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カテゴリ:雑感
冒頭から唐突ですが、「吉本新喜劇」の「茂造(しげぞう)じいさん」の話です。
辻本茂雄が老人の扮装で出てくるアレですが(と言っても関西の人しかわからないか)、 茂造じいさんが誰かから「クソジジイ!」と罵られたとき、茂造じいさんが、 「何ぃ!『クソ』の上に『ジジイ』まで付けよったなぁ!」とピントの外れた怒り方をし、 共演者から「逆や。『ジジイ』に『クソ』を付けたんや」と突っ込まれる定番のシーンがあります。 説明不要とは思いますが…、 本来は「『ジジイ』だけならまだしも、『クソ』まで付けるとは」と怒るべきなのに、 「『クソ』だけならまだしも」と、本来と反対の怒り方をしているというギャグです。 かように、「クソ」という言葉は本来、侮辱的発言の上にさらに侮辱を重ねるときに使用される言葉であり、かなり程度の強い罵り言葉といえます。 したがって、コントならともかく、実社会でこんな言葉を使うのは相当に品がないということになると思います。 何の話か想像がついた方も多いと思われますが、橋下府知事がラジオ番組の中で、学力テストの結果開示に反対する教育委員会のことを「クソ教育委員会」と発言したことについてです。 ちょっとした物議になりつつも、一方ではこの発言に理解を示す向きもあるようです。 そこは各人の捉え方なので、それはそれで良いと思っています。 それでも中には、 「あれはまさに弁護士流の駆け引きであって、最初に強い言葉で押しておいて、だんだん妥協点を探る方法なのだろう」という理解をする方もいるみたいでして (たとえば「おはよう朝日です」で板東英二がそういう趣旨のことを言った。これまた関西ローカルですが)、 この点は私は弁護士として「異議あり」と言いたいところです。 弁護士の論争や駆け引きの方法にも色々あると思いますが、少なくとも私は「論理」を売りにしているつもりであり、「強い言葉で押し立てる」などというのは「下の下」のやり方だと思っています。 そこは弁護士それぞれの考え方の違いだとしても、少なくともいかなる弁護士であっても訴訟の相手方に対して「クソ」とは決して言わないはずです。 いかにガラの悪い弁護士でも、法廷での口頭弁論や、自ら作成する文書の上で、相手に対し「クソ」などという表現をしているのを見たことはありませんし、もしそんなことをすれば「弁護士としての品位を汚す」ということで懲戒モノでしょう。 「クソ教育委員会」発言を聞いたときは、橋本府知事の品のなさが露呈しただけのことであって取るに足りない話だと思っていたのですが、あれを「弁護士流の論争方法だ」というふうに理解されると少なくとも私は心外なので、ちょっと書いてみました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008/09/11 12:47:52 PM
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