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2015年05月16日
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買った直後のエントリーでは、「硬すぎて痛い」「腰痛再発!?」などと、まぁ、あれ読んだら、読者が買おうとは思わないだろうなあという内容だったMizumizuのエアウィーヴ評価。

しかし、数か月使ってみて、かなり劇的とも言える変化が起こった。

まず…

硬い、痛いと思っていた「寝心地感」が変わった!
今は逆にこの硬さが、非常にほどよく感じられ、時にはすうっと体が浮くような「リラックス感」が強くなることもある。

そして、なんといっても大きいのが、肩こりから完全といっていいほど解放された!

以前は、1日1万字ワープロソフトで入力したら、翌日は肩が重くだるかったが、今はまったくない。これはまさに劇的な変化で本人もビックリ。

そして、「起きたあとのスッキリ感」が、凄い。エアウィーヴでは深く眠れる、というのはウソではないのだろうと思う。これは、西川AIRでもなかった感覚。しかも、ある程度の期間使ってやっと、「本当にそうだな」と体で実感できる感覚だ。

腰痛は、残念ながら、ときどきほんの少しだけぶり返しているようでもある。

だが、このごろは古くなってきた西川AIRではなく、エアウィーヴで寝たいと思うようになり、実際にそうしている。

寝つきに関しては、劇的に改善されたとは思わないが、とにかく起きたときの目覚ましい「疲労回復感」は、間違いなく、これまでの寝具では味わえなかったもの。

う~ん、不思議だエアウィーヴの効果。これが眠りを科学した結果なのだろうか?

ポイントはやはり、「枕も一緒に買うこと」だったと思う。あまり高い枕ではなく、沈み込みも強くないので、横になって寝たときに、肩に体が「乗る」ように寝てしまうことがない。結果負担がかからない。最初は姿勢が変わるので、寝心地が悪く感じるのだが、実際には負担のない寝方に修正されているのだと思う。

エアウィーヴを買う時は、枕も一緒に揃えること。これがMizumizuから購入を考えている読者へのアドバイス。






最終更新日  2015年05月16日 10時20分31秒

2015年04月04日



これまでフィギュアスケートでアイドル的な人気を誇り、集客・集金力を発揮するのは、ほぼ女子選手に限られてきたが、例えば羽生選手の人気を見るとき、男子シングルも変わったと思う。ジャンプだとか、スピンだとか、滑りだとか、スケートの技術だけでは説明できない魅力が――オーサーの言葉を借りれば人々を魅力する「スピリット」が――羽生選手にはある。

こうしたカリスマ性が際立ってくるのはやはり、20歳というラインの前後まで来てこそであって、そこでもう選手としてのピークを過ぎてしまったら、人々が高いお金を払ってまで見たいと思わせるようなカリスマ的な選手は、女子シングルの世界では期待できなくなってしまう。

となると、女子シングルは限りなくアマチュアスポーツに戻っていくだろう。お金にならなければ、採点というのは逆に公平になるかもしれない。

実際のところ18歳の新女王トゥクタミシェワは、女王としては申し分ない。Mizumizuも好きなタイプの選手だ。すべてのジャンプを正確に跳べて、その質も素晴らしく、滑りにもスピードがあり、独特の表現力もある。気持ちも強く、度胸が据わっている。判定が甘くて救われたり、ルールの偏りで順位が変わってくるタイプではない。表現力には好みもあるが、どんなジャッジでも彼女のエレメンツには高い評価を与えるだろう。

だが、彼女には何かが欠けているのだ。安藤美姫や、キム・ヨナや、浅田真央にあった何かが。それはフィギュアスケートという競技に必ずしも興味がない層にも訴えかけ、盲目的とも言える熱狂と、恋愛にも似た思慕を呼び起こす何かだ。そうしたスター性は、また同時に「アンチ」も生む。安藤美姫、キム・ヨナ、浅田真央ほど人々に愛され、一方で叩かれた選手はいない。それこそすなわち、彼女たちがもっていたカリスマ性の証でもある。

トゥクタミシェワ選手にそうした大衆からの激しい反応があるとは想像できない。嫌われることはないだろうが、といって熱狂する人も少ないと思う。彼女はとてもビジネスライクに試合に臨む。競技者としては完璧だが、人々が氷上のパフォーマーに期待する「何か」が欠けている。だが、フィギュアがただのアマチュア競技だというなら、そんなことは何の問題でもないはずだ。

少女潮流が加速し、フィギュア女子の常識になるのか、それともどこかで歯止めをかけるのか。来年のルール改正、そして現場での運用がそのカギを握っている。






最終更新日  2015年04月04日 20時16分20秒

2015年04月02日



ソチ五輪から今年のワールドまで、女子シングルでくっきりとしてきた「流れ」がある。それは少女潮流とも言えるもの。10代の若い選手が強くなったということだ。2015年ワールドのメダリストは16歳~18歳。2014年ワールドと比べても、メダリストはひと世代飛び越して若返った。ジャンプ重視になれば、当然こういう流れになってくる。

フィギュアの場合、年齢を重ねれば「正確が技術が身につく」というものではなく、例えば「回り切れるかどうか」なら、少女体型の軽い時代のほうが有利だし、エッジは癖だから、20歳過ぎてから直そうとしてもまず無理。ロシェット選手が言うように、矯正するなら15歳ぐらいまでだろう。

純粋にジャンプ中心のスポーツとして考えるなら、かつて体操もそうなったように、フィギュアスケートもティーンエイジャーが中心にならざるをえない。だが、フィギュアスケートは長らく、この「スポーツ性」のみに重きを置く傾向には抵抗してきた。「滑り」から醸し出される「味」というものが円熟してくるのは、やはり20歳を超えてから。10代で優れた表現力を発揮する選手ももちろんいるが、それはかりそめの成熟であり、真の成熟とは違う。

今でも、この「成熟」に重きを置く態度は採点にきちんと反映されている。ワールドでは、ワグナー選手の演技構成点が高く出ている。天才少女たちが席巻するロシアの国内大会でも、ベテランのレオノワ選手には高い演技構成点が与えられていた。

だが、ジャンプの回転不足を厳しく取り、技術点が上がってくれば演技構成点も高く出る昨今の傾向にあっては、ベテラン選手は勝てなくなっている。いくら円熟味が違っても、体力的にも若い選手にはかなわないし、体も重い。そうなれば、ジャンプは跳べたとしても、回転不足になりやすくなる。

そこで判定が「厳しいか」「甘いか」で、結果はずいぶんと違ってくる。たとえば全米を制したのはワグナー選手だったが、全米選手権はワグナー選手に対してずいぶん好意的な判定だった。

http://www.usfigureskating.org/leaderboard/results/2015/2015_us_fs_champs/results.html

フリーの技術点を見ると、エッジに「!」もなく、回転不足も1つもない。だから非常に高い点数が出た。ところがワールドとなるとそうはいかない。ワグナー選手自身も回転不足を意識するあまり、ジャンプの調子を返って崩してしまったように見えた。

技術審判の判定が試合によって甘い辛いがあるのも問題だが、そのいい加減な基準の判定で点数が随分変わってくる、そこが一番の問題だ。

注意しなければいけないのは、「判定が厳しい」のと「減点が大きい」のは、基本的に違う問題だということだ。判定基準はもともと一定であって、「厳しいジャッジ」と「甘いジャッジ」がいるというのは本来あってはならないこと。それがあるというのはジャッジを指導する立場の問題だ。そして「減点が大きい」というのは、ルールの問題だ。

だから、「判定は厳しくするが、減点は少なくする」ということは十分可能なのであって、何年も同じ基準で判定しているはずが、いまだにこうもバラバラだというのなら、「正確なジャッジングを一貫して行うのは不可能だった」ということをまずは認めるべきだろう。

一般的に考えて、甘い基準で統一するより、厳しい基準で統一するほうが容易だ。天野氏や岡野氏が厳しい技術審判だからと言って非難したり賞賛したりするのではなく(「厳しく」取るジャッジが「正しく判定している」ジャッジではない。といって「不正確に判定している」とも言えない)、厳しい基準をむしろ全ジャッジに徹底させ、曖昧な「スケーターズフェイバー」はルールブックから削除する。

そして、現在の基礎点7割ではなく、通常の基礎点を与え、他の「+の要素」に鑑みたうえでGOEをどうするかは演技審判の裁量に任せる。つまりは、「バンクーバー五輪2年前」以前に戻すということだ。

そうすれば、村上選手もワグナー選手もまだまだ世界トップで戦うことができる。もし、今のようなルールと運用のままで行けば、村上選手やワグナー選手は「判定の甘いジャッジ」の試合では強いが、シビアに取られる試合では弱いということになり、最終的には、それなりの表現力をもった「少女」に勝てないということになる。

ワグナー選手や村上選手の「味」は、宮原選手やラジオノワ選手にはまだないものだ。体型もまったく違う。少女潮流はフィギュアのスポーツとしての側面を見た場合、起こるべきして起こったものだが、もしこのままのルールと「厳しい判定」を続けるなら、少女潮流はさらに加速し、ワールドや五輪の最終グループで競う女子は、ティーンエイジャーばかりになり、もともと短い選手生命はさらに短くなるだろう。

もちろん、それはそれで悪いことではない。スポーツはあくまでスポーツだから、身体能力の優れた者が勝つ。当然と言えば当然のこと。だが、それでは、女子フィギュアの魅力が失われてしまう。フィギュアスケートは長い時間滑らなければ、雰囲気や味というものは出てこない。

浅田真央はシニアに上がったとたんに世界を支配したが、もしトリノ五輪に出て金メダルを獲ったとしても(出ていれば、その確率はバンクーバーやソチの比ではなく高かった)、ソチで見せてくれたような無限の魅力はなかっただろう。

こうした選手の成長を見る楽しみを、「少女潮流」は奪っていく。17歳ぐらいがピークで、20歳を超えたらもう引退、そういう選手が増えるだろう。スポーツとして公平な採点がなされたとしても、Mizumizuにとってこれは最悪の未来だ。フィギュアスケート女子シングルを見なくなるかもしれない。女子シングルは非常に人気のあるカテゴリーだが、それも男子シングルに取って代わられるかもしれない。いや、もうその兆候は出ている。

<続く>






最終更新日  2015年04月03日 01時17分49秒

2015年04月01日



トリプルルッツをアウトエッジで踏み切れること、そして連続ジャンプのセカンドにつける3トゥループを回りきれること――やはり、ワールドで台乗りした女子シングルの選手は、この条件を満たした選手だった。

ショートで最高難度のジャンプを入れたトゥクタミシェワ選手はフリーではトリプルアクセルを入れずに、手堅く従来のジャンプ構成で来て、きれいに逃げ切った。フリーの順位はショートとはかなり入れ替わったが、総合成績では、

金 トゥクタミシェワ
銀 宮原
銅 ラジオノワ

という結果。この3人は3人ともルッツをエラーなしに跳べて、連続ジャンプのセカンドにもってくる3回転トゥループの認定確率が高い。ラジオノワ選手を破った宮原選手の銀メダルは予想外の喜びだが、プロトコルの技術点を見ると、宮原選手の確実性の勝利と言ったところだろうか。

ラジオノワ選手のフリップのエッジ判定と3連続ジャンプの最後のサルコウの認定に関して、ファイナルからヨーロッパ選手権
まで「ちょっと甘いのでは?」と思ったのだが、今回はシビアにフリップで「!」を取られ、サルコウはかなりはっきりわかる回転不足になってしまい(いつもはもうちょっと微妙なところまでもってこれる印象だが、疑わしいこと多々)、他のジャンプでも加点も思ったほどつかずに、技術点が伸びなかった。

一方、宮原選手はフリーで2つ目のルッツが回転不足転倒になってしまったが、後半の2A+3Tを2つ手堅く回って加点をもらった。

演技構成点は、仕分けルール(注:そんなルールはありません!)にもとづくもの。

ワールドとあってアメリカテレビ局に配慮したらしく、アメリカ選手に対する「上げ」が露骨だった。

以下はショートとフリーそれぞれの演技構成点と順位を書きだしたもの。ロシアの3選手とワグナー選手のみカッコでグランプリファイナルの点も参考までに入れた。

ショート                   フリー
トゥクタミシェワ33.53(31.63)1位      65.99(65.16) 1位

ラジオノワ 31.48(31.26) 2位       61.95(63.95) 6位

ゴールド 30.91  8位            63.08 2位
ワグナー 30.72 (30.40)11位        64.46(64.08) 3位

村上 30.17  4位              61.70 8位
宮原 29.83 3位               61.27  4位
(村上選手との差0.34)            (村上選手との差0.43)

ポゴリラヤ29.09(30.00)  9位        53.61(57.61) 13位
本郷27.48   5位               60.58 5位
エドムンズ 27.77 7位             57.67 7位

ショートの演技構成点も、トゥクタミシェワ選手が頭1つ抜けているのがわかる。これは男子シングルでも、ショートで圧倒的なジャンプ力を見せつけた選手になされる採点パターン。技術点でも1位、演技構成点でも他の選手と一線を画す1位。ここで金メダル仕分けがなされるとも言える。

こうなったらトゥクタミシェワ選手は、フリーでリスキーなトリプルアクセルを跳ぶ必要はない。ミスを最小限に防ぐジャンプ構成でプログラムをまとめて、フリーでも頭1つ抜けた演技構成点を出した。

問題は、演技構成点が2番目だった選手との「点差」だが、ショートで約2点、フリーで約1.5点というのは、1位と2位で5点差などと平気でつけていたころに比べれば、非常に公平だ。

仕分けはくっきりしている。ショートでは30点以上がメダル仕分けだ。金がトゥクタミシェワ、銀がラジオノワ、銅がアメリカの2選手と村上選手、ちょっとだけ差があるが宮原選手もギリギリ銅メダル仕分けに入っている。

そして、ショートの結果を受けての仕分け。

トゥクタミシェワ選手は金確定仕分け。そして、ここで急に「国別メダル分配の法則」(注:そんなものはありません!)が効力を発揮したのが、技術審判はラジオノワ選手のフリップのエッジと回転不足判定にシビアになり、演技構成点も村上選手同様の仕分けにされてしまった。

アメリカの2選手には演技構成点は、一貫して好意的で、演技構成点だけならワグナー選手が2番目(もうジャッジがおかしいとか言わないでね。回転不足とエッジはシビアに取るけど、演技構成点上げとくから!)、ゴールド選手が3番目。

日本の村上選手と宮原選手に対しては、同じような点。「技術点よかったら台に乗ってね」採点で、本郷選手も60点台にのせたので、技術点によってはチャンスもあったという感じ。失敗の目立ったポゴリラヤ選手は演技構成点では救ってもらえず、「落ちてください」採点。

アメリカ女子2人(ワグナー&ゴールド)と日本人女子2人(宮原&村上)に対しては、どっちがどっちでもいいような同じような点を出しており、しかもアメリカ女子のが上の仕分けというのはハッキリしている。

ただ、この程度の点差なら、かなりの部分技術点での争いになってくる。となると、ルッツをエラーなく跳べてセカンドの3回転トゥループの「回転不足率」が低い宮原選手、ゴールド選手のほうが村上選手、ワグナー選手より強い。順位もそうなった。

ラジオノワ選手に関しては、ワールド前までは「流れ」がかなり彼女のほうに来ていたのが、フリーの蓋をあけてみたら、ジャッジは彼女の「側」にいなかったという印象。それでも総合で3位になったのは立派。ただ、ゴールド選手がショートで連続ジャンプを決めていたら、台にのったのはゴールド選手だっただろう。

今季のルールでは、ルッツを跳べる選手が圧倒的に有利で、ルッツにエラー癖のある選手にはよっぽどのことがないと「優勝」は来ない。エッジエラーの減点は少し幅が大きすぎるようにも思う。例えばゴールド選手は(多分)E判定承知で3フリップを跳んだが、後半に入れたにもかかわらず2.87点。そこまで明らかなアウトエッジとも見えなかったのだが、テレビでは映る場所によってかなり違って見えるので、判定自体がどうこう言うつもりはない。ルール上こうなるのだが、少し低すぎる得点ではないだろうか。

演技構成点に関しては、手抜き感アリアリの仕分けルールくっきり採点だったとはいえ、奇妙な点差をつけて、解説者が苦し紛れにあれこれ後付けでこじつけるより、このほうがずっと公平だ。

すべてのジャンプを正確に跳べる選手が女王になった。それは当然の帰結。これほど客観的にわかりやすい結果はない。








最終更新日  2015年04月02日 00時56分23秒

2015年03月31日



男子シングルの試合で一番残念だったのは、枠が減ったとかという結果ではなく、ジャンプの調子を含めて3人が3人とも、「去年以上の何か」、換言すれば「成長」というものを見せられずに終わったこと。

羽生選手は、度重なるアクシデントで去年のような高難度ジャンプの安定感を取り戻せないままシーズンを終えた。あれでは、1年かけて、「羽生は絶対ではない」という印象をジャッジにわざわざ与えてしまったようなものだ。

無良選手は、相変わらず(?)、一番大事な試合で、得意のトリプルアクセルを失敗する。せっかく幸運にも与えられたチャンスを生かせない。これでは、もう先はない。

小塚選手は全日本で素晴らしい演技――これまでの小塚選手にはない「大人の色気」を前面に出したショートは彼の新しい可能性、あるいはこれまで引き出されてこなかった彼のもつ別の魅力を感じさせてくれるものだったし、フリーは1つの曲をほぼ切れ目なく使う、小手先の音楽編集に頼らない通好みの難しい振付で、「美しき一筆描き」とでも呼びたいような世界観は、驚くほど滑らかに滑ることのできる小塚選手以外には表現できないと思わせるもの――をしたので、実はとても期待していたのだが、ジャンプの失敗がいろいろなところに影響してしまったという印象。

対して、目を見張ったのが、女子シングルの宮原選手と村上選手の確かな成長。ショートは特に、何度も何度も見ているプログラムなのに、「えっ、こんなに素敵だったっけ?」と感動を新たにした。

まず、宮原選手は手首の繊細な表現が素晴らしかった。回転不足回転不足と言われて、そちらばかりに気持ちがいってしまうのではないかと思っていたが、出だしから、振付を丁寧に繊細に正確に演じていた。日本人の「芸」の考え方に、「まずは器(様式)を徹底的に叩き込む。すると心があとからそこに入ってくる」というものがある。宮原選手はまさにそのタイプ。大舞台にも揺るがないクレバーな女性であり、しかも内に秘めた情熱や芯の強さが演技からじわっと伝わってくる。

振付師が教えたとおりにやっている、ということはよくわかるのだが、何度も何度も演じるうちに、それが宮原選手独自の味になり、「彼女にしかできない」と思わせる空気感を作っている。そこが本当に素晴らしい。

解説の鈴木明子氏は「ラインの美しさ」をさかんに強調していた。Mizumizuが指摘した「姿勢の美しさ」も同じ意味だ。すっと伸びた背筋、フリーレッグの正確なポジショニング、腕遣いから身体全体までラインがバランスよく整って、はっと目を惹く。踊るオルゴール人形とでも言いたいような、可憐で正確な動き。今季はフリー作品のほうに目が行っていたが、フリーのモーツァルトの軽やかでエレガントな楽曲も宮原選手にぴったり合っていた。

シーズン初めはモーツァルトに関しては、ここまで良いプログラムとは思わなかったから、これはやはり滑り込むことで振付を自分のものにしてきた宮原選手の力だろう。ショートの演技構成、もうちょっと出してほしかった。

村上選手のショートには心底驚かされた。宮原選手よりずっと直情的で、生の情感をダイナミックに表現するのが得意な村上選手だが、今回のショートでびっくりしたのはスケーティングの滑らかさ。スローなパートでは、まるでエッジが氷に「粘りついて」いるようだった。大胆でスケール感はあるが、やや雑なイメージのあった村上選手だが、その印象をすっかり払拭した、大人の成熟した滑りだった。「こんなに滑りうまかったっけ?」と言ったら、過去の村上選手が下手だったみたいだが。

ジャンプ、特に冒頭のトリプルトゥ+トリプルトゥは凄かった。完全に跳び上がってから回転が始まるファースト、飛距離も素晴らしく、「うほっ!」と声を上げてしまったwww。セカンドはファーストより高く跳び上がる力強さがあった。だが、なんといっても、特筆すべきは、あの音楽表現。旋律に動きがぴったり合っている。音が伸びるところは滑りも伸び、音が跳ねるところは、身体も遅れることなくはずむ。まさに曲と一体になったような表現は、執念のような反復練習を容易に想像させる。

出場したトップ選手の中で、間違いなく最も成熟を感じさせる滑りと音楽表現だった。

なのに、演技構成点はアレですか。あっちこっちに若さゆえの粗雑さや未熟さが見えるラジオノワ選手より下ですか。やれやれ。ジャッジがいかに、「評価」ではなく「仕分け」に徹しているかわかるというものだ。

<続く>






最終更新日  2015年03月31日 20時12分27秒

2015年03月30日

YUZURU 羽生結弦写真集

むしろ、このプロトコルから読み解けるのは、演技審判はフェルナンデス選手の明るいキャラの立ったパフォーマンスを高く評価したのだ、ということではないだろうか。イギリスの解説者は、「芸術性では羽生(のが上)」と印象を述べていた。Mizumizuも「美しさでは羽生選手のほうが上」だと思う。フェルナンデス選手の振付は楽しいが、動きがややもっさりしていて、楽曲の軽快さが表現しきれていなかったと思う。それでも、演技審判の点を見ると、演技審判は、フェルナンデス選手の曲の解釈とパフォーマンスを、さほどの差はないが羽生選手やテン選手より高く評価している、ということになる。

点差のない演技構成点を読み解くとするなら、せいぜいそんなことぐらいまで。今回の勝負を決めたのは演技構成点ではない。明らかに技術点の差が順位に反映された。スピンやステップのレベルや加点も当然順位に影響してくるが、それは配点の大きなジャンプの点が同等レベルであった場合に順位の明暗を分ける程度だ。フェルナンデス選手のフリーのステップはレベル3で加点を入れて4.16点、羽生選手はレベル4で5.30。レベルが1つ上であっても、つけられる点差はその程度だ。

だから、今回も「高難度ジャンプをより多く回り切った選手が勝つ」という客観的な基準によって勝敗が決まった。これはMizumizuがかねてから主張している、最も公平なやり方だ。

演技構成点の5つのコンポーネンツを何点つけようが、それは構わない。演技構成点の「高すぎる」「低すぎる」論争は、自分の好みや美的感覚にもとづく主観的な印象論の域を出ない。結局は水掛け論に終わってしまう。

だからこそ、選手間の点差を大きくすべきではない。世界トップを争う、技術も表現力でも拮抗している選手間ではなおさらだ。主観にならざるを得ないコンポーネンツの評価では、順位は付けてもいいが、差はつけるべきではない。すると、より客観的な基準にもとづく技術点の勝負になってくる。それこそ新採点システムの理念にも適うと言える。

バンクーバー2年前以前は、フィギュアはこういうスポーツだった。そこに「トータルパッケージ」だの「コンプリートパッケージ」だのと言って、プログラムの完成度で勝たせるなどということをやったから、競技がおかしくなった。

完成形が誰にも分からないのに、完成度をどうやって点数化できるだろう? これはビアンケッティ氏の意見だが、Mizumizuもまったく同意だ。

今回の男子の採点は、トップを争う選手たちに対しては、極めて公平だったと言える。羽生選手が連覇を逃したのは、要素間の手抜きを見透かされたからというのはあまり根拠のない印象論。プロトコルが直接語る敗因は、あくまで「4回転を1つ回り切れなかったこと」これに尽きる。

だが、後半の2つの難度の高いトリプルアクセルの連続ジャンプを2つ決め、今季ずっと不安定だったトリプルルッツも2つ決めた。こちらを称賛すべきではないだろうか?

事前の練習を見た限り、トリプルアクセルも決して万全ではなかった。後半のアクセルからの連続ジャンプ2つだけで30点以上稼ぎ出しているから、1つでも失敗していたら、テン選手に逆転されてもおかしくない状況だった。それを本番できっちり決める。

いやいやいやいや、本当に凄い選手だ。

グランプリファイナルで羽生選手はフリー最後のルッツで「回転不足転倒」をしたが、この失敗は体力的な問題が大きい。最後までジャンプを回転不足なく跳ぶために要素間のつなぎを軽めにするのは、どの選手もやることだし、ジャンプの配点ウエイトが高い以上、それは1つの戦略でもある。

「ジャンプと表現のバランスが大事」というのはキム・ヨナ選手の言葉だが、これがフリーをまとめるのに大事になってくる。スピンやステップのレベル取りもあるから、無限でない体力をどう最後まで温存して演じきるかを考えたとき、要素と要素の間の表現を軽くするのは、理想論から言えば「手抜き」かもしれないが、現実的には「戦略」なのだ。

例えば、全日本の町田選手の演技は非常に感動的だったが、表現面にウエイトが行きすぎたせいか、エレメンツのレベルの取りこぼしがあったし、フリーではジャンプでコンビネーションが少なかったために点数を上積みできなかった。引退を決めていた町田選手は、フリーではジャンプを跳ぶことより、作品としてのプログラムの完成度を優先させたのだろう。

今のルールで勝負に勝つために一番大切なのは、ジャンプを回り切ること、それからエレメンツのレベルを取り加点を稼ぐことだ。この優先順位を羽生選手はきちっと押さえていた。ファイナルで回り切れなかったフリー最後のルッツをきれいに決めた。素晴らしい課題克服能力ではないだろうか? 惜しむらくは4サルコウを回り切れなかったこと、これまで誰より確率がよかった4トゥループをきれいに決められなかったことだ。

ワールドの羽生選手は、エレメンツの取りこぼしがまったくない。ステップ、スピンともオール・レベル4。スピン速いね~、いや~~。あのコンディションでそこまで要素をきちんとこなしたのは、アンビリーバボー。

しかし、顔色の悪さが気にかかる。

バスクリン風呂でゆっくりしてください(笑)。

次は、男性用基礎化粧品だな。あれだけの美肌のアスリートをCMに起用しない手はないですよ? 

男性用の基礎化粧品市場は、これからの伸びが期待される。是非とも新製品開発&羽生選手をCMに起用して、新しいマーケット開拓にはずみをつけてください。

羽生ファンの皆さんもKOSEに働きかけを(笑)。いや、新しいスポンサーということで資生堂でもいいですよ(再笑)。






最終更新日  2015年03月30日 23時48分03秒

2015年03月29日


案の定、またも世界で最も層の厚いハズの日本男子は、シーズンで一番大事な試合で「惨敗」した。一体何回このパターンを繰り返すのだろう? 日本フィギュアの商業主義、もっと直接的に言えば日本特有の「グランプリシリーズ」重視の姿勢と国内選手権での過酷な消耗戦が、選手を疲弊させ、ピーキングを難しくしている。

今季最高の舞台であるワールド、ここで今季最高の演技ができた男子がいただろうか? たった1人でも? いや、3人ともむしろ、今シーズン最悪に近い出来だった。個人の選手の順位どうのこうのよりも、問題にすべきはここだ。しかも、「一番大事な舞台で、ベストとは程遠い演技を披露する」というパターンを何度も、何年も繰り返していること。これを選手個人の問題にしてはいけない。

日本でしか開催できない、どーでもいい国別とか
役にも立たないオープンフィギュアとか
日本のテレビ局のためのグランプリシリーズとかファイナルとか
煽るだけ煽って選手を消耗させる全日本とか

選手に出場を「強要」させ、そのたびに点が出た出ないといって騒ぎ、その結果、選手のキャリアに最も影響する一番の大舞台でどうなっただろう?

フィギュアスケートをオリンピックのメダル有力種目として税金を投入するなら、長期的な戦略を立てなくてはダメだ。ISUの集金にばかり協力していてはいけない。

羽生選手のショートを見て、「また羽生が勝つのか」と思った人は、世界を甘く見すぎている。ファイナルの演技を見て、「300点は目の前。羽生はどこまで行くのか」(岡崎真)「しばらく無敵と思う」(小林芳子フィギュア強化部長)などというのも楽観的すぎる。

http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2014/12/15/kiji/K20141215009461590.html
「羽生はどこまで行くのだろう」と感じさせてくれるような素晴らしい演技だった。国際大会初の「SP100点+フリー200点、合計300点」というスコアは、目前だろう。前日のSPと合わせ、2度転倒しながら合計は288・16点。転倒さえなければ、と思わせる。
http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2014/12/14/kiji/K20141214009458910.html
才能があって気持ちも強い。しばらく無敵だと思う


羽生結弦という人の強い精神力とは裏腹の脆弱な肉体。加えて完治が難しい右足の剥離骨折。この2つの事実を決して甘く見てはいけない。そうでなければ、だんだんとジャンプが安定しなくなっていった日本フィギュア史上屈指のジャンパー本田武史のキャリア後半、もしくは高難度ジャンプがほとんど常に回転不足気味の今の小塚選手のような状態に、羽生選手もあっという間になるだろう。

羽生結弦の強い精神力と驚くべき才能ばかりに頼んで、休養させるべきところで「労働」させるからこういう結果になる。これはこれからも常に羽生選手につきまとう問題だ。コンディションが良ければ、おそらくは「無敵」。だか、その状態を続けることができるだろうか? 今までも「できない」ことが多々あった。今年も「できなかった」。いろいろなアドバイザーやトレーナーがついていても「できなかった」。ここを重く受け止めるべきだ。

オーサーコーチも「ピーキングの大事さを知ってほしい」と言っている。彼は問題をわかっている。もっとコーチを尊重し、選手を委ねるべきだ。常識的な大人からすれば、「強制労働」のにおいがプンプンするのに、若い選手個人に火消を発言させるような態度は周囲の大人の狡猾さを浮き彫りにするだけ。

今回羽生選手が連覇を逃した原因は、4回転サルコウが2回転になり、その基礎点が入らなかったこと。それに尽きる。今の男子は高難度ジャンプをいかに多く回り切るかで勝負が決まっている。それはMizumizuの主観的な印象論ではなく、プロトコルを客観的に分析した結果として、そうだと言ってる。

たとえば中国杯での点を見ると、羽生選手は4サルコウ回りきって転倒したと見なされたから基礎点10.5点からのGOEマイナスで7.64点、そこから転倒の1点マイナスだったから、6.64点が入っている。(このときの技術点は75.58点、演技構成点84.02点)。

今回はそれがダブルサルコウになってしまったから、転倒はないが、基礎点1.3点、これにGOEはプラスで1.33点。ダブルサルコウとしては加点のついたジャンプで、成功だが、4回回れなかったから基礎点が入らず点にならなかった。

6.64点-1.33点=5.31点

この点を単純に羽生選手の総合得点に足せば、276.39点で、フェルナンデス選手の273.90点を上回る。だから、たとえ転倒であっても4サルコウを回り切るところまで持って行けていれば、羽生選手が勝っていた。

ところが、岡崎真氏は、この結果についてこんなことを言ったようだ。
http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2015/03/29/kiji/K20150329010072730.html
羽生 連覇逃した背景…ジャッジにも見透かされていた“手抜き”

シーズン最後になって昨季までの羽生の悪い面が出てしまったように感じた。厳しい言い方をすれば、問題は演技の要素と要素の間の“手抜き”だ。

 これを物語ったのが5項目の演技点。ジャンプの失敗があっても五輪王者として演技点ではトップを守ってきたが、この日はフェルナンデスに劣った。羽生自身の得点もGPファイナルに比べ3点以上下がっており、これが同等なら連覇は達成できただろう。演技点は、いわばスケーターの基本的な評価。ジャッジにも見透かされていた気がしてならない。


この意見、実は言いたいことはよくわかるのだ。Mizumizuが懸念していることとも重なる部分が多い。つまり五輪王者である彼は、ジャンプの失敗があっても、これまでは演技構成点ではトップを守ってきた。ところが今回は演技構成点でもフェルナンデスに負けてしまった。その背景にあるのは、要素間の密度や表現の「薄さ」。もっと言えば、プログラムがジャンプを跳ぶことに力点を入れたために、全体がスカスカになってしまった。その点を問題視しているのだと思う。

気持ちはよくわかるのだ。出来の悪い演技を繰り返していると、五輪王者と言えど、だんだん演技構成点が下がってくる。実績点でないのがタテマエのシステムだが、そんなのはもうお題目で、過去の実績は演技構成点にかなりモノを言う。今回は(おそらく)ジャンプを跳ぶことに力点を置きすぎ、その他の表現がおろそかになっていた。それが羽生選手の「悪い面だ」ということ。

それはその通りだが、この紙面の論評は「自分がそう思ったこと」の論拠を「演技審判の採点行動」置いたことに問題がある。岡崎氏はジャッジだから、読む者はジャッジの代弁をジャッジがしたと受け取りやすく、そこも問題だ。

今回のプロトコルの数字を見ると、演技構成点は以下のようになる。

フェルナンデス選手 89.06
羽生選手 88.64
テン選手 88.36

フェルナンデス選手がトップだったのは事実だが、羽生選手との差はわずか「0.42点」だ。これを見るとトップの3選手にほとんど差はない。順位はついているが、演技構成点で差はつけておらず、ここから読み解けるジャッジの採点行動は、「技術点に順位を委ねた」ということだ。

羽生選手の演技構成点がファイナルと比べて3点下がったというが、コンディションが悪ければ出来もよくないから点は下がる、それは当たり前の話。コケようが手抜きをしようが、いつもいつも同じようなFIXの高得点が出たら(そういう選手も過去にいたが)、そちらのほうがおかしいというものだ。

演技の要素と要素の間の“手抜き”を見透かされたとしたら、それが一番反映されるのは、演技構成点の5つの要素の中の「トランジション」だろうが、羽生選手のファイナルの「トランジション」8.82点、今回は8.71点とほとんど差はない。

今回の演技構成点のコンポーネンツの点を比べると
              フェルナンデス     羽生    テン 
スケートの技術       8.71       8.93    8.71
トランジション(つなぎ)  8.71       8.71    8.68
パフォーマンス       8.93       8.68    8.79
振付            9.07       9.04    8.96
解釈            9.11       8.96    9.04

「スケーターの基本的な評価」は演技構成点の中でも「スケートの技術」だろうが、ここでは、要素と要素が手抜きだろうが何だろうが、ジャッジは羽生選手をトップにしている。

このスケートの技術、小塚選手の点が「8.00」点だ。いくらジャンプが決まらなくても、スピンの取りこぼしがあっても、「呼吸でもするように自然に」加速していく小塚選手のスケート技術は依然として素晴らしいと思うのだが、その選手にこんな低い点をつけている。そこは問題ではないのだろうか? 演技の要素と要素の間の“手抜き”を見透して点に正しく反映できるような慧眼のジャッジがこんな点をつけるのだろうか?

そして、つなぎを評価するトランジションは、フェルナンデス選手と羽生選手は同じ点。「パフォーマンス」「振付」「解釈」がわずかにフェルナンデス選手が上。

この微妙な点差をもって、自分の見た印象である「手抜き」感を演技審判が「見透かした」とするのは、まったく不十分だし、無理がある。

これだけの点をもらった演技が「手抜き」なら、ワールドに集う世界トップ選手のほぼ全員が、羽生選手の手抜き以下の演技しかできなかったということになる。そりゃないわ。

<続く>






最終更新日  2015年03月29日 23時51分57秒

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