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mizumizu4329の日記 [全873件]

バリ、デガララン(ウブド郊外)の棚田
[ Travel (インドネシア、バリ) ]  

バリ観光旅行の下調べをして思ったのは・・・

バリ島は案外大きく、観光スポットが離れているということ。いきなりレンタカーというのも不安があるし、そうなるとタクシーのチャーターか、現地旅行会社のオプショナルツアーに申し込むしかない。

しかも、改めて調べて知ったことなのだが、こんなに有名な島なのに、「世界遺産」がない。隣りのジャワ島のボロブドゥール遺跡やプランバナン遺跡のみ。「世界遺産」登録そのものが、かなりバーゲンセールになってきているというのに、1つもないとは。つまり・・・寺院建築だとか、自然の景観だとかで、圧巻のものはそもそも存在しないということか。

う〜む・・・ ますますわからなくなってきた。バリ島にハマる人って、日本人ではかなり多いイメージがあるのだが、みんな何が気に入って通っているのだろう?

タクシーのチャーターについては、ウィキペディアによれば、「しっかり交渉すれば、1日200,000ルピア(2000円)ぐらい」と書いてあるのだが、街中を回るのか、遠くにいくのかで事情が違うだろうし、実際にタクシーをチャーターした人の体験談を読むと、ドライバーとの相性のようなものもあり、自分勝手な人に当たってしまうと、不快な思いをするという・・・フムフム、それはありそうだ。

旅行会社の設定しているオプショナルツアーは非常に数が多いのだが、2〜3箇所回って、1人45ドル・・・など、案外設定が高いのだ。ヌサドゥア・ビーチからだと、どこに行くにも時間がかかる。

とりあえずピックアップしたのが・・・

(1)ブサキ寺院  バリ・ヒンドゥー教総本山の寺院。

(2)ウブド バリの文化芸能の中心地。

(3)デガララン(ウブド郊外)の棚田。

(4)キンタマーニ高原。

(5)タナロット寺院  海上に浮かぶ岩島の上に建てられたバリで最も有名な寺院。夕日のメッカ。

(6)ワルワツ寺院  ケチャック・ダンスも見られる夕日鑑賞スポット。ヌサドゥアから一番近い。

の6つ。最初、一番面白そうに思ったブサキ寺院は、「寺院内に入れない」「ガイド詐欺が多い」などと書いてあり、しかもヌサドゥアからだと、クルマで2時間半とかなり遠い。往復5時間!? そこまでして行くより、せっかくのビーチ休暇なので、海辺でゴロゴロしていたほうがいいかもしれない(←すっかり堕落)。

2つ目の棚田(ライステラス)は、バリに行った人がかなりの高率で棚田の絵葉書を送ってくるし↓↓

デガララン 絵葉書

個人的に心惹かれた。ウブドの近くだというので、ウブドの町とあわせて行きやすいような気がする。

そこで、Mizumizu連れ合いに、

「棚田って、どうかな〜? 見たい?」

と聞いてみたら、ニベもなく、

「棚田〜? そんなもの見たいの? 棚田なんてさ、姨捨にあるよ。それにヤシの木を頭の中で合成すればいいじゃん!」

お、おばすて・・・地名も凄いが、それがいきなり出てくるところがさすがに信州人。ま、つまり、棚田なんて、わざわざ見に行くほどのものではないと思っているということネ。

ネットで姨捨の観光協会のページを見たら・・・

姨捨の棚田

確かにありました。棚田の写真(上のサイトから借用した写真です)。

そういえば・・・10代のころ住んでいた山口にも有名な棚田があるのだ。

山口の棚田

これは、こちらの観光案内サイトから借用した写真。実は・・・山口に暮らしながら、行ったこともなく、そもそもこの棚田の存在そのものを知らなかった。有名な写真スポットだと教えてくれたのは東京の友人。

ほかにも、白馬の青鬼という村にも棚田はある。こちらの個人サイト写真が綺麗。

もちろん、国指定の名勝「白米の千枚田」もある。ここも行ったことないのだが・・・

確かに、日本の棚田にヤシの木が立ってる・・・だけの場所かもしれない? それに、バリの棚田の写真って、上の絵葉書もそうだし、

ライステラス

このように、ネットの観光サイトに載ってる写真もそうなのだが、よくよく見れば、写真のアングルが違うだけで・・・

明らかに、全部同じ場所!

フィリピンには棚田の世界遺産があるが、この圧巻の規模とは比うるべくもないない。

ないが・・・と言って、フィリピンに棚田見に行く予定もないしなあ・・・

ウブドは絶対に行きたいし、そこから近いわけで、やっぱりどうせなら見ておきたい。

そう思いつつ、バリに着くと、お迎えの現地旅行会社のガイドさんが、ホテルに行く車中で、オプショナルツアーの売り込みを始めた。

運転手とは別に日本語を話すガイドがつき、朝8時半にホテルを出て、バロン・ダンスを見て、そのあとウブド方面に向かう。そこで銀製品の店に寄り、バリ絵画を見て、デガラランの棚田に寄り、キンタマーニ高原でお昼を食べて、雑貨中心のお土産屋で買い物。さらに湧き水の出る寺院を見て、ウブドのメイン・ストリートを歩き、そのあとデンパサールの近くでケチャック・ダンスを見るという1日コースで、2人で90ドル・・・とのこと。

ホテル代と飛行機代だけがセットになったツアー(参加者は我々2人のみ)で、空港からホテルまでの送迎があるというのが変に親切だな・・・と思ったら、コレだったわけだ。バリ初心者の観光客に、車中でオプショナルツアーを売り込む。

バリというのは、不慣れな観光客が個人で観光スポットを巡るのが本当に難しい島。1日で90ドルという値段も、相場から考えて高くもないし、いきなり街中でタクシーをチャーターして、よくわかっていない観光スポットを回るのも不安があるので、即決でお願いすることにした。ブサキ寺院は、どうでもいいや。

朝ホテルのロビーに行くと、同じように「お迎え」を待っているゲストがたくさんいた。やっぱりバリ初心者は、こういう割高の観光にならざるを得ない。

棚田以外にその日に連れて行ってもらった場所については後日おいおい書くとして、お目当てだった、デガラランの棚田は・・・

デガララン 棚田

思ったとおり、箱庭的に狭い場所だった。バリの棚田の絵葉書は、ほとんどここで撮られている。

Mizumizu「姨捨の棚田と同じ?」

Mizumizu連れ合い「う〜ん、まあ、谷が深いからね」

そう谷が急に深くなっている場所なので、田んぼ1枚の幅が狭く、小さい。それが視覚的な変化を生み、確かに一見の価値ありの景観を生み出している。

「ここの水は山から引いています」

とガイドさん。白馬の青鬼も確か、村人手製の水路で山から水を引いていたと聞いた覚えがある。

しかし、このデガラランの棚田鑑賞スポットは、物売り攻勢が激しい。クルマから降りると小さな子供の物売りが寄ってきて、絵葉書を見せながら、

「100円、100円」

と付きまとった。ちなみに後日スーパーで買った絵葉書は1枚3,500ルピア(35円)。

ということは、物売りの子供から3枚100円で買えば、スーパーよりは安いことになる(?)。

おじいさんの物売りが、なにやら彫り物を見せて、「2つで1000円」などと寄ってくることも。

タイでは一切見なかったなあ、こういうアグレッシブな物売り。ただし、タイには身体の不自由な物乞い(いわゆる乞食)が多かった。観光客の集まる寺には、足のない子供などが物乞いをしていた(もちろん親が連れてきているのは明らか)。バリでは、子供の物売りが多かったが、物乞いは見なかった。

バリのガイドさんは、こういう物売りにえらく冷たい。「ノー、サンキューと言ってください!」と強く念を押された。

しかし・・・

「Tシャツ、5枚で1000円」

と言ってた物売り諸氏、30秒後には、「7枚で1000円」に値下げして、たくましく付きまとってくる。7枚で1000円だったら、使い捨てのつもりで買ったって悪くなさそうなんだけど?

ガイドさんは、「1度洗濯したらもう・・・」「色落ちしてひどいですよ」「穴が開いてるのを売ったりする」と、あくまで「絶対に買うな」調。

でもって、「相手にしないでください。あとで、ちゃんとした店に連れて行きますから」

って・・・

アンタの都合か!?

自分の連れて行く店で買ってもらいたい気持ちはじゅうじゅうわかるし、実際にこのガイドさんが連れて行ってくれた(日本人客だらけの)店は、値段は高いがよいものを置いている店だった。

物売りが売ってるのは、よく見ればあっちもこっちも同じだし、多少ふっかけて、安くするというテクニック(というほどのものでもないが)も同じ。

でも、同じバリ人がやってることではないか? 

旅行会社のガイドが、トラブルを恐れて、必要以上に現地の治安や土地の商売人のことを悪く言うというのはありがちなことだが、粗悪なものを安く売るのは別にサギではない。買うほうが納得して払うのだから、そこまで悪く言って、彼らの商売を妨害する必要もないように思うのだが。

おまけに、このデガラランの棚田スポット、観光客が捨てていくのか、周囲の道にはペットボトルやらお菓子の袋やらが散乱していて、汚いことこのうえなし。

棚田の中までゴミを捨ててる輩はさすがにいなかったが、これじゃ、ここで作業している農夫が気の毒すぎる。

 

 

 




最終更新日時 2010年2月9日 17時38分3秒
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2010年2月7日

鳥の声で目覚め、リスが遊びに来るWestin Hotelの部屋
[ Travel (インドネシア、バリ) ]  

朝起きるとさかんに鳥の鳴き声がしている。

「や〜ねえ、スピーカーで流して演出してるの?」

と思ってしまったMizumizu+Mizumizu連れ合いは、完全に堕落した都会人。窓を開けると、本物の野鳥のさえずりだった!

乾季は埃っぽくて目薬がいるという話もあるバリ。Mizumizuが訪れた1月末から2月初めは雨季の真っ最中で、何度も激しい雨にも見舞われたのだが、これが不思議と不快ではなかった。

バリの雨

バリの雨は突然降る。叩きつけるような雨だ。写真にも雨粒が写っているのが、わかりますか?

待っていればやがてやむ。本当に一過性のシャワー。

部屋のバルコニーから、ヤシの木に降りかかる熱帯特有の強い雨を見ていると、それだけで陶然となった。まさにサマセット・モームの世界。

雨がやんだバルコニーには、しょっちゅう来客があった。なんとそれは、「リス」。

バリで見たリスは、まるでムササビのようにアクロバチック。高いヤシの木の垂れ下がった葉の先のほうまでチョコチョコやって来て、そこから近くの建物や別の木に飛び移るではないか。落ちたら死ぬと思うのだが・・・

りす

こちらはプールサイドのヤシの木で見かけたリス。後ろ足だけで幹をつかんで完璧にさかさまになり、しきりとナッツを食べていた。

ある日、バルコニーと部屋の扉を開けたまま、朝食に出て、部屋に帰ってきたら・・・

りすに食べられました

このリンゴ、一瞬、Mizumizu連れ合いが食べ散らかしたのかと思い・・・

Mizumizu「なんつ〜、食べ方してるの? リンゴ・・・」

Mizumizu連れ合い「えっ?(とリンゴを一瞥して) オレじゃないよぉ。これ、完全に齧歯類の食べ方じゃん」

はっ? 齧歯類? そう言われてみれば、歯型の幅が狭くて深い。人間でこんな出っ歯は確かにいまい。

どうやら、バルコニーに来るリス君、開いていたドアから入ってリンゴを見つけて試食してみたものの、あまりお気に召さなかったのか、すぐにやめて出て行ったよう。

リスや鳥と一緒にくつろぐプールは、見かけはなかなか・・・

westin pool

なのだが、この大きなプールは水が汚い。チェンマイのマンダリン・オリエンタルのプールとは雲泥の差。

もう1つ小さなプールがあり・・・

westin pool2

こちらは海水を使っているとかで、水もきれいだった。プールには更衣室や室内シャワーがない。部屋で着替えてこいということだ。こういうところが、マンダリン・オリエンタルとの違い。あちらのホテルは、必ずプールに専用の更衣室とシャワーがあり、チェックアウトしたあとも使えて便利だった。

ウェスティン・ホテルはスタッフの数も少ないので、自分でバスタオルをスタッフからもらって、寝椅子にセットしなくてはいけない。オリエンタルのように、ミネラルウォーターをもってきて置いてくれる、なんてこともない。こういうところが全部、少しずつ違う。

もちろん、その分安いのだから、仕方がない。

逆に、ほったらかしの気楽さもあり、本当は夜は7時までのプールなのだが、暗くなってから泳いでも文句は言われない。

ウェスティン・バリ 夜のプール

夜のプールもかなりムーディ。

プールサイドでは自転車の貸し出しもあり(1台1時間=300円)、ヌサドゥア・ビーチに並んで建っているホテルのプライベートビーチを縫うように作られた海辺の遊歩道をサイクリングして楽しむことができた。

ヌサドゥア・ビーチのホテルは、どれも似たりよったりだったのだが、高級感で際立っていたのが、クラブメッド(Club Med)

westin hotel baliプライベートビーチ

これが、わがウェスティン・ホテルのプライベート・ビーチの現実だが・・・

クラブメッドバリ

同じプライベート・ビーチでも、クラブ・メッドのほうは、こう。これなら、「最高級ホテル」と言って間違いないだろうし、パンフレットに載っているイメージ写真と現実が、さほど違わないのではないだろうか。

クラブメッド

芝生に影を落としたヤシの葉が綺麗で、思わずシャッターを切ってしまった、クラブ・メッドの敷地内。

だが、クラブ・メッドって、泊まった人でいいと言ってる人が、Mizumizuの周囲にあまりいないのだ。実際のところ評判いいのか悪いのか、よくわからないクラブ・メッド・・・

そのせいか、きれいなわりには食指は動かなかった。

値段のこともあるし、今回のバリ島の滞在はウェスティンで、まあ満足。といっても、バリ島はホテルが有り余るほどあるので、次もし来たら、別の場所の別のホテルに泊まろうと思うけれど。

 

 




最終更新日時 2010年2月8日 11時1分1秒
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2010年2月6日

高級難民キャンプ化するバリの「最高級ホテル」
[ Travel (インドネシア、バリ) ]  

今回泊まったのは、ヌサドゥア・ビーチにあるウェスティン・ホテル。同ホテルのホームページにアクセスすると、まず出てくるのがこのウェスティン・ホテル・バリのプールの写真

ということは、ウェスティン・ホテルグループの中でも、いいほうの部類に属するのだろうと思うし、星も確かに最高級の5つ星。ホテルのプライベートビーチのイメージ写真↓↓も素晴らしい。

コクーンイメージ

のだが・・・

実際には、安いレートで団体客を目いっぱい受け入れている、名ばかり高級リゾートになっていた。

Mizumizuたちも飛行機チケットと抱き合わせで、安く取った。延泊しても2人1部屋で1泊7000円と、かなり安い。

安くするとどうなるか? サービスが落ちる。まず典型的なのが、朝食。

westin bali 1

朝食会場は、緑豊かな池に面していて、そこに美しくも珍しい鳥が飛来したりして、熱帯のムード「は」抜群。

バイキングの数も多い。種類だけは凄い。westin hotel breakfast

こんなふうに完全に洋食スタイルにすることもできるし、中華も和食もある。パンも種類が多い。

のだが・・・

どれもこれも、味が相当イマイチ。種類だけ並べれば、どれか食べられるものがあるでしょ、とでも言われている気がしてくる。

タイと比較して勝っていたのはコーヒーだけ。さすがコーヒーの名産地インドネシア。甘い香りと深い苦味は他ではなかなか味わえないコーヒーが、ふんだんに出た。

だが、団体客をたくさん入れているので、本当に騒がしく、テーブルもキチキチで、優雅さゼロ。

熱帯らしく果物も生ジュースもスムージーもあって・・・

westin hotel breakfast2

う〜ん、さすがに、南の島! と言いたいところだが・・・

なんだ、このマズイ果物は! 街に出れば、もっと美味しそうな果物が店先に山積みになっているというのに! ガイドさんにもらって食べたマンゴスチンなんて、タイよりぷくぷくと丸く大きくて、味もよかったのに、なんだってこのホテルでは一度も朝食に出さないだ!?     味のないメロンとか、パサパサのパイナップルとか、こんなもん、一体どこで仕入れてるの? 結局スイカが一番美味しいって、どういうことですか、え?

おまけに、生ジュースのマズさは、人をバカにしてるのか? スムージーも飲めたもんじゃない。これじゃ、タイの空港で飲んでしまった「タイ最悪のスムージー」をはるかに下回るわ!

ここまで客を舐めてる朝食、久々に食べた。

そのせいなのかどうなのか、「日本人に人気のホテル」と聞いたのに、日本人客はとても少ない。聞こえてくるのは圧倒的に・・・

ロシア語!

どうしてロシア人がこんなにたくさん来ているのだろう。ビザ協定でも結んだのか? 

次に多いのが・・・

中国語!

日本人よりどう見ても中国人のほうが多い。世界の観光市場から日本人が退場している現実を如実に感じた。

どうしたんでしょう、日本人? バリには飽きてしまったのでしょうか?  世界中でカモられまくって、海外旅行にウンザリしましたか?

かつてバリの観光客は、日本人とオーストラリア人がほとんどだったとか。だが、今は街中の観光客相手のレストランの歌手(←レストランでは、やたらと生演奏が多くて、実にうるさい)も、「スパシーバ!」「シェーシェー!」と言っている。

しかし、一度行って損はない島だと思いますよ。飛行機代とホテル代が抱き合わせになった安いチケットも出回っているし、まだ行ったことない方は、考えてみては?

さてさて・・・

朝食は高級難民キャンプ状態のウェスティン・バリ。プライベートビーチはどうかというと・・・確かに、上に紹介したような「コクーン」と呼ばれる「くつろぎスペース」は海岸に並んでいた。

だが・・・

コクーン

現実はこれ。

おお、イメージ写真との、なんという違いでしょうか。プロの写真家って、本当に凄い。確かに同じモノがあるのだが、全然違う場所のようだ(苦笑)。

ビーチの砂は踏み荒らされ、コクーンは突然の雨に備えた銀色のビニールシートがくっついていて、これまた高級感に乏しい。

海はといえば・・・

ヌサドゥアビーチ

晴れた日に、こう撮れば、まあまあに見えますかね? ヌサドゥア・ビーチ。

バリヌサドゥア

透明度も高そうに見える?

でも実際は・・・

あまりきれいじゃない! 水面にはなんだかいろいろなものが浮いてるし、水も濁っている。沖縄のほうが、海は圧倒的にきれい(ただし、今回泳いだのはヌサドゥア・ビーチだけなので、他にもっときれいなビーチがあるのかもしれない)。

さらに、天気の悪い日の、引き潮の時間になると・・・

引き潮バリ

どどど〜ん、とこんなにキタナクなる。海底の海草が砂浜にむき出しになり、まるで冬の日本海。ただし、暑いのだが・・・

ヌサドゥア・ビーチというのは新しく開発したエリアらしく、大型ホテルが立ち並んでいるだけで、歩いてぶらっと楽しめる街もない、いわば孤立したリゾート地。その分セキュリティはしっかりしていて、まあとりあえず、爆弾テロの恐れはほとんどない。

空港から送迎バスで観光客が、この閉ざされたエリアにじゃんじゃん送り込まれてくる。いったん入ってしまうと、個人ではとても出にくい。そうした場所だということは、あらかじめわかっていたのだが、実際に泊まってみると、「隔離された高級難民キャンプ」という印象を、やはり強くもたざるを得ない場所だった。




最終更新日時 2010年2月6日 23時4分42秒
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2010年2月5日

バリ島旅行、一般事情&両替事情
[ Travel (インドネシア、バリ) ]  

暖かいバリから寒い日本へ帰って来た。バリ島の印象を一言で言えば、「思った以上に気候・風土がよく、想像以上に観光地化が進んでいた」ということになる。

日本語があまりによく通じるのに驚いた。ここまで日本語が通じるのは、ハワイぐらいしか知らない。公共交通機関を使った自由行動がしにくいのもハワイと似ている。普通の観光客が名所スポットを回ろうと思うと、オプショナルツアーを含めた現地のガイドに頼るか、タクシーをチャーターするほかない。

レンタカーは島の交通事情に慣れていない人間には怖い感じ。バイクの走り方がかなりラフで、なんと2度もバイクの事故を目撃した日もあった。国際免許書は通用せず、運転をしたい外国人は現地で簡単なテストを受けるのだとか(答えを教えてくれるという話もあり??)。

現地の物価は、観光客相手の場所だと案外高い。ハワイほどではないにせよ、タイのチェンマイのほうが物価は一般的にずっと安い。工芸品の類も、観光客相手の手ごろなものばかりになってしまっていて、銀製品にしろ雑貨にしろ、チェンマイの職人のほうがはるかに力量が上で、面白いものがあった。

バリ雑貨が、期待外れだった・・・というより、もう東京にはバリ雑貨があふれていて、目新しくもなく、たいしてお買い得感もないというのが本当のところかもしれない。

「定価という概念がない」とも言われる場所なので、大量に安く仕入れれば、現地の小売とさほど値段差もなく日本で売れるのだろうと思う。

気候は思った以上に快適。タイのバンコクは湿気が酷く、空気も悪かったし、チェンマイのほうは蚊に悩まされた(これは季節もあったと思うのだが)。バリ島では、海辺のホテルに滞在したせいか、海風が心地よく、雨季にもかかわらず(バリ島では1月が一番雨が多いよう)、湿気で不快な思いをすることがなかった。蚊が少なかったのは、本当に驚き。でも、ハエは多くて、ホテルのテラスで食べていると、ハエがさかんにたかってきたのには閉口。

雨は降るのだが、一過性のシャワー。気温は30度と、暑いことは暑いのだが、東京の真夏のように、べったりと汗が服にはりついて、ついでに空気も汚くて不快・・・ということがない。この風土の魅力が多くの人を惹きつけるのだろう。

実際、身体の調子がすごくよくなった。適度に湿気があって、しかも空気がいいせいか、アトピーが目に見えて改善。寒い東京では外出する気にもなれず、自宅で仕事ばかりしていて、ウツウツと気分も落ち込んでいたのだが、バリでは海岸沿いの遊歩道を自転車で走ったりするだけで楽しかった。ウツっぽい人は、やはり南の島に行くといい(帰国したら元の木阿弥蚊も知れないが・笑)。

しかし・・・曇っていた日にプールと海で少し泳いだだけで、赤鬼のように真っ赤に日焼けしてしまったのには驚愕! チェンマイではもっと晴れた日に泳いでも、これほど焼けることはなかったのに。さすがに赤道直下の太陽は侮れない。

さてさて・・・

実際的な話でビックリしたのが両替事情。なぜかバリでは空港の両替所もホテルもレートが変わらなかったのだ。街中の両替商が一番レートがいいそうだが、見て回った限りでは、レートが一番悪いのもいいのもウブドという街中の両替商だった。

一番いいレート 103ルピア(1円)

ホテルや空港など通常のレート 100ルピア(1円)

一番悪いレート 99ルピア(1円)

現地のレートは、数字が上がっていくほうが自分にとって「レートがいい」ことになる。ちょうど日本でドルの数字が下がっていくほど円が強いということになるのと逆の理屈だ。

街中の両替商は、手品のようなゴマカシをするそうで、いったんきちんとルピアを見せたあと、札をまとめるフリをして、そのときに何枚かお札を机の下に落としてわたさないようにするとか・・・(苦笑)。街中で両替はしなかったので、その手品にはお目にかかれなかったけれど。

またさらに驚いたのは、ガイドさんに連れて行ってもらった銀製品の店のレートが、1円で102ルピアと案外よかったこと。店のレートがいいって・・・生まれて初めての経験。

両替しなくても、日本円が使えてしまう店も多く、レートもたいして悪くないということだ。「500円玉でもいい」と言われたときは、「ええっ? 硬貨も取るの?」と心底たまげた。植民地ですか? まったく・・・

ルピアは昔のイタリア・リラのようにゼロが多い。ルピア札のゼロを2つ隠すと、だいたい日本円になる。

10,000ルピア = 100円(だいたい)

短期間の旅行で、しかも初めてだと、1,000ルピア(10円)と10,000ルピア(100円)をうっかり間違えるので、くれぐれもご注意を。

そうそう、VISAは事前に申請する必要はないのだが、バリ島の空港で1人25ドルを払ってその場で発行してもらう必要がある。ちょっと前まで7日のVISAがあり10ドルだったのだが、7日VISAは廃止となり、滞在期間が少なくても25ドルの30日VISAを申請するしかなくなった。

これは知らなかった日本人が多く、10ドル差し出した空港の窓口でいきなり「25ドル」と言われて右往左往していた。

ちなみに出国の際には、1人15万ルピア(1500円)が必要になるので、これも残しておこう。

結構、いろいろ細かくお金を徴収されて面倒な国だ・・・

そのせいもあるのかないのか、インドネシアというのは、シンガポールやマレーシアやタイより年間の観光客数が少なく、そのほとんどをバリ島に頼っているのだとか。

 

 

 




最終更新日時 2010年2月5日 22時8分34秒
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2010年1月31日

現在、バリ島滞在中

今、インドネシアのバリ島滞在中。ネット事情が悪いので、詳細は帰国後アップします。
お楽しみに♪


最終更新日時 2010年1月31日 22時45分53秒
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2010年1月24日

なぜ今、佐藤有香なのか
[ Figure Skating(2009-2010) ]  

<続き>
こうした佐藤有香のスケート技術に立脚した表現力を、アボット選手は今季うまく吸収してきているように思う。彼も動きに無駄がなく、かつ嫌味がない。昨シーズンに比べて、確実に表現がスムーズになり、「進歩している」という印象を強くもつことができた。

そして、もう1つ。佐藤有香のもっている価値観。これが現行のルールで勝って行くのにピッタリなのだ。

この動画の解説を聞くとよくわかる。

http://www.youtube.com/watch?v=V5JNIvvVgMU&feature=related

もう10年も前の演技だが、このとき解説の佐藤有香は、マリニナ選手のスケートの基礎力、それにジャンプを褒めている。ルッツに関しては、「エッジの正確さ」。ジャンプの質に関しては、いわゆるディレイド・ジャンプの概念からマリニナ選手のジャンプがお手本だと言っている。つまり、「きちんと上にあがって、それから回転を始め、回転を止めて降りてくる(回りきっての着氷)」ということだ。そして、「最近トリプルジャンプ、トリプルジャンプと必要にせまられて、スケートを滑るというところがいい加減になってきている傾向がある」「ルッツのエッジをきちんとバックアウトサイドで踏み切れる選手がいない」とも言っている。

当時こうした視点で話をする解説者はいなかった。つまり佐藤有香は、このころからずっと、「4つのエッジ(アウト、イン、フォア、バック)の使い分けを含めた、基礎的なスケート技術の低下」が気になっていたのだろう。現行のルールは、運用にははなはだしく問題があるが、方向性としては一理ある。それを10年も前にズバリと言っているのだ。

なぜ今佐藤有香なのか。彼女がスケートに対してもっている価値観に触れたこの大昔の解説を聞けば、その答えはおのずと出ると思う。

彼女が現役選手にコーチとアドバイスをしている場面をテレビで見たが、さかんに、「自分自身で考えること」の重要性を説いている。

これにも過去の「前例」があるのだ。佐藤選手は世界女王になる直前のリレハンメルオリンピックで、本番直前にジャンプの調子を著しく崩していた。解説の五十嵐さん曰く、「練習ではジャンプが全然跳べていなかった」「氷の上で考え込んでいた」。テクニカルプログラム(ショートプログラム)のジャンプの失敗で出遅れ、フリーでは最終グループに入れなかった佐藤選手。それでも、練習では跳べなかったジャンプをフリーでは、相当のレベルでまとめた。そして、演技終了後、「最終グループには入れていれば、もっと点が出たと思う」というコメントを残している。

そのときの動画がこれ。


http://www.youtube.com/watch?v=x2u2Qk4Fd9s&feature=related


非常に緊張した面持ちで演技に入り、終わったときは、「やった!」という顔で一瞬泣きそうになっている。

跳べるはずのジャンプが跳べなくなってしまうのには、理由がある。浅田選手も同様のことを言って、ビデオを見て軌道を修正したと語っている。佐藤選手はそれを恐らく、オリンピック本番直前の氷上で、頭の中でやっていたのだ。練習は必ず考えながらやること。「自分の頭で考える」ことに主眼をおく佐藤有香の価値観が、アボット選手のようなある程度完成された選手に対して、非常に短期間で功を奏したとしても不思議ではない。

こちらはオリンピック後に日本で開かれた世界選手権のフリーの様子。このときは、演技に入る前にだいぶ精神的余裕があるようで、表情が柔らかだ。


http://www.youtube.com/watch?v=p03ZQBf0TvA&feature=related


アボット選手もこの演技に感銘を受けたと話していたが、Mizumizuもこのプログラムは、フィギュア史上に残る大傑作だと思っている。何度見ても飽きない。

手足の長い白人の美少女がバレエ的に優雅に舞うだけがフィギュアの表現力ではない。伸びやかな滑りとキビキビとしたエッジ捌きが高い次元で両立し、かつエレガントが上半身の動きが見事に足の動きと連動している佐藤有香の表現は、まさにフィギュアスケート独自のもの。メリハリの効いたポーズも、流れるような動作も素晴らしい。いつまでも色褪せない価値をもったプログラムだ。

一方で、ジャンプは非常に弱い。ジャンプはルッツとフリップがそれぞれ単独で1回だけ。3トゥループが2トゥループになっている。前半にかためてしまっているのでジャンプ構成のバランスも必ずしもよくない。それを補うステップワークをもっているからこそ、世界レベルでも通用したが、このジャンプ構成で世界女王はどうか、という意見も当然あるかもしれない。事実、採点結果は1位をつけたジャッジ5人、2位をつけたジャッジが4人という僅差だった。

だが、肝心なことは、佐藤有香はこのとき、ジャンプの目立った失敗をしていないということだ。ルッツとフリップは着氷はよくないが、なんとか踏みとどまっているし、トゥループをダブルにしたのは、3回転ジャンプのミスではあるが、ジャンプそのものの失敗ではない。連続ジャンプは、3Lo+2Tに、2Aから3Sへのシーケンス。ルッツとフリップをなかなか連続にできない佐藤選手ならではの構成だ。この「シーケンス作戦」は、ダウングレード判定が厳しい今季、多くの女子選手が取り入れている。

もし、このとき、ジャンプの得意なライバルのボナリー選手に対抗して、なにがなんでもルッツを連続にして2回入れようとでもしていたら、おそらくミスって自滅していた。このシーズン、佐藤選手はずっとジャンプがうまくいっていなかったのだ。全日本を2連覇したときのインタビューで、「これで優勝してしまうのか・・・」と敗者のような反省の弁を述べていた(と思う。記憶ベースなので、もしかしたら混乱しているかも)。

それでもシーズン最後には、自分のジャンプの地力に合った構成をかためてミスを防ぎ、「ジャンプ以外の部分」で魅せたから世界女王になることができた。これは、現行のルール下での勝ち方と共通してはいないだろうか? 日本選手が負けるのはなぜか? 採点が変? それはわかっている。だが、なんといっても、「自滅してしまうから」だというのが大きな理由ではないか。ライバルに勝つために、客観的に見たら「バンザイ攻撃」でしかない高難度のジャンプ構成を組む。案の定難しいジャンプは跳べない。焦る。次に難しいジャンプでまた失敗する。後半になると体力がもたなくなって、またミスる。たいがいがこのパターンだ。そして、「次につながる」と同じ台詞を繰り返し、「次」になっても、やはりあちこちでミスをする。

こういう思考回路に陥るのも、実際のところ無理はない部分もある。たとえば男子で4回転を捨てるとすると、トリプルアクセル2度を決めることが最重要課題になるが、それではパトリック・チャンと同じレベルにまでジャンプ構成を落とすことになる。ジャンプ構成が一列になってしまったら、勝負を決めるのは演技・構成点。そうなってくると、おそらく地元のチャン選手の演技・構成点が高く出るだろう。また、プルシェンコのように確実に4+3を決めてくる選手には自力で勝つチャンスがほぼなくなり、彼のミス待ちになる。ところがプルシェンコは(ほとんど)ミスをしてくれない。精密な機械のようにジャンプを降りてくる。だから、メダルを確実にするためには、どうしても4回転が必要なのだ。本田武史の、「横一線になったときに、4回転が切り札になる」というのは、そういう意味だ。

理屈はそうだが、現実の自分の実力を素直に見極める勇気がなければ、大技は切り札どころか、ただの自爆装置になってしまう。「誰々が何々を決めたら、自分も何々を決めないと勝てない」というifの世界に入り込んで自爆するよりも、もっと大切なことがあるはずだ。それにプルシェンコのフリーの点を見ると、あれだけのジャンプを決めても、必ずしもブッチ切りの銀河点ではない(もちろん、お手盛りの国内大会は除く)。

誰かに勝とうとするのではなく、自分のできる最大限のことをミスなくこなして、プログラムの完成度を高めること。それが、1994年に佐藤有香が、そしてトリノオリンピックで荒川静香がやったことなのだ。

よく「誰々と誰々が完璧な演技をしたらどちらが勝つか」という不毛な問いかけに対して、元有名選手が困惑しながら意見を述べている姿を見るが(たいていは、「やってみないとわからない」という答えになってしまう)、現実には、ミスのない演技を大舞台でする選手はほとんどいない。だから、実際には「失敗しない選手」がここ一番で勝ち、「失敗した」選手が負ける。「完璧な演技をしたらどちらが勝つか」の闘いになったことはほとんどない。「どちらがミスをしないか」の闘いがほとんどだと言ってもいい。

佐藤有香の1994世界選手権は、薄氷を踏む勝利だった。だが、1票差でも勝利は勝利。世界チャンピオンのタイトルを手にしたことで、佐藤有香の将来は大きくひらけたのだ。世界タイトルを獲った佐藤有香は、すぐにプロへの転向を発表した。彼女自身がこの1つのタイトルが自分にもたらす「効果」を冷静に認識していたのだ。もし、あのとき勝っていなかったら、有名なアイスショーに呼んでもらうこともできなかったろうし、そうなるとプロスケーターとしてキャリアを積むこともできなかったかもしれない。全米王者アボット選手の横に座っている佐藤有香をキス&クライで見ることもなかったかもしれないのだ。

世界女王になった佐藤有香に対する当時の日本のメディアの扱いは実に冷淡なものだった。翌日のスポーツ新聞で紙面のトップを飾ったのは、高校野球(春のセンバツ)の完全試合。佐藤有香の記事など、探さないと見つからないぐらい小さいものだった。高校野球は人気があるかもしれないし、完全試合は快挙かもしれないが、それは単に国内レベルの、しかも高校生の話ではないか。世界相手に闘い、かつ勝った選手に対するこの軽い扱い、この態度は、まさに井の中の蛙。今になって「全米を魅了したプロスケーター、佐藤有香」「すべての選手のお手本」などと持ち上げている。実にアホらしい。実際に佐藤有香がプロフィギュア選手権などで優勝していたころは、見向きもしなかったくせに。優れた才能を自国では欠点をあげつらって貶め、海外から評価してもらってやっとその価値に気づく。日本人の態度はいつもこうだ。

いかに結果を出すことが大事か。そのための条件は、「果敢な挑戦」をすることでは決してない。まず自分が自爆しないことなのだ。この原則は、ルールがどう変わろうと不変だと思う。よく「モロゾフは、選手が跳びたがってるジャンプを回避させる」などと非難するファンがいるが、たとえばモロゾフがプルシェンコのコーチだったら、4回転を回避させるだろうか? ジャンプというのは確率。練習で確率の悪いジャンプは、試合でだって決まらない。模試で解けない問題が、本番の入試で解けないのと同じことだ。「ジャンプを回避しても勝てる」と思って回避させているというより、「自爆して負けてしまう確率を極力減らしている」と言ったほうがいい。結果としてそれが勝つための必要条件だという考えは、極めて合理的だと思う。

佐藤有香は、アボット選手とともに、今回全米で最高の結果を出した。ジュニアとシニアで世界女王のタイトルをもち、プロスケーターおよび解説者としても活躍し、かつコーチとしても成功したという人は、これまでほとんどいない。佐藤有香は世界初のフィギュア界の「オールラウンドプレイヤー」になるかもしれない。その素質は十分だし、実際にそこに向かう扉を自らの手で開けた。本当に素晴らしいことだと思う。それもこれも、彼女が基礎の基礎から一歩一歩積み重ねてきた結果なのだ。結果というのは一朝一夕には出ない。成功するためには運も必要だが、運がめぐってくることさえ偶然ではなく、長い間の積み重ねがもたらす必然なのだと思う。

<終わり>




最終更新日時 2010年1月24日 13時43分57秒
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2010年1月23日

アボット選手優勝が振付師とコーチにもたらす「効果」
[ Figure Skating(2009-2010) ]  

<きのうから続く>

イタリア人振付師で、世界的な名声を確立した人はあまり思い浮かばない。振付はロシアとカナダの2大潮流のようなものが、これまでのフィギュア界では支配的で、重厚で深みのあるロシア的世界が評価されるか、洒脱で繊細なカナダ的世界が評価されるかは、そのときどきのトレンドによっていた。

カメレンゴの作る世界は、そのどちらとも違う。高橋選手の「道」にはユーモアとペーソスがあるが、ロシア的悲劇ほどは重くない。重くはないが、ヨーロッパ的な深さがある。北ヨーロッパにもない北米にもないその独特な味が、今シーズンは稀有なスケーターを得て、一挙に花開いた感がある。他の有名振付師ほど量産態勢に入っていないから、これだけ個性の違う振付を精密に創作できたのかもしれない。

今季はいわゆる「世界的振付師」の作品が、「レベル取りのための振付」「短所を補い長所を目立たせる、やや表現に偏りのある振付」になってしまっているなか、カメレンゴの振付は、そうした作為的なものをほとんど感じさせない、選手にとっては新たな表現の境地を切り拓く挑戦型でありつつ、かつ滑り込むことでここまで芸術性の高いものに仕上がってくる奥の深いものだ。振付師とスケーター、この2つの才能がうまく合致しなければ、ここまでの完成度は望めない。

高橋大輔の「道」は、かなり冒険だったはずだが、今季フタをあけてみたら、予想以上の演技・構成点での評価を得た。昨シーズン高橋選手は、「道」のほかに「Ocean Waves」というカメレンゴ振付の作品をもう1つ用意していたはずだが、「Ocean Waves」がもしかしたら、音楽そのものがうねっているようなアボット選手の「オルガン」と似たコンセプトの作品だったのかもしれない。いずれにせよ、ここにきてカメレンゴ作品は、ライザチェック選手やウィアー選手のローリー・ニコル、デヴィット・ウィルソン作品以上のものだという評価を得た。

つまりカメレンゴは、与えられたチャンスを活かしたのだ。成功する人間のパターンにうまく入った。これで彼の仕事が増えることは、間違いない。仕事が増えれば生活が向上する。実に結構なこと。プロフェッショナルは、そうやって道を切り拓いていかなければならない。成功するかしないかは、巡ってきたチャンスを活かせるか否か、結果のちょっとした違いにかかっている。

そして、もう1つ。忘れてはならないのは、コーチ佐藤有香の評価が高まったということだ。全米選手権の際も、アナウンスでさかんに、アボット選手のコーチ、ユカ・サトウの名前が連呼されていた。ワールドジュニアチャンピオンとワールドチャンピオンの称号を2つもち、プロスケーターとしても活躍しているユカ・サトウ。

彼女もアボット選手を全米2連覇に導くことで、コーチとしての結果を出した。しかも、今季非常に強いライザチェック選手を大差で退けた。この結果のもつ意味もはかり知れない。

大事なオリンピックシーズンにアボット選手が佐藤有香につき、上手く行くのか行かないのか。良いシナリオと悪いシナリオがあったと思う。

まず悪いシナリオ。それは昨シーズンの最後に、アボット選手が調子を落としてしまったことだ。全米選手権までは勢いがあったが、その後の国際大会では結果が出ない。オリンピックシーズンにコーチを替えるのは、得策でない場合が多い。しかも、佐藤有香は実績と経験の豊富なコーチではない。昨シーズンの悪い調子から立て直せず、今季ズルズルっと後退してしまう可能性もあった。

良いシナリオとしては、アボット選手が昨シーズン調子を崩したのは、主に疲労が原因だったということ。試合での4回転は決まらないが、地力がないわけではない。また、アボット選手は非常に基礎のしっかりした選手で、エッジ違反や回転不足になりやすいジャンプといった克服すべき欠点がなかったこと。だから、もっている力をうまくまとめ、かつ佐藤有香のもつ高度なスケーティング技術を間近に見て吸収すれば、さらに高い次元にステップアップできる可能性があったこと。

結果として後者になったと思う。これは新採点システムに移行してから顕著になってきたある特徴--実際に自分が滑ってお手本を示すことのできるコーチについた選手が強くなる傾向がある--の良き一例にもなった。

モロゾフにせよ、オーサーにせよ、自分で滑ってお手本を弟子に見せることができる。以前のコーチはむしろ、もっと精神的な面で選手をコントロールできることのできる人が結果を出してきた。この傾向が変わり始めたことをハッキリ示したのは、荒川選手が、タラソワではなく、実際に滑ってお手本を見せてくれるモロゾフを選んだときだったかもしれない。

モロゾフは、フィギュア全盛期の旧ソ連にあっては特別優れた選手ではなかったが、今現在、ときどきテレビで、怒号を浴びせながら安藤選手や織田選手にステップや腕の表現などのお手本を見せている映像を見ると、

「ニコライ君、君が滑ってくれたまえ」(←急に上から目線)

とショーの出演を依頼したくなるほどに素晴らしい。オーサーのほうは、キム選手とときどきショーで滑っていたが、膝を深く使い、体全体を大きく使った伸びのある滑りなど、ソックリだ。

今季のアボット選手の「あくまでスケート技術に立脚した」表現力の向上にも、プロスケーターとしても現役で活躍している佐藤有香の存在があるように思う。事実、アボット選手は、佐藤有香の滑りを見て、弟子入りを決めたと語っている。

なぜ、今佐藤有香なのか。それにも理由があると思う。

不完全なジャンプを徹底的に減点し、所定の条件を満たしたエレメンツのレベル認定とその出来栄えで勝負が決まる今の採点傾向について、伊藤みどりは昨シーズン「規定(コンパルソリー)への回帰」と表現した。佐藤有香はコンパルソリー時代の選手ではなく、むしろ、ジャンプが決まらなければどうにもならなくなった「ポスト伊藤みどりの時代」の選手なのだが、そうしたなかでも正確で質の高い技術力で世界を制したといっていい。アボット選手の言葉を借りれば、「(現行ルールで)成功するためのすべてをもっているスケーター」なのだ。

ジャンプというのはすぐに跳べなくなってしまうが、基礎のしっかりしたスケーティング技術はそうそう色褪せるものではない。現役時代の佐藤選手は、ルッツ、フリップをなかなかきれいに着氷できなかったが、そのかわりステップワークで会場を沸かせることのできる稀有な存在だった。

ちょうど、1994年に伊藤みどりクリスティ・ヤマグチ佐藤有香の3人の世界女王が競った「チャレンジオブチャンピオンズ」という競技会の動画がある。

画質は悪いが、三人三様の強さがよくでている動画だと思う。まずは「100年に一人出るか出ないかの天才」と解説の佐野稔が絶賛した伊藤みどりのジャンプ。驚異的な高さと飛距離だ。最後にスロー再生が出るが、トリプルアクセルにせよ、セカンドの3回転トゥループにせよ、これだけピタッと降りて、ス〜ッと流れる降り方をされれば、ジャッジは絶対にダウングレードなどできない(もちろんこの当時ダウングレードなどという概念はないが)。完璧に回りきって余裕をもって降りてきているから、「ピタッ+ス〜ッ」となり、佐野稔の言う「ランディング、つまりは降りた姿勢の完璧さ」が生まれる。

キム・ヨナ選手もダウングレード判定に文句をつける前に、このぐらい完璧に着氷してみせてほしいものだ。多くの場合、「グルン」と回っていってしまったり、「ガッ」と氷のカスが飛び散るキム選手のセカンドの3回転は、Mizumizuにはかなり疑わしく見える。

それにしても、伊藤みどりのジャンプを見ている佐野さんの興奮ぶり・・・「凄いッ!」「うまいッ!」と叫ぶのは、先のロシア大会でのプルシェンコ選手のジャンプを見たときのテンションにそっくり・・・(苦笑)。これだけ長く解説をやっているというのにも驚くが、1994年と2009年に、同じノリで叫んでるというのにも驚いた。進歩・・・もとい、老成せずにこれだけのアツさを保っているところが、佐野稔という人が天才だった証左かもしれない。

今でこそ世界トップで競える男子選手が複数いる日本だが、1970年代に、「スタイルのよさ」がどうしてもモノをいうフィギュア界で世界相手に台にのぼるということは、佐野稔選手とはどれほど並外れた華の持ち主だったのかと思う。佐野選手の次に世界選手権でメダルを獲得した日本人男子選手は本田武史。その登場までには、実に25年もの年月を要したのだから。

そして、クリスティ・ヤマグチ選手。彼女はジャンプの成功率も安定して高く、かつ表現力もある、非常にバランスの取れた選手だ。ことに手の表現が美しい。ひらひらと何かが舞い落ちる様子を片手で表現している部分などは秀逸。

解説の女性アナウンサーは、「ヤマグチ選手は、スケーティングが非常にきれいですねぇ」などと言っているが、それは佐藤有香に対して言う言葉だと思う。同じ競技会で見ているのなら、一目瞭然だと思うのだが。アナウンス担当者が、「わかってないくせに、評判だけ聞きかじって適当なことを言う」のは、今も昔も変わらないらしい。しかも、その佐藤有香に対しては、「ステップは世界トップ。でもジャンプは得意ではない」などとわざわざマイナスのことを言って、佐野稔を憤慨させている。

ステップも見事だが、佐藤有香は「ただ単に滑っている」ところがずば抜けてきれいな選手なのだ。膝の使い方の深さ、柔らかさは他の選手の追随を許さない。Mizumizuもショーを見に行ったことがあるが、佐藤有香はどんなに遠くにいてもわかる。滑っていると氷が柔らかく見える。そして、スタイル自体にはさほど恵まれていないにもかかわらず、滑る姿が非常にエレガントだ。スローにしてみると、エッジ捌きがいかに速くても、まるで氷をいたわるように丁寧にすべての動作をこなしているのがわかる。

それだけではなく、スピンのポジションも正確で、かつスピンから出て行くときの足の位置、身体の使い方が素晴らしい。この動画で一番注目したのはスピンの部分。佐藤選手は柔軟性が飛びぬけているわけではなく、ビールマンスピンを試みて、「腰の骨が折れそうになった」と言っているのを聞いたことがあるが、ポジションを決めてきちんと回り、スムーズにフリーレッグの位置を換え、かつ丁寧に降ろして滑り始めるところまで、一切の無駄な動きがない。これこそまさしく、お手本のような動作だ。

さらに腕を含めた上半身の動き。ヤマグチ選手のような個性はないかもしれないが、腕の動かし方からポーズの作り方まで、スピードのコントロールも含めて、すべて卓越していて、かつまったく嫌味がない。ときに細やか、ときに伸びやかな足の動きと連動しているのもいい。

そして、顎から胸にかけての身体のラインには、流れるような上品さがある。これはフランス人の舞踏批評家が、「日本人の優れたバレリーナに、ほぼ共通して備わっている神秘的な魅力」として挙げている特長なのだが、不思議なことに佐藤選手もその魅力をもっていた。今なら安藤選手に、その魅力を感じる。顎から胸にかけての上半身に流れるような魅力があり、クイッと顎を突き出して腕を下から上に押し上げるようなポーズを取ると、その優美さが際立つ。今季の安藤選手の振付(特にステップの部分)をみると、モロゾフもそのラインの美しさを際立たせるポーズを、さかんに入れているように思う。

<続く>




最終更新日時 2010年1月24日 8時37分11秒
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