いのか?」と思ってしまったりするでしょう。 強姦犯は強姦犯と書いてこそ、事実を伝える報道の役割を果たしうると思うのですが、暴行犯と書くことによって、その人のやったことがぼやけてしまうような、そんなもどかしさを感じてしまうのですが皆さまはどうお感じでしょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/02/15 12:45:01 PM
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