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カテゴリ:Travel
10代のころ強い印象を受けた絵本がある。
はるにれ 姉崎一馬の「はるにれ」。絵本ということになっていたが、実際は1本の木をテーマにした写真集といったほうが正しい。文章はない。草原にポツリと立つはるにれの木を四季の移ろいとともに追ったもので、北海道の景色をまったく見たことのない子供の憧れをかきたてる、魔法のような自然美に溢れていた。 そのはるにれが帯広方面の「豊頃」というところにあると聞いて、訪ねてみたくなった。ついでに近くにおいしそうなオーベルジュでもないかと思って調べたところ、あったあった。幕別の「オーベルジュ・コムニ」。クルマなら十分にまわれる距離だった。 そこで札幌からクルマで、まずは帯広に行きランチを取って、豊頃に足をのばし、はるにれを見て、幕別へ行く計画を立てた。 豊頃のはるにれは、結論からいうと、ほとんどタダのはるにれだった。町はずれの草原にポツンと立っており、確かに姿は整っているし、絵本で見たあの木には違いないが、実際に目の当たりにするとそれほど珍しいものとも思えない。あの写真絵本で見た、四季折々の驚異的な美しさは、姉崎の発見した… というより、作り出した美なのだ。 姉崎はこの1本の木の写真集を制作するために何年もかけたという。子供のころはそんなこととはつゆ知らず、「すごくきれいな木があるんだなあ」と思っていただけなのだが、今ならわかる。魔法をかけられたように美しい木がいつもそこにあったわけではない。あれは、写真家の情熱と忍耐と観察力と想像力とテクニックの賜物だったのだ。 というわけで豊頃のはるにれの木の写真は撮らずに幕別へ移動した。興味のある方は、姉崎の写真絵本でご覧ください。「こんな木があるのか!」と感動すること間違いなし。普通に撮った写真ではそういう感動に水を差しそうだ。 オーベルジュ・コムニの夕食は、フレンチのフルコース。 トマトとにんじんのクーリー。野菜は地元のものだけを使っているという。 カルパッチョにも野菜がふんだんに使われていた。 白身魚(名前は失念!)のポアレ。 十勝牛のステーキ。これも野菜で肉が見えず…(苦笑)。 デザートはイタリアのサンタ・アガタの星つきレストラン「ドン・アルフォンゾ」で食べたものとそっくりだった。 ここのフルコース、見た目はきれいなのだが、どうも全体的にインパクトがなかった。カルパッチョにも肉にも魚にも、野菜がタップリのっているというのは、ヘルシーなんだろうけど、個人的にはあまり好みではない。 しかも… 実はその日は帯広のお気に入りのホテル「北海道ホテル」のお気に入りの和食レストランで会席をコースで食べてしまったのだった。つまり、あまりお腹がすいていないところに、魚と肉の両方が出るフレンチのフルコースを夕食に食べるという暴挙(笑)に出てしまったワケ。 大失敗… 次にコムニに行くときは、昼は軽めにしなくては。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.12.04 02:05:43
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