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山崎元の経済・マネーここに注目

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2010.07.23
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先般の参議院選挙で、与党である民主党が大敗して、参議院は民主党・国民新党を合計した与党合計の勢力で過半数を割り込んだ。一方、衆議院は民主党が圧倒的な多数を持っている。俗に言う「ねじれ国会」の状況であり、与党と政府が法案を通そうとしても、衆議院は通過できても、参議院を通過できずに、廃案となるケースが続出する可能性がある。今回とは逆に、自民党政権が衆院に多数を持ち、参院で多数を取れなかった時期に、野党第一党だった民主党は、日銀総裁の国会同意人事をはじめとして、いくつもの案件で、参議院を使って政府案を否決した実績がある。

本稿では、政党への賛否を別として、今回生じた「ねじれ国会」の状況が、経済、ひいては株価にどのような影響を与える可能性があるかを確認しておきたい。

国会審議で、経済に最も大きな影響を与えるのは予算だ。予算については、衆参両院が対立した場合に、衆議院の優越が認められているので、参議院で野党が徹底的に与党に抵抗した場合でも、来年度の予算案自体は衆議院の議決を以て成立する。従って、通常の行政が予算のレベルで停滞することはなさそうだ。

しかし、予算自体は通っても、支出を行う根拠に法律の制定や改正が必要な項目に関しては、「予算県連法案」が軒並み参議院で否決された場合には、支出が行えないケースが出てくる可能性がある。

ここで重要なのは、与党側が、衆議院で多数を持っているとしても、参議院の議決を衆議院の三分の二以上の賛成でひっくり返すだけの勢力を持っていないことだ。

つまり、現在の国会の勢力分布を考えた場合、理屈上は、重要法案が停滞する可能性があるということだ。これは、日本の経済にも影響してくる可能性があり、今後のリスク要因として認識しておきたい。

たとえば、予算案を審議中の来年の通常国会で、与党の政権支持率が大きく低下した状況で、重要法案の審議が紛糾した場合、政権の運営がままならなくなる事態があり得る。

ただし、こうしたリスクがあっても、今回の参院選で与党大敗が、少なくとも株式市場の大きな売り材料になっていないのは、「消費税率10%」をはじめとして、与党と野党第一党である自民党との政策が近いことと、昨年来の民主党政権の運営を見ると、予算を含めて実質的に財務省を中心とする諸官庁によって政策運営がなされているという認識が広く国民の間にあるからだろう。大雑把にいえば、民主党がやっても、自民党がやっても、経済運営に大差はなさそうだという、良く言えば「安心感」がある。

株価、つまりは企業の利益の立場から各党の政策を見ると、今回10議席を獲得して党勢を伸ばしたみんなの党の政策が、デフレ対策の必要性の強調、規制緩和の推進などで、日本の株価(上昇)にとって追い風的な方向にある。株式市場的には、みんなの党が、先般の政権交代後の国民新党のように、参院でのキャスティング・ボートを握って政策運営に影響力を持った場合に、これを好感する公算が大きい。

ただし、今回、民主党が大きく後退したために、「民主党+みんなの党」では参院の過半数を得ることができない。この点、何らかの追加的な動きが必要だが、みんなの党の発言力が強くなった場合に、株価的には好材料が発生する可能性があることを覚えておきたい。

近年、政権が頻繁に変わるなど政治的な動きが大きかった割には、これが株価の材料にはならなかった。あえて言えば、日本の首相交代よりも、アメリカの雇用統計の方が日本の株価には影響が大きい状況だった。

しかし、今後、政治の状況の変化によって、経済運営が大きく変わる可能性が出てきているように思われる。衆参両院のバランスは、ほんの数人の動きで変化しかねない。議員の政党間移動、政党の分裂、多数派工作の状況といった要因で、政治の風景が大きく変わり、ひいては、それが経済に影響する可能性が生じているように思う。

また、事の良し悪しはともかくとして、日本の政治は、政権支持率の変化に大きな影響を受けやすい。

投資家としては、政権支持率も含めた、政治の動きに気をつけておきたい。

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楽天証券経済研究所客員研究員 山崎元
(楽天マネーニュース[株・投資]第79号 2010年7月23日発行より) ==========================================================






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最終更新日  2010.07.23 14:25:44



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