|
御礼:「国別対抗戦反対」への署名、たくさんの方にご賛同・ご参加いただき、誠にありがとうございました。発起人のsindoriさんよりご連絡があり、1.258人分の署名を本日、日本スケート連盟、IMG、OLYMPUS、新聞各社あてに郵送されたそうです。
また、先に締め切られました「フィギュアスケートのおかしな採点をなんとかしたい」は、最終的に1,797名分の署名が集まり、2月2日にすでにテレ朝、JOC、新聞各社等に郵送ずみだそうです。 こちらもご賛同・ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。sindoriさんによりますと、「おかしな採点~」の報告の件は、『成果報告』には1度しか投稿できないことを知らずに、目標署名数の1,000件を突破した時点で「引き続き募集」と投稿してしまったため、署名を締め切り、郵送した旨を報告できなかったそうです。すでに郵送ずみですので、署名してくださった皆さん、どうぞご安心を。 sindoriさん、おつかれさまでした。今回はお忙しい中、ファンの声を各方面に伝える機会を作っていただき、ありがとうございました。 また、別のアイディアとして、「フィギュアスケートのおかしな採点をなんとかしたい」の主旨文を英訳して、チェーンメール形式で国際スケート連盟に送る件についても、本当にたくさんの真摯なご意見をいただき、感謝しております。 「是非、抗議の意思を伝える意味でもやってほしい」という賛成意見も多かったのですが、反対意見も半々ぐらい。といっても、「ルール/ジャッジの判断は公平」だと思って反対している人は1人もいませんでした。そうではなくて、これだけフィギュア人気の高い日本国内ですら、この複雑なルールに隠されたカラクリを理解するのが難しいのに、チェーンメールで抗議したり、ルール改正を求めたりすれば、「一部の日本のファンが、自国の女子選手に優位になるように、ルールを変えるよう国際スケート連盟に圧力をかけている」などと、悪意で歪められて報道されないとも限りません。 ただでさえ、自国の選手のことを信じられないぐらい貶めて報道する日本の巨大メディアです。どんな悪意をもって偏向報道されるか、まったく信用できませんし、それがまた海外メディアに曲解されて伝わっては、日本選手が窮地に陥ってしまいます。フィギュアスケートの世界では、「ジャッジに歯向かったら、採点で報復」というのも、決して珍しいことではないのです。「点を出してもらえない」と暗黙のうちに知らされると、選手は精神的に動揺し、失敗が増え、ますます結果が出ないという悪循環に陥ります。私たちファンの目的は、選手がベストな演技ができるよう常に応援してあげることです。 そうしたわけで、チェーンメールでの「活動」はしませんが、個人的に公平でないと思ったジャッジングに抗議するのは、違法でも妨害行為でも何でもありません。たとえ、間違った英語でも、簡単な英語でも、自分の意思を伝える行動を取るのを、ためらう必要はありません。ただ、「日本選手びいきで感情的に言っている」というふうに取られないよう表現には注意してください。 XXXXX 四大陸選手権の男子。個人的にはアボット選手と織田選手に注目していたのだが、フタをあけてみれば、アボット選手は疲労の色が濃く、あまり参考にはならなかった。かわって、ライザチェック選手のほうが調子を上げてきている感があった。この2選手の明暗は、本来の実力どおりといえば、それまでだが、実はこれまでの「試合数」が影響しているのではないか。 ファイナルのなかったライザチェク選手は、アボット選手より1試合少ないことになる。ファイナルまで戦って、直前にはショーまでこなしたウィアー選手が全米で不調に陥り、ジャンプを決められなかったのと同じような現象がアボット選手にも起こった。これまでミスのない鉄壁のショートで優位に立ち、4回転を捨ててジャンプをできるかぎりまとめて勝ってきたアボット選手がショートでジャンプミス。勝利の方程式が崩れてしまった。 チャン選手のブッチ切りのショートの点を見ると、もはや他の選手は、チャン選手にはない4回転をやるしかない。放送でも言っていたが、公式練習ではアボット選手の4回転が一番決まっていたという。そう、アボット選手は実は、4回転を跳べない選手ではないのだ。昨季の世界選手権(ライザチェック棄権により出場)では、4回転はきれいに決めて加点ももらった。ところが、そのあとのジャンプがボロボロ。年齢的にも若くなく、2年連続全米4位ともはや崖っぷち。それで、今年は4回転を捨ててジャンプ構成を落としたら、あ~ら、不思議。ファイナルでも全米でも勝ってしまった。 今回は今季初めてフリーに4回転を入れた。だが、もともと体調が悪いせいか、久々で試合に入れたせいか、2回転にすっぽ抜けた。「4回転を入れると乱れやすい」トリプルアクセルは3A+3Tも含めてなんとか降りたが、その次に難しいルッツでダウングレード転倒。演技・構成点は73点と、今季のアボット選手にしては抑えられ気味。メダルを狙って4回転にチャレンジしたら、返って点を落とすという、「むずかしいことをしたら落とされる」今季の傾向そのままに終わった。いつものように、4回転を捨てて、ほかのジャンプでの減点を避けたほうが、やはりアボット選手も強い。といっても、今回はチャン選手との点差がありすぎたので、4回点回避策では、どちらにしろ優勝はなかった。 織田選手も鉄壁のショートでミスが出てしまった。小塚選手もそうだが、どうも四大陸での日本の2選手は、年明け前の「ピタッ」と気持ちいいほどクリーンに決まる着氷がない。 織田選手のフリーは、演技後の彼のとんでもなく落ち込んだ表情を見ればわかると思うが、ほぼ「最悪」と言っていいものだった。つまり、織田選手は全日本までは、わりと順調に仕上げてきていたのだ。トリプルアクセルを2度決めて、あとは「4回転を決めるだけ」のところまでもってきていた。今回こそ、と思って織田選手が意気込んでいたのは、試合前のインタビューを見てもわかる。 そして、もう1つ。たとえ4回転を失敗しても、2つ入れるトリプルアクセルだけは、絶対に2つとも決めたい。いや、決めなければいけない。これが織田選手の至上命題だ。4回転をできれば決めたい、それが無理でも、トリプルアクセル(特に後半)は絶対に失敗したくない――織田選手のジャンプ構成は、その意思がはっきりわかるものだ。 フリーの振付はモロゾフではないが、ジャンプ構成はモロにモロゾフ方程式に基づいたもの。つまり「後半の前半」にジャンプをかためて点数稼ぎをするのだ。後半はジャンプの基礎点が10%増しになるからだ。そして、その筆頭にもってきたのがトリプルアクセル。つまり、後半に入った直後、一番体力のある時間に2度目のトリプルアクセルを跳んでしまう。要素の順番で言えば6番目。ここに2度目のトリプルアクセルをもってくるのは、実は3A2つをどうしてもフリーで決められないチャンも同じ。 ちなみに小塚選手の2度目のトリプルアクセルは要素から言うと、なんとなんと11番目。振付上仕方がないことで、振付師はこの3Aを決めるために、直前に「お休み」を入れるなど工夫をしている。だが、やはり小塚選手の3Aも決まらない。今季これが決まったのがフランス大会1度だけ。四大陸でも「お約束の失敗」に終わった。4回転を入れているというのもあるが、この2度目のトリプルアクセルの位置(つまり、曲の終わりも終わり、要素としても最後から2番目)が小塚選手の失敗の原因にもなっているように思う。チャン選手や織田選手に比べて、疲れきったところで2度目のアクセルを跳ばなければいけないのだ。だから、全然決まらない。何度繰り返しても。 一方の織田選手は、トリプルアクセルを決めるために、もう1つ隠れた工夫をしているのだ。 それは、ルッツの数。 小塚選手はルッツが2つ入っている。織田選手のほうはセカンドの3トゥループを2つにして、ルッツは1つにおさえている。 織田選手はルッツが苦手なのか? それが違うのだ。織田選手はルッツは得意。なんなら4回転ルッツを跳ぼうかというぐらい。どちらかといえば、苦手なのはトリプルアクセル。今回のショートは3ルッツが乱れてセカンドを2Tにしかできなかったが、あれは本当に織田選手にとっては珍しいのだ(だから、ショックも大きかったはずだ)。飛距離の出る織田選手のルッツは軸が傾くこともあるが、膝の柔らかさでそれを吸収して着氷にもってくることができるのだ。 もう一度、ジャンプの難度を見てみよう。 アクセル→ルッツ→フリップ→ループ→サルコウ→トゥループ 当然難しいジャンプを複数入れたほうが基礎点は高くなる。そしてフリーで2度入れられる3回転ジャンプは2つ。だから、3Aを2つに3ルッツを2つ、プラス4回転を入れている小塚選手のジャンプ構成のほうが、実は織田選手より難しいのだ。 織田選手はトリプルアクセル2つに、セカンドの3トゥループを2つ、プラス4回転だ。 だんだんモロゾフの意図がわかってきましたか? 得意のルッツをはずしているのは、そうやってジャンプの難度を下げても、できれば4回転、それが無理でも2つの3Aを「絶対に」決めるためだ。 逆に「4回転回避策」もモロゾフは明らかに考えている。小塚選手の場合は、4回転をはずしたら、その部分に3回転トゥループを入れるしか(ほぼ)ない。トリプルアクセルより1つ上の4回転トゥループを回避すると、3回転としては一番簡単な3トゥループに単純に落とすだけ。これは同じコーチの中野選手が最初に3Aを入れ、やらないときは2Aにするのと同じ。 でも、これだと基礎点がぐっと下がってしまう。4回転は認定さえされれば、コケても4点にはなる。3回転トゥループの基礎点と同じだ。だから、小塚選手はどうしてもここに4回転を入れたい。 一方の織田選手。ルッツを1つにしているということは、4回転を回避した場合、ここに3ルッツを入れればいいのだ。そして、後半のルッツを連続にするか、あるいは最初のルッツを連続にする。そのかわりセカンドに2つ跳ぶ3Tのうちの1つを2Tにする。このジャンプ構成の変更は織田選手にとっても負担ではないし、わかりやすいはずだ。3ルッツからの連続ジャンプはショートで慣れているし、3Tのうちの1つを2Tにしてルッツ2つにすれば、基礎点も4回転を入れた場合とそれほど(でもないが、少なくとも単純に4Tを3Tにした場合より)下がらなくてすむ。4回転を回避した場合、4回転から一番簡単な3回転にしなければいけない小塚選手と違い、アクセルに次ぐ難度のルッツに入れ替えることができるのが、モロゾフのジャンプ構成なのだ。実際モロゾフは、「織田は4回転にややこだわりすぎている」と言っている。回避策で行くことも考えていたはずだが、織田選手の仕上がりは案外好調で、「あとは4回転だけを決めればいい」ところまで全日本でもってきていた。 もう1つ、織田選手が見せた「不思議なリカバリー」がある。3Aを2度入れる場合、どちらかを連続にしなければいけない。織田選手の場合は、前半の3Aに3Tをつける。だが、NHK杯では、3Aを連続にできなかった。すると、ふつうはこう考える。 「大変だ! 失敗しちゃった。次の3Aを必ず連続にしないと」 実際、伊藤みどりは解説で、連続ジャンプ予定がシングルになると、「あ~、2つのうち1つは必ず連続にしないといけないですから」と切羽詰った声(苦笑)で言っている。彼女は、ああ言いながら、現役時代に戻り、自分も一緒に跳んでいるのではないかと思う。伊藤みどりの解説はジャンプを跳ぶ側の心情の説明が非常に多い。一般人にはわかりにくいと思うが、Mizumizuには彼女が言っていることは、とてもよくわかる。 で、予定されていた最初の3Aを連続にできなかったNHK杯での織田選手は、なぜかその直後の単独の3Sに3Tをつけた。そして、元来連続にしなければならない2度目の3Aを単独に留めたのだ。 これは、明らかに意図的にルール違反をしている。 <続く> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.02.11 06:35:41
[Figure Skating(2008-2009)] カテゴリの最新記事
|