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山崎元の経済・マネーここに注目

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2010.02.12
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筆者は現在満51歳だ。自分では、年より若くもないし、年以上に老け込んでもいないつもりでいて、特に不満もないし、年齢を意識することもないが、取材などで「老後についてどう考えて、何か備えていますか?」と訊かれることがたまにある。

昨年は「ねんきん定期便」が送られてきた。過去に12回転職した筆者の場合、記録にミスがあると思い出すのが大変なので、おそるおそる開封したが、幸い、記録は完璧に見えた。だが、この郵便物が来るということは、そろそろ老後のお金の問題を考えろということだろう。

「老後」の経済的な意味で最大のものは労働による追加的稼ぎに制約が生じるということだろう。加齢と共に働いて稼ぐことが一気に全て不可能になることは少ないが、体力的にも、社会的にも、30代、40代の頃のようには稼ぎにくくなる。また、病気などで働く能力が急低下するリスクが加齢と共に大きくなる。

人生にとっての意味としては「残り時間が少ない」ということが最大の問題かも知れないが、老後の経済にとっては、残り時間が少ないことは、可能性縮小のデメリットと共に自分を養わなければならない期間が短縮されることのメリットがあるから、案外大きな問題ではないし、むしろ「長生きしすぎることのリスク」がクローズ・アップされることもある。年金というものの最大の意味は想定外の長生きに対する集団的保険である。

筆者の場合、老後に対して今まで備えてきたことがあるとすれば、仕事のやり方を多様化したことだろうか。半ば意図的で、半ば結果論なのだが、筆者は40歳代の前半くらいから、仕事(端的にいって収入源だが)を複数持って、いわば「ジョブの分散投資」をしている。これは、その時々のやむを得ない現実適応の結果でもあったが、定年後の年齢になってからも自分のペースで働くことができる仕事とその場を確保しておきたいと考えたことが大きな理由だった。働き続けることができる場を会社ないし個人で取れる仕事だとすると、時間的余裕と体力を持っているうちに基礎を作る方がいい。そう考えると、定年の年齢が中途半端に高い職場の場合、自分で計画的に手を打っておかないと、後が寂しくなるかも知れない。

万全のリスク分散ができているわけでもないし、たとえば病気にでもなれば働いて稼ぐことが難しくなるのだが、この年齢まで来ると少しメリットを感じ始めている。

ただ、高齢化してからも働けることのメリットは、金銭的な稼ぎもさることながら、精神的な張りを保つことにあるような気がしている。筆者の場合、子供が小さいので、なるべく長く働きたいという個人的な希望もある。

父親の友人など、高齢の先輩達の話を聞いていると、明確な傾向として、高齢まで働いている人の方が老け込んでいない。身体は健康でも、早く定年を迎えて働かなくなった人は、話題として自分の「現役時代」の昔話が多いし、年齢よりも老けていることが多い。

もちろん、高齢になるほど、「これから稼ぐお金」ではなく、「これまでに持っているお金」を中心に生活設計を立てる必要がある。「備え」を求め出すと、ある意味ではきりがない。

しかし、一方で、年を取ると生活の内容も変化する。生活費は若いときほどかからなくなる場合もあるし、経済状態の変化に対して柔軟に対応することが不可能なわけでもない。「最低○○○○万円ためなければ老後は不安だ!」というような観念をあまり強く持たない方が幸せなのではないかと思うが、どうだろうか。

お金の運用は、体力の制約を比較的受けないので、高齢化してからもできるだけ有効に行いたい。諸々の経済的な与件を考えると、年を取ったからといって急に運用のリスクを落とすべき理由はないし、高齢者にとって効率的な運用と、若い人にとって効率的な運用に差があるわけではない。ある程度の資金的な余裕があって、運用対象がいつでも数日以内くらいで換金できるものなら、高齢者も若者もリスクを取る部分の運用内容は基本的に共通で構わない。

それがどのような運用なのかは、そのうちに、続きを書くことにしよう。

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楽天証券経済研究所
客員研究員 山崎元
(楽天マネーニュース[株・投資]第68号 2010年2月12日発行より) ==========================================================






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最終更新日  2010.02.12 11:47:19



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