308968 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

プロフィール

山崎元の経済・マネーここに注目

山崎元の経済・マネーここに注目

カテゴリ

お気に入りブログ

まだ登録されていません

ニューストピックス

楽天カード

キーワードサーチ

▼キーワード検索

2010.07.09
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類

筆者は、今年の春からある大学で、主にキャリア・プランニング(職業人生設計)を中心に人生の経済的な側面を考える講義を担当している(それ以外に「金融資産運用論」も担当)。

キャリア・プランニングを考える上で、特に女性は、結婚と出産・育児をどうするかが大きな問題になる。もちろん、女性だけが育児を担当すべきだとは思わないが、出産は女性特有の問題で、キャリア・プランに対する影響が大きい。

結婚や出産は、経済的な損得やキャリア上の有利不利だけで考えるべき問題ではないが、経済的な側面から考えると、どうも、早婚・早期出産の方が有利ではないか、というのが、筆者の暫定的な意見だ。

仕事を持って働く女性にとって、出産の前後と初期の育児にどうしても必要な仕事上の空白期間を、キャリア・プラン上の何時の時点に持ってくるかが悩ましい問題だ。会社によっては、退職を余儀なくされる場合もあるし、十分な産休制度など、理解のある会社でも、1年から2年程度の仕事の空白期間ができてしまう。

経済的な損得でこの問題を考える場合に鍵になる概念の一つに「機会費用」がある。職業上の空白となる産休期間にもし働いていたら得られたであろう利益を、費用(利益のマイナス要素だから)として把握するわけだが、本人が中堅社員になってから産休を取るよりも、若い頃に産休を取る方が、犠牲にする収入は小さく済む。現実的には、仕事上の習熟や社内のライバルとの競争などが気になるようなこともあって、社内で確固たる評価を得るところまで頑張って、それから出産と考えるケースなどが多いのかも知れないが、仕事も出産も思うようにいくとは限らないし、仕事を休まれることの会社にとっての損失は、本人の年齢が上がってからの方が大きいように思う。

もちろん、職業によっても違うだろうし(たとえば、女優やアイドルなら、明らかに違うだろう)、会社によっては出産後の復職が難しい場合もあるので(この場合の損得計算は難しいし、微妙だ)、一概にどちらが得とは言えない。

ただ、初期出産年齢が高齢化する傾向に反して、キャリア上の早い時点で子供を産んでおく方が実は得なのかも知れない、というやや逆張り的な「視点」はあってもいいだろう。

さて、結婚の時期についてはどうか。

初婚年齢も男女共に傾向として高齢化しているが、一つの原因は、主に高学歴化だろうか。高学歴化自体は、将来の収入を拡大する「投資」として正当化できそうだが、近年、もう一つの理由として、若い時期に低収入で結婚できない場合が多いという理由を聞く。

だが、ここでも逆張りを考えてみることが有力なのではないだろうか。

共稼ぎが前提ということだが、結婚して世帯人数を増やす方が生活が楽な場合が多いからだ。経済の概念に結びつけると「規模の経済性」だろうか。実際、結婚しても一人暮らしの頃から見て生活費が増えなかったという話をよく聞く。また、OECDが「相対貧困率」を計算するときの所得の計算方法では、世帯の所得を世帯の人数の平方根で割る。何やら、分散投資によるリスク低減効果の説明に似ているが、世帯人数が2倍でも生活費は約1.4倍でいいということだ。

今さら大家族制に戻るのは大変だが、かつて日本が先進国の仲間入りをする前の貧しかった時代は、大人数が同居して暮らしていた。特に、共稼ぎということになると、生活を一つにまとめることのコスト節約効果は大きい。

早めに結婚して、もちろん同居して共稼ぎし、生活を簡素化してお金を貯めて運用に回すようなライフ・プランだと、生命保険の費用なども節約できるし、経済的な余裕を早く作ることができそうだ。

個人のお金の運用には、生活の形態や職業上のプランニングが大きく関わる。運用の問題はもちろんだが、これらの問題についても、単なる常識や大勢に流されずに、何が本当に合理的なのか、よくよく考えてみたい。意外な選択が正解かも知れない。


==========================================================
楽天証券経済研究所客員研究員 山崎元
(楽天マネーニュース[株・投資]第78号 2010年7月9日発行より) ==========================================================






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2010.07.09 15:43:24



© Rakuten Group, Inc.