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カテゴリ:書評
植田正也「電通 鬼十則」(日新報道、2001.10)をブックオフで買って読んだ。電通の鬼十則は、知られているようで詳しくは知らない・知らないようで広く知られている電通における十の規則である。
電通の四代目社長で、広告の鬼と言われ、電通を巨大広告会社の礎を作った中興の祖である吉田秀雄社長が、自ら社員に広告の鬼となれと叱咤激励するため昭和28年(1953年)8月社員のために書き上げたものが、電通「鬼十則」である。従って、社則というよりも社員個人の行動のバックボーン・原理原則となる心構えに近い。 この「十則」が本当にすごい。50年以上時が経ても全く色褪せていない。次のとおり。 その一、仕事は自ら創る可きで 与えられる可きでない その二、仕事とは 先手先手と働き掛けて行くことで受け身でやるものではない その三、大きな仕事に取り組め 小さな仕事は己を小さくする その四、難しい仕事を狙え そして之を成し遂げる所に進歩がある その五、取り組んだら放すな 殺されても放すな 目的完遂までは その六、周囲を引き摺り回せ 引き摺るのと引き摺られるのとでは永い間に 天と地のひらきが出来る その七、計画を持て 長期の計画を持って居れば忍耐と工夫とそして正しい 努力と希望が生れる その八、自信を持て 自信がないから君の仕事には迫力も粘りもそして厚みすらがない その九、頭は常に全廻転 八方に気を配って一分の隙もあってはならぬ サービスとはそのようなものだ その十、摩擦を怖れるな 摩擦は進歩の母 積極の肥料だ でないと君は 卑屈未練になる すべての言葉に魂がこもっている気がする。ずっと前にある企業の工場の入口に大きなスローガンの看板に「打ち込め 魂 仕事の上に」とあった以来の感動ものである。また、こういった社員則を持っている電通マンに対し、たとえその個人が本当はどのような人物であれ、底知れぬ敬意と同時に怖さを感じてしまう。 なお、筆者自身は読売広告出身のフリーランサーで、書籍の内容はおべんちゃらと筆者の知識自慢に近く、内容も浅い上に厚みがなく、どおってことない。むしろこの本は、「鬼十則」を深く読み取る機会を与えてくれること自体に価値がある。(星三つ:★★★☆☆) 電通「鬼十則」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.01.10 11:53:51
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