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山崎元の経済・マネーここに注目

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2010.08.13
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カテゴリ:カテゴリ未分類

アクティブ運用とは、市場平均よりも高い利回りを目指して行う運用のことで、アクティブ運用で運用される運用商品のことをアクティブ・ファンドと呼ぶ。この辺までは、投資信託について記述のある投資の入門書を読んだことがある人にとっては常識だろう。

運用の世界ではアクティブ(運用)の反対語はパッシブ(運用)だが、パッシブ・ファンドの大半は、事実上、市場の平均を代表する何らかのベンチマーク指数に連動するように運用されるインデックス・ファンドだ。インデックス・ファンドは市場平均を上回るパフォーマンスを目指さないし、そのための投資調査その他の努力を要しないので、運用手数料(投資信託の場合は「信託報酬」)が安価なのが通例だ。

対して、アクティブ・ファンドはインデックス・ファンドよりも運用手数料が高く設定されていることが多い。これを当然と思うかどうかは、投資家の考え方にもよるが、アクティブ・ファンドの運用手数料はどのように決まるのか、説明できる人は案外少ないはずだ。

アクティブ運用の手数料は「サービスの価格」だから、最終的には、このサービスの需要と供給のバランスで決まる。問題は、需要側が「払ってもいい」と思う価格と、供給側が「これは欲しい」と思う価格とが、どのように決まるかだ。

需要側がアクティブ運用に払ってもいいと思う価格は、当然のことながら、アクティブ運用の能力に対する評価に依存する。たとえば、市場平均よりも年率2%以上稼いでくれることが確実なら、インデックス・ファンドに払う手数料よりも2%までは払ってもいいと考えるのが当然だろう。

しかし、「市場平均よりも年率2%以上稼いでくれることが確実」であるようなことはあり得ない。現実にはアクティブ運用のリスク(「アクティブ・リスク」と呼ぶ)があるし、そもそも、本当にそれが「確実」なら、この運用者は「もったいなくて」他人のお金など運用しないだろう。

現実的な意思決定の状況で考えると、アクティブ・リスクをとって、そのリスクに対して一定のアクティブ・リターンが「期待値」として想定できるという状況はあり得る。ただし、この期待値の価値は、追加的なアクティブ・リスクの効果によって割引されると考えることが妥当だ。

実は、詳細は省くが、投資家にとって最適なアクティブ・リスクと期待アクティブ・リターンの組み合わせで運用者が運用した場合、運用手数料の上限は、その状態で期待されるアクティブ・リターンの半分までなのだ。

プラスのアクティブ・リターンが期待されるとしても、そこには追加的なアクティブ・リスクがあるから、そのリスクのペナルティーを評価しなければならない。一方、手数料は必ず実現する「確実なマイナスのリターン」だ。結局、アクティブ・リスクの効果を考慮すると、「期待されるアクティブ・リターンの半分」がアクティブ運用に追加的に払うことができる手数料の上限なのだ(この計算が分からない専門家は、運用のセンセイとしては、少々物足りない。読者は手近な専門家をテストしてみるといいだろう)。

一方、運用サービスの供給側では、ファンドの運用にかかる費用は是非回収したいところだが、ファンドの金額が大きくなると、ファンドの運用資産全体に対するこの費用は下がっていくことになる。

結局、運用者のアクティブ運用の能力がそれなりに高く評価されるなら、需要側が許容する運用手数料と、供給側が是非とも必要と考える運用手数料との間には、かなり大きな幅がある。理屈の上では、この幅の中で、アクティブ運用の価格は変動することになる。実際の運用会社の運用商品・サービスが求めている手数料を見ると、数百億円以上の規模の運用なら、顧客がプロで且つ運用会社側が競争させられる投資顧問(主に年金資金が対象)の場合、運用手数料(投資顧問料率)は運用資産残高の0.1%~0.2%くらいの場合が多いし(運用会社の料率表は投資顧問業協会が発行する「投資顧問会社要覧」で参照できる)、同じ運用会社のアクティブ運用サービスでも顧客が一般投資家である投資信託の場合は信託報酬が年率1.5%くらいの場合が多い。

両者の差は驚くほど大きい。適正価格がいくらだと断言できるものではないが、基本的な理屈と(大きな差がある)現実は知っておく方がいい。

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楽天証券経済研究所客員研究員 山崎元
(楽天マネーニュース[株・投資]第80号 2010年8月13日発行より) ==========================================================

 






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最終更新日  2010.08.13 15:38:43



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